問1
数直線上の 2 点 , の距離を求めなさい。
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()
目次 / 図形と方程式 / 数学II
—— 図形を「数の組」で表して、長さと位置を計算で求める ——
この分野では、直線や円といった図形を座標平面の上に置き、方程式や不等式で扱えるようにしていきます。第1章はその出発点です。まず数直線の上で 2 点の距離と、線分を分ける点(内分点・外分点)を座標で表します。次に座標平面へ広げて、三平方の定理から 2 点間の距離の公式を導き、内分点・外分点・中点・三角形の重心の座標を求めます。最後に、座標軸を上手に置いて図形の性質を計算で証明する方法を学びます。
この分野の考え方はひとことで言えます。点を数で表し、図形の性質を計算で調べる。その第一歩として、まず 1 本の数直線の上で練習します。
数直線上の点 P に実数 が対応しているとき、 を点 P の座標といい、 と書きます。2 点 , の距離は、大きいほうから小さいほうを引いた値です。どちらが大きいか分からないときも、絶対値を使えば 1 つの式で書けます。
線分を分ける点については、図形の性質 第1章で言葉を決めました。線分 AB 上の点 P が を満たすとき、P は線分 AB を に内分するといい、線分 AB の延長上の点 Q が ()を満たすとき、Q は線分 AB を に外分するといいます。これを座標で表しましょう。
として、P の座標を とします。 なので
です。 のときは A から左へ進むことになりますが、 が負の数になって向きを自動で表してくれるので、同じ式になります。外分点 Q は、 なら B の先にあって ですから、内分点の式の を に置きかえた形になります( でも同じ式でよいことは、例題1 (4) で確かめます)。
数直線上の 2 点 , について
線分 AB を に内分する点、外分する点()の座標は
とくに線分 AB の中点の座標は です。
端が欠けた定規でものを測った経験はありませんか。 の目盛りが使えないので、ものの左端を cm の目盛りに合わせると、右端が cm を指しました。長さは cm です。どこから目盛りを当てても、右端の目盛りから左端の目盛りを引けば長さが出ます。 はこの引き算で、原点がどこにあっても成り立つ理由もここにあります。
内分点の式で、係数が比とたすきに入れかわることに注意してください。 なら P は B のすぐそばにあるので、 の係数のほうが大きく になります。
数直線上では、2 点の距離は座標の差の絶対値で、内分点は 、外分点はその を に変えた式で表されるということです。
数直線上に 2 点 , があります。次のものを求めなさい。
(1) 2 点 A,B の距離
(2) 線分 AB を に内分する点 P の座標
(3) 線分 AB を に外分する点 Q の座標
(4) 線分 AB を に外分する点 R の座標
【解答】
(1)
(2) の座標は
(3) 公式1の外分点の式で , として
(4) , として
確かめます。, で、 です。 の外分点は A の手前(この場合は A より左)に来ます。(3) の Q も , で、B の先にあることが分かります。
二次関数 第1章で、座標平面と象限を導入しました。点 P から 軸、 軸に垂線を下ろし、その足の目盛りが , のとき、P の座標は です。ここからは座標平面の上で、2 点のあいだの距離を求めます。
2 点 , に対して、点 をとります。AC は 軸に平行、CB は 軸に平行なので、三角形 ACB は C を直角とする直角三角形です。辺の長さは、公式1と同じ考え方で
ですから、三平方の定理より
となります。2 乗すれば絶対値は外せます。AB が座標軸に平行なとき(三角形ができないとき)も、たとえば なら右辺は で、公式1の距離の 2 乗と一致するので、同じ式で済みます。
2 点 , の距離は
とくに原点 O と点 の距離は です。
ドローンを飛ばす場面を考えます。東へ m 進めてから北へ m 進めると、合わせて m 飛びます。けれども最初から目的地へまっすぐ飛べば、 m で着きます。「東西のずれ」と「南北のずれ」を直角に組み合わせて、斜めの距離を出す。公式2がしているのはこれだけです。
距離を比べるだけなら、根号を外した のまま計算すると楽になります。「等しい距離」の条件は、2 乗どうしを等しいとおけばよいからです。
