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第6章 命題と論理

—— 「正しい」と言い切るための言葉のルール ——

この章では、数学で「正しい」「正しくない」を判断するための道具を学びます。正しいか正しくないかが決まる文「命題」から始めて、反例の出し方、条件を集合として見る「真理集合」、必要条件・十分条件、条件の否定、逆・裏・対偶、そして背理法までを身につけます。第5章の集合とド・モルガンの法則が、そのまま論理のことばに言いかえられることが分かります。ここで学ぶ証明の型は、この先のすべての分野の証明問題の土台になります。

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命題と真偽

数学では、「正しい」か「正しくない」かがはっきり決まる文や式を扱います。

公式1:命題・真偽・反例
  • 正しいか正しくないかが決まる文や式を命題という。正しいとき命題は真、正しくないとき偽であるという。
  • 「pp ならば qq」という形の命題を pp⟹q{}\Longrightarrow q と書き、pp を仮定、qq を結論という。
  • 「pp ならば qq」が偽であることを示すには、「pp を満たすのに qq を満たさない例」を1つ挙げればよい。この例を反例という。

たとえば「66 は 33 の倍数である」は真の命題、「77 は偶数である」は偽の命題です。一方、「100100 は大きい数である」は人によって判断が分かれるので、命題ではありません。

命題かどうかは、クイズ番組の○×問題を思い浮かべると判断できます。○×問題として出題できるのは、答えが○か×にはっきり決まる文だけです。「このケーキはおいしい」は、答えが人それぞれなので出題できません。

「pp ならば qq」が真であると言うには、pp を満たすものがすべて qq を満たす必要があります。だから、偽を示すには例外が1つあれば十分です。「白鳥はすべて白い」と長く信じられていましたが、オーストラリアで黒い白鳥(コクチョウ)が1羽見つかっただけで、この主張は崩れました。反例とは、この1羽の黒い白鳥のことです。

命題とは真か偽かが決まる文のことで、「pp ならば qq」が偽であることは、反例を1つ見せれば示せるということです。

例題1:命題の真偽と反例

xx は実数、nn は自然数とする。次の命題の真偽を調べ、偽であるものは反例を求めなさい。

(1) nn が 66 の倍数ならば、nn は 33 の倍数である。

(2) x2x^2=4{}= 4 ならば xx=2{}= 2 である。

(3) nn が素数ならば、nn は奇数である。


【解答】

(1) 66 の倍数は 6k6k=3×2k{}= 3 \times 2k(kk は自然数)と書けるので、必ず 33 の倍数です。真‾\underline{\text{真}} です。

(2) xx=−2{}= -2 のとき x2x^2=4{}= 4 ですが、xx=2{}= 2 ではありません。偽‾\underline{\text{偽}} で、反例は x=−2‾\underline{x = -2} です。

(3) 22 は素数ですが偶数です。偽‾\underline{\text{偽}} で、反例は n=2‾\underline{n = 2} です。

反例は1つ挙げれば十分です。「ほとんどの素数は奇数」でも、例外が1つあれば命題は偽になります。

条件と真理集合

「xx>3{}> 3」のように、文字 xx の値を決めてはじめて真偽が決まる文を、xx についての条件といいます。条件は、第5章の集合を使うと目に見える形になります。

公式2:真理集合と命題の真偽

全体集合 UU の要素のうち、条件 pp を満たすもの全体の集合 PP を、pp の真理集合という。条件 pp,qq の真理集合をそれぞれ PP,QQ とすると

p\displaystyle p⟹q が真\displaystyle {}\Longrightarrow q \ \text{が真}  ⟺  P\displaystyle {}\iff P⊂Q\displaystyle {}\subset Q
U P Q P ⊂ Q のとき「p ⇒ q」は真 p は q の十分条件、q は p の必要条件

「pp⟹q{}\Longrightarrow q が真」とは「pp を満たすものはどれも qq を満たす」ことで、これは第5章の PP⊂Q{}\subset Q の意味そのものです。PP が QQ からはみ出していれば、はみ出した部分の要素が反例になります。

住所の関係で考えてみましょう。「東京都に住んでいる」人の集合は、「日本に住んでいる」人の集合にすっぽり入っています。だから「東京都に住んでいるならば、日本に住んでいる」は真です。逆に「日本に住んでいるならば、東京都に住んでいる」は、大阪に住んでいる人という反例があるので偽です。大きい円の中の、小さい円からはみ出した部分に反例が住んでいるわけです。

条件を満たすものの集合(真理集合)を考えると、「pp ならば qq」が真であることは PP⊂Q{}\subset Q と同じで、はみ出した部分が反例になるということです。

例題2:真理集合で真偽を調べる

xx は実数とする。次の命題の真偽を調べ、偽であるものは反例を求めなさい。

(1) ∣x∣|x|<1{}< 1 ならば xx<2{}< 2 である。

(2) xx<2{}< 2 ならば ∣x∣|x|<1{}< 1 である。


【解答】

PP={x∣∣x∣<1}{}= \{x \mid |x| < 1\}={x∣−1<x<1}{}= \{x \mid -1 < x < 1\},QQ={x∣x<2}{}= \{x \mid x < 2\} とします。

(1) 数直線で見ると、−1-1<x{}< x<1{}< 1 は xx<2{}< 2 にすっぽり入ります。PP⊂Q{}\subset Q なので 真‾\underline{\text{真}} です。

(2) QQ⊂P{}\subset P かどうかを調べます。QQ のうち PP からはみ出す部分(xx≦−1{}\leqq -1 や 11≦x{}\leqq x<2{}< 2)から1つ選びます。たとえば xx=1{}= 1 は xx<2{}< 2 を満たしますが ∣1∣|1|<1{}< 1 を満たしません。偽‾\underline{\text{偽}} で、反例は x=1‾\underline{x = 1} です(xx=−3{}= -3 なども反例です)。

必要条件と十分条件

「pp⟹q{}\Longrightarrow q が真」という関係に、pp の側から見た名前と qq の側から見た名前をつけます。

公式3:必要条件・十分条件・同値

命題 pp⟹q{}\Longrightarrow q が真であるとき

  • pp は qq であるための十分条件である
  • qq は pp であるための必要条件である

という。pp⟹q{}\Longrightarrow q と qq⟹p{}\Longrightarrow p がともに真のとき、pp  ⟺  q{}\iff q と書き、pp は qq であるための必要十分条件である(pp と qq は同値である)という。

真理集合で言えば、小さい集合の側が十分条件、大きい集合の側が必要条件です(上の図)。

普通自動車の運転免許で