座標平面上の 2 点の距離は、 座標の差と 座標の差を直角をはさむ 2 辺とみて、三平方の定理で求めるということです。
(1) 2 点 , の距離を求めなさい。
(2) 2 点 , の距離を求めなさい。
(3) 原点 O と点 の距離を求めなさい。
【解答】
(1)
(2)
(3)
(2) のように引く数が負のときは、中かっこでくくってから計算すると符号の間違いを防げます。引く順番は逆でもかまいません。2 乗すれば同じ値になります。
(1) 3 点 ,, を頂点とする三角形 ABC は、どのような三角形か答えなさい。
(2) 2 点 , から等しい距離にある 軸上の点 R の座標を求めなさい。
【解答】
(1) 3 辺の長さの 2 乗を求めます。
であり、さらに なので、三平方の定理の逆より です。よって三角形 ABC は です。
(2) 軸上の点なので とおきます。 は と同じなので
よって です。 の項が両辺から消えて、一次方程式になるのが決まった流れです。
座標平面上の線分 AB を に内分する点 P の座標を求めます。A,P,B から 軸に垂線を下ろし、その足を ,, とします。3 本の垂線はたがいに平行なので、図形の性質 第1章の「平行線と線分の比」から
です。つまり 軸の上で、 は線分 を に内分しています。, の座標は , ですから、公式1から P の 座標は です。 軸に垂線を下ろしても同じことが言えるので、 座標も同じ形になります。外分点も、垂線の足が 軸の上で外分点になるので、公式1の外分点の式を 座標と 座標のそれぞれに使えば求まります。
2 点 , を結ぶ線分 AB について
ベクトル 第4章では、同じ公式を位置ベクトルの成分計算として導きました。ここでは「平行線と線分の比」で 座標と 座標を別々に求めました。道は違っても、同じ式にたどり着きます。
内分点の式は、重みをつけた平均と見ることができます。人数 人のクラスの平均点が 点、人数 人のクラスの平均点が 点のとき、2 クラス全体の平均点は 点です。全体の平均は、人数の多いクラスの平均点に近くなります。内分点も同じで、 で が大きいほど、P は の側(B の側)へ寄ります。係数がたすきに入れかわって見えるのは、「距離の比」と「重み」が逆向きに効くからです。
座標平面の内分点・外分点は、 座標と 座標のそれぞれに数直線の公式を使えば求められ、内分点は 2 点の座標の重みつき平均になっているということです。
2 点 , について、次の点の座標を求めなさい。
(1) 線分 AB を に内分する点 P
(2) 線分 AB の中点 M
(3) 線分 AB を に外分する点 Q
(4) 線分 AB を に外分する点 R
【解答】
(1)
(2)
(3) , として
(4) , として
(3) を確かめます。A から B へは が 増えて が 減ります。Q は B の先にあって なので、A から を 増やし を 減らした点 です。(4) の R は なので A の手前にあり、 です。
三角形の頂点と向かい合う辺の中点を結ぶ線分を中線といい、3 本の中線が交わる点を重心といいます。重心は各中線を頂点の側から に内分するのでした(図形の性質 第2章)。
三角形 ABC の頂点を ,, とします。辺 BC の中点 M の 座標は です。重心 G は中線 AM を に内分するので、公式3より G の 座標は
です。 座標も同様です。
もう 1 つ、点に関して対称な点も座標で求めておきます。点 P と点 Q が点 A に関して対称であるとは、A が線分 PQ の中点になっていることです(二次関数 第2章で、放物線の点対称移動に使いました)。, とし、 とおくと、中点の公式から , なので、, です。
3 点 ,, を頂点とする三角形 ABC の重心 G の座標は
点 と点 に関して対称な点 Q の座標は
サッカーの中継で、選手ごとの「平均ポジション」を示した図を見たことがあるかもしれません。試合中の位置を記録して、横方向と縦方向をそれぞれ平均した点です。3 点の重心も、横方向( 座標)と縦方向( 座標)をそれぞれ平均した点で、どの頂点もひいきしない位置です。
対称な点は、ダイヤモンドゲームの「跳び越し」を思い浮かべると分かりやすくなります。駒が隣の駒をまたいで反対側へ跳ぶと、跳び越された駒は、跳ぶ前と跳んだ後のちょうど真ん中にあります。跳んだ後の位置は「真ん中の駒の位置 × 2 − 跳ぶ前の位置」で、公式4の と同じ計算です。
三角形の重心は 3 頂点の座標の平均で、点 A に関して P と対称な点は「A を中点とする」条件から , で求められるということです。
(1) 3 点 ,, を頂点とする三角形 ABC の重心 G の座標を求めなさい。
(2) 平行四辺形 ABCD の 3 つの頂点が ,, であるとき、頂点 D の座標を求めなさい。
(3) 点 に関して、点 と対称な点 Q の座標を求めなさい。
【解答】
(1)
(2) 平行四辺形の対角線はたがいの中点で交わるので、AC の中点と BD の中点は一致します。 とおくと
より ,。よって です。 は「A と C の和から B を引いた点」 と覚えることもできます。
(3) 公式4より
A が線分 PQ の中点になっているか確かめると、 で、たしかに A です。
座標の力が本当に発揮されるのは、図形の性質の証明です。図形を座標平面に置けば、長さは公式2で、中点は公式3で計算できるので、補助線のひらめきに頼らずに証明を進められます。
ただし、座標軸の置き方で計算の量が大きく変わります。距離は図形そのものの量なので、座標軸をどこに置いても値は変わりません(厳密定義の定理2)。だから、計算が楽になるように自由に置いてよいのです。
図形の性質を座標で証明するときは、次のように座標軸を置くと計算が楽になります。
とくに、三角形 ABC で辺 BC の中点を M とすると、次の中線定理が成り立ちます。
洋服の型紙を作るとき、多くの型紙は体の中心線を基準線にして描かれます。左右対称なので、基準線から右へ何 cm、左へ何 cm と測れば、同じ数を と にするだけで済むからです。基準線を端に引いてしまうと、左右で違う数を扱うことになって手間が増えます。座標軸の置き方も同じで、図形の対称性に合わせて基準を置くと、式の中に や打ち消し合う項が増えて、計算がぐっと短くなります。
最後の「特別な形を勝手に仮定しない」も大切です。たとえば三角形の頂点を と置くと、頂点が辺 BC の真上にある二等辺三角形だけを調べたことになり、一般の三角形の証明になりません。
座標を使った証明では、図形の性質を変えない範囲で座標軸を置き、原点や軸上の点を増やして計算を短くするということです。
三角形 ABC で辺 BC の中点を M とするとき、次の等式が成り立つことを、座標を使って証明しなさい。
【解答】
M を原点、直線 BC を 軸にとり、,(), とおきます()。
左辺は
右辺は、, なので
左辺と右辺が等しいので、中線定理が成り立ちます。(証明終)
と を足すと の項が打ち消し合います。B と C を原点について対称に置いたおかげです。
この章では、点を座標で表し、距離・内分点・外分点・重心を計算で求められるようになりました。第2章では、点の集まりである直線を方程式で表します。「傾きと通る 1 点」から直線の式を作り、ここで求めた中点や内分点を通る直線も扱っていきます。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
数直線上の 2 点 , の距離を求めなさい。
()
問2
2 点 , の距離を求めなさい。
()
問3
2 点 , を結ぶ線分 AB の中点の座標を求めなさい。
( 座標、 座標をそれぞれ平均する)
問4
2 点 , を結ぶ線分 AB を に内分する点の座標を求めなさい。
(,)
問5
3 点 ,, を頂点とする三角形 ABC の重心の座標を求めなさい。
()
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
数直線上に 2 点 , があります。線分 AB を に内分する点 P、 に外分する点 Q、線分 AB の中点 M の座標を、それぞれ求めなさい。
,,
公式1を使います。内分点 P は
外分点 Q は、, として
中点 M は です。よって 。
確かめると、, で 、, で です。 なので Q は B の先(右側)にあります。
問2 ★
(1) ,
(2) ,
(3) 原点 O,
上の (1)〜(3) の 2 点間の距離を、それぞれ求めなさい。
(1) (2) (3)
公式2を使います。
(1) 座標の差は 、 座標の差は なので
(2) 座標の差は 、 座標の差は なので
(3)
(1) は と の直角三角形なので、 の 2 倍と気づけば計算が速くなります。
問3 ★
2 点 , の距離が であるとき、 の値を求めなさい。
根号を避けるため、 として式を立てます。
よって です。
点 A は直線 の上を動く点で、B からの距離が になる場所が上下に 2 か所あります。 なら 、 なら で、どちらも B から横に 、縦に 離れています。
問4 ★
2 点 , について、線分 AB を に内分する点 P、 に外分する点 Q、 に外分する点 R の座標を、それぞれ求めなさい。
,,
公式3を使います。P の 座標、 座標は
Q は , として
R は , として
よって 。
A から B へは「 が 増え、 が 減る」動きです。Q は なので A の手前で 、つまり A からこの動きを逆向きに 1 回分戻った点 です。R は B の先で なので、A から 回分進んだ点 で、計算と一致します。
問5 ★
三角形 ABC の頂点が , で、重心が であるとき、頂点 C の座標を求めなさい。
とおきます。公式4より
第1式から で 、第2式から で 。よって です。
確かめると で、重心が G になっています。
問6 ★
2 点 , から等しい距離にある点のうち、 軸上の点 P と 軸上の点 Q の座標を、それぞれ求めなさい。
,
とおくと、 より
とおくと、 より
よって です。
確かめると、, で等しくなっています。
問7 ★
(1) 点 に関して、点 と対称な点 Q
(2) 線分 BC の中点が ,端点の 1 つが であるときの、もう 1 つの端点 C
上の (1),(2) の点の座標を、それぞれ求めなさい。
(1) (2)
(1) 公式4より
(2) M が線分 BC の中点なので、C は「M に関して B と対称な点」です。公式4と同じ計算で
確かめると、BC の中点は で、M と一致します。(1) と (2) は、言い方が違うだけで同じ種類の問題です。
問8 ★
3 点 ,, を頂点とする三角形 ABC が の直角三角形であることを確かめ、その面積を求めなさい。
が成り立つので 。面積は
3 辺の長さの 2 乗を求めます。
なので、三平方の定理の逆より、BC を斜辺とする直角三角形で です。
面積は、直角をはさむ 2 辺 , を使って
いちばん長い辺の 2 乗が、残り 2 辺の 2 乗の和になっているかを調べるのが、三角形の形を見分ける基本です。
問9 ★★
3 点 ,, から等しい距離にある点 P の座標と、その距離を求めなさい。
,距離
とおきます。 より
より
2 式を連立します。1 つ目から を 2 つ目に代入すると で 、 です。距離は
よって です。, も確かめられます。
P は三角形 ABC の外心(図形の性質 第2章)で、 は外接円の半径です。, の項がいつも消えるので、「等しい距離」の条件は一次式になります。第2章で、これが直線(垂直二等分線)の方程式だと分かります。
問10 ★★
線分 AB を に内分する点が で、 であるとき、点 B の座標を求めなさい。また、線分 AB を に外分する点 Q の座標を求めなさい。
,
とおくと、公式3より
第1式から で 、第2式から で 。よって です。
Q は , として、 座標、 座標は
よって です。
A から P へは 動いていて、これが AB の にあたります。AB 全体の動きは で、B は 。Q は A から AB の 倍進んだ点 で、どちらも一致します。
問11 ★★
3 点 ,, と点 D の 4 点を頂点とする平行四辺形ができるとき、点 D の座標をすべて求めなさい。
,, の 3 つ
平行四辺形の対角線はたがいの中点で交わります。どの 2 点が対角線の両端になるかで、3 通りに分けます。 とおきます。
(i) AC と BD が対角線のとき(平行四辺形 ABCD) AC の中点と BD の中点が一致するので
より ,。
(ii) AB と CD が対角線のとき(平行四辺形 ACBD) , より ,。
(iii) BC と AD が対角線のとき(平行四辺形 ABDC) , より ,。
A,B,C は一直線上にないので(AB の傾きは 、AC の傾きは で異なる)、3 つとも平行四辺形になります。よって です。
「平行四辺形 ABCD」と頂点の順番が指定されていれば (i) の 1 つだけですが、「4 点を頂点とする」ときは 3 通りを考えます。
問12 ★★
三角形 ABC の辺 BC,CA,AB を に内分する点を、それぞれ D,E,F とします。三角形 DEF の重心が、三角形 ABC の重心と一致することを示しなさい。
頂点の座標を文字でおくと、D,E,F の 座標の和も 座標の和も、A,B,C のものと等しくなる。
,, とおきます。公式3より、D,E,F の 座標は
これらの和を求めます。先に分子どうしを足すと
なので、和は です。
したがって三角形 DEF の重心の 座標は で、三角形 ABC の重心の 座標と等しくなります。 座標もまったく同じ計算で になります。
よって、2 つの三角形の重心は一致します。(証明終)
比が でなくても、3 辺を同じ比 で分ければ、係数の和は ずつ集まるので、同じ結論になります。
問13 ★★
2 点 , と 軸上の点 P について、 の最小値と、そのときの点 P の座標を求めなさい。
のとき最小値
とおきます。
平方完成すると(二次関数 第2章)
はすべての実数をとるので、 のとき最小になります。よって です。
は A,B の 座標の平均で、P は線分 AB の中点 の真下にあります。中線定理(公式5)で見ると、 なので、中点 M に最も近い点で最小になる、と説明できます。
問14 ★★
直線 上の点で、2 点 , から等しい距離にある点 P の座標を求めなさい。
P は直線 上にあるので、 とおけます。 より
左辺は 、右辺は なので
座標は 。よって です。
確かめると、, で等しくなっています。
「直線上の点」は、 座標を とおいて 座標を で表すと、文字が 1 つで済みます。
問15 ★★
2 点 , に対して、三角形 ABC が正三角形になるような点 C の座標を求めなさい。
, の 2 つ
です。 とおくと、 なので
2 式の差をとると、, が消えて
これを 1 つ目の式に代入します。
、このとき (複号同順)です。
よって です。
AB の中点 から、AB と垂直な向きに高さ だけ離れた 2 点で、実際に中点との距離は です。
問16 ★★
長方形 ABCD と、平面上の任意の点 P について、 が成り立つことを、座標を使って示しなさい。
,,,, とおいて両辺を計算すると、どちらも になる。
長方形の辺を座標軸に合わせて、,,,(,)とおきます。P は任意の点なので とおきます。
どちらも に等しいので、 です。(証明終)
長方形の 4 つの頂点は、 座標が か 、 座標が か の組み合わせです。向かい合う頂点 A と C、B と D は、どちらも「 と 」「 と 」を 1 回ずつ使っているので、同じ式になります。P は長方形の外にあっても、長方形と同じ平面上ならどこでもかまいません。
問17 ★★★
三角形 ABC で、,, です。辺 BC を に内分する点を D とするとき、線分 AD の長さを、座標を使って求めなさい。
, です。D を原点、直線 BC を 軸にとって、,, とおきます。 を求めればよいので、 と が分かれば十分です。
, より
2 式の差をとると が消えます。
1 つ目の式から
よって
なので です。
同じ計算を文字で行うと、, のとき が得られます(スチュワートの定理、厳密定義の定理5)。実際 , で一致します。 の場合が中線定理です。
問18 ★★★
3 点 ,, と平面上の点 P について、 の最小値と、そのときの点 P の座標を求めなさい。
のとき最小値
とおいて、 を含む部分と を含む部分に分けて整理します。
を含む部分は
を含む部分は
で、 はこの 2 つの和です。それぞれ平方完成すると
なので
と は別々に自由に動けるので、, がともに になる , のとき最小です。よって です。
点 は三角形 ABC の重心 です。一般に、 が成り立ち、重心 G で最小になります。実際、 です。
問19 ★★★
2 点 , と 軸上の点 P について、 の最小値と、そのときの点 P の座標を求めなさい。
のとき最小値
A,B はどちらも 軸より上にあります。 軸に関して A と対称な点を とすると、 軸上のどの点 P についても です( 軸は線分 の垂直二等分線)。したがって
です。2 点を結ぶ線のうち最も短いのは線分なので、等号は P が線分 上にあるときに成り立ちます。A′ は 軸の下、B は上にあるので、線分 は 軸と交わり、その交点が求める P です。
最小値は
P の位置は、 座標に注目して求めます。A′ から B へ 座標は から まで 増え、 になるのは 増えたところです。つまり P は線分 を に内分する点で
から です。
よって です。
確かめると、, で、和は です。光が 軸の鏡で反射して A から B へ進む道筋と同じで、入る角と出る角が等しくなっています(どちらも )。
問20 ★★★
三角形 ABC の重心を G とするとき、上の等式が成り立つことを、座標を使って示しなさい。
G を原点にとると ,。これを 2 乗して積の和を 2 乗の和で表し、左辺に代入すると右辺になる。
重心 G を原点にとり、,, とおきます。公式4より
左辺の 座標の部分を展開します。
ここで を展開すると
なので、 です。これを代入すると
座標の部分も同様に になります。2 つを足すと
(証明終)
重心を原点に置いたことで、「座標の和が 」という強い条件が使えました。例として正三角形(1 辺 )で確かめると、 なので右辺は 、左辺も で一致します。
座標平面は、英語で Cartesian plane(デカルト平面)と呼ばれます。Cartesian は、17 世紀フランスの哲学者・数学者ルネ・デカルトのラテン語名 Cartesius から来ています。デカルトは 1637 年、『方法序説』の付録として『幾何学』を出版し、図形の問題を文字式の計算に置きかえる方法を示しました。
有名な言い伝えがあります。体が弱く、朝はベッドで長く考えごとをするのが習慣だったデカルトが、天井をはうハエを眺めていて、「ハエの居場所は、2 つの壁からの距離で言い表せる」とひらめいた、という話です。ただし、この話はデカルト本人の書いたものには見当たらず、後の時代に作られた逸話だと考えられています(※出どころは諸説あり)。
実は、同じころ同じ考えにたどり着いた人がもう 1 人います。フランスの法律家で、余暇に数学を研究していたピエール・ド・フェルマーです。フェルマーは 1636 年ごろには、直線や円などを方程式で表す方法を論文にまとめ、知人の数学者たちに回し読みさせていました(※執筆時期は資料により異なる)。ところが本として出版されたのはフェルマーの死後、1679 年のことでした。先に本を出したデカルトの名前が座標に残ったのは、そのためだともいわれます。
豆知識
デカルトの『幾何学』の図には、今のような「直角に交わる 2 本の軸」はまだ描かれていません。1 本の基準の線を決め、そこから測った長さと、決まった角度で引いた線分の長さを組み合わせて点を表していました。軸どうしが直角とは限らなかったのです(この「斜めの座標」は、厳密定義のページで扱います)。負の座標も、今ほど自由には使われていませんでした。「座標(coordinates)」という言葉を使い始めたのは、少しあとのドイツの数学者ライプニッツだとされています(※諸説あり)。今の座標平面は、多くの人の工夫が積み重なってできあがったものです。
ニューヨークのマンハッタンのように、道路が東西と南北にまっすぐ走っている街を想像してください。交差点 から交差点 までタクシーで行くとき、ビルを突っ切ってまっすぐ進むことはできません。東へ ブロック、北へ ブロック、合わせて ブロック走ることになります。
公式2で求める距離は です。一方、タクシーが走る距離は
です。この測り方をタクシー距離、またはマンハッタン距離といいます。19 世紀の終わりから 20 世紀のはじめにかけて、ドイツの数学者ミンコフスキーが、ふつうの距離とは違う「距離」をいろいろ研究した中に含まれていました。「タクシー幾何学」という呼び名が広まったのは、数学者メンガーが 1952 年、アメリカの科学博物館で開いた幾何学の展示の解説冊子で紹介してからだといわれます(※名前の由来は諸説あり)。
タクシー距離の世界では、図形の見え方が変わります。原点からのタクシー距離がちょうど になる点を集めると、 となり、これは 4 点 ,,, を頂点とする正方形です。つまり、この世界の「円」は正方形の形をしています。この「円」の周の長さを同じタクシー距離で測ると 、直径は なので、「円周率」は になります。
豆知識
チェスのキングは、縦・横・斜めのどの向きにも 1 マス進めます。キングが から へ行くには、斜めに 3 回、縦に 1 回で、4 手かかります。この「手数」は 方向と 方向のずれの大きいほう、 で、チェビシェフ距離と呼ばれます。この距離での「円」は、軸に平行な辺をもつ正方形です。同じ 2 点でも、測り方によって距離は ,, と変わります。データ分析や画像処理では、目的に合わせてこれらの距離を使い分けています。
数学の座標平面では、原点を真ん中あたりに置き、 軸は上向きです。ところが、パソコンやスマートフォンの画面の座標は、多くの場合、左上の角が原点で、 軸は下向きです。右へ行くほど が大きく、下へ行くほど が大きくなります。
理由の 1 つは、昔のブラウン管テレビの映し方にあるといわれます。ブラウン管は、電子のビームで画面の左上から右へ 1 行ずつなぞり、1 行終わると次の行へ下がって、また左から右へなぞって映像を作っていました。私たちが横書きの文章を読む順番と同じです。この順番で画面の点に番号をつけると、左上が 番、下の行ほど番号が大きくなるので、自然と「 は下向き」になりました(※由来については諸説あり)。
一方、印刷用の文書形式である PDF や、3D 画像を描くための OpenGL という仕組みでは、原点を左下に置き、 軸を上向きにしています。数学と同じ向きです。ソフトウェアを作る人は、「この座標はどちら向きか」をいつも気にかけています。
豆知識
このアプリの図も、実は「 軸が下向き」の SVG という形式で描かれています。数学の座標 を画面の座標 に直すには、原点を置く画面上の位置を 、1 目盛りの大きさを として
と計算します。 にマイナスが付くのは、 軸に関する対称移動(二次関数 第2章)をしているからで、, を足すのは平行移動です。上向きと下向きの世界は、対称移動と平行移動でつながっています。
※ここは発展ページです。高校の範囲では、本文の公式1〜5が使えれば十分です。「座標はどうやって決まるの?」「座標軸の置き方を自由に変えてよいのはなぜ?」「軸が直角でなかったらどうなるの?」が気になる人のために、根拠を紹介します。
平面上に、点 O で垂直に交わる 2 本の数直線をとる。どちらも O を原点とし、目盛りの単位の長さは等しいとする。一方を 軸、他方を 軸という。
平面上の点 P から 軸、 軸に下ろした垂線の足の座標がそれぞれ , であるとき、実数の組 を点 P の座標という。このように座標を定めた平面を座標平面といい、この座標を直交座標という。
定義1で、点と実数の組は 1 対 1 に対応します。点 P を決めると垂線の足はただ 1 つなので、組 はただ 1 つに決まります。逆に組 が与えられたら、 軸上の点 を通って 軸に垂直な直線と、 軸上の点 を通って 軸に垂直な直線を引きます。この 2 本は平行でないのでただ 1 点で交わり、その交点が座標 をもつただ 1 つの点です。この対応があるから、「点」と「数の組」を同じものとして扱えます。
定義1の「単位の長さが等しい」という条件は、見落とされがちですが大切です。 軸は 1 目盛り 1 cm、 軸は 1 目盛り 2 cm のようにすると、次の定理1は成り立ちません。
座標平面上の 2 点 , に対して、線分 AB の長さは
である(A と B が一致するときは と考える)。
証明 次の 4 つの場合に分ける。
(i) かつ のとき、A と B は一致し、右辺は である。
(ii) , のとき、A,B はともに 軸上の点 を通って 軸に垂直な直線 の上にある。A,B から 軸に下ろした垂線の足を , とすると、 と 軸は平行( 軸、または一致)なので、四角形 は長方形(または線分に重なる)であり、 となる。右辺は で一致する。
(iii) , のとき、(ii) の と を入れかえればよい。
(iv) かつ のとき、点 をとる。C は A とも B とも異なる。(ii) より 、(iii) より である。直線 AC は 軸に平行、直線 CB は 軸に平行で、 軸と 軸は垂直なので、。三平方の定理より
なので、正の平方根をとれば定理の式になる。(証明終)
証明の (iv) で「 軸と 軸が垂直」と、(ii)(iii) で「目盛りの単位が等しい」( を 軸の目盛りで、C と B の距離を 軸の目盛りで測り、それを同じ長さとして三平方の定理に入れている)を使いました。直交座標の 2 つの条件が、どちらも欠かせないことが分かります。
平面上の 2 点 A,B の距離を、2 つの異なる直交座標で計算すると、定理1の式の値は等しい。
証明 定理1の証明は、直交座標の条件(2 軸が垂直で、単位の長さが等しい)だけを使っており、原点の位置や軸の向きには何も使っていない。したがって、どの直交座標で計算しても、定理1の右辺は線分 AB の長さそのものに等しい。線分 AB の長さは座標と関係なく図形として決まっている量なので、2 つの座標で計算した値は等しい。(証明終)
式の中身( や の値)は座標軸の置き方で変わりますが、計算結果は変わらない、ということです。長さ・角の大きさ・面積のような図形の量は、座標をどう置いても同じなので、本文の公式5のように「計算が楽になるように座標軸を置く」ことが許されます。反対に、「ある点の 座標が正である」のような性質は、座標軸の置き方で変わってしまうので、図形の性質とは言えません。
デカルトの『幾何学』では、基準の線が直角に交わるとは限りませんでした(小話1)。そのような座標でも点を数の組で表せますが、距離の公式は形が変わります。
平面上に、点 O で交わる 2 本の数直線( 軸, 軸)をとる。2 本とも原点は O、単位の長さは等しく、 軸の正の向きと 軸の正の向きのなす角を ()とする。
点 P を通って 軸に平行な直線が 軸と交わる点の座標を 、P を通って 軸に平行な直線が 軸と交わる点の座標を とするとき、 を点 P の斜交座標という。
のとき、「軸に平行な直線」は「軸に垂直な直線」になるので、斜交座標は直交座標そのものです。
定義2の斜交座標で、2 点 , に対して , とおくと
が成り立つ。
証明 または のときは、A,B が一方の軸に平行な直線上にある(または一致する)ので、定理1の (i)〜(iii) と同様に となり、 だから式は成り立つ。
かつ とする。点 をとると、AC は 軸に平行で 、CB は 軸に平行で である。C から見て、A は 軸の向きに符号 の側、B は 軸の向きに符号 の側にある。
余弦定理(三角比と三角関数 第3章)を三角形 ACB に使う。 のとき、 より
のとき
どちらの場合も定理の式が成り立つ。(証明終)
なら で、定理1に戻ります。軸が直角でないと、距離の式に「」というおまけの項が付き、計算が一気に面倒になります。高校数学でも、その先の多くの場面でも、直交座標が使われるのはこのためです。
座標平面上の異なる 2 点 , について、線分 AB を に内分する点、外分する点()の座標は、本文の公式3で与えられる。
証明 内分点を P とし、 座標について示す( 座標は 軸に垂線を下ろして同様に示せる)。A,P,B から 軸に下ろした垂線の足を ,, とする。
のとき、直線 AB は 軸に垂直で、P も同じ直線上にあるから であり、P の 座標は 。公式3の右辺も で一致する。
のとき、3 本の垂線 ,, はたがいに平行で(点に重なるものがあっても同じ議論ができる)、直線 AB と 軸はこれらと交わる。平行線と線分の比(図形の性質 第1章)より であり、P が A と B のあいだにあるから も と のあいだにある。よって は数直線上で線分 を に内分する点で、公式1よりその座標は である。
外分点についても、Q が直線 AB 上で線分 AB の外にあることから が線分 の外にあり、 となるので、公式1の外分点の式が使える。(証明終)
この証明では、ベクトルを使わずに、図形の性質(平行線と線分の比)と数直線の公式だけで座標の公式を導きました。ベクトル 第4章の位置ベクトルによる導き方と比べてみてください。
最後に、中線定理を一般化した定理を、座標で証明します。
三角形 ABC の辺 BC 上に点 D をとり、, とする。このとき
が成り立つ。
証明 D を原点、直線 BC を 軸にとり、,, とおく。このとき
左辺を計算すると
となり、右辺に等しい。(証明終)
の 1 次の項 が打ち消し合うのは、係数 , を「たすきに」掛けたからです。内分点の公式で係数が比とたすきに入れかわるのと同じしくみです。
(D が BC の中点)とすると、両辺を で割って となり、中線定理(本文の公式5)が得られます。実践 j17 の数値でも と確かめられます。この定理は、18 世紀スコットランドの数学者マシュー・スチュワートが 1746 年に発表したことから、その名で呼ばれています(※それ以前から知られていたという説もある)。
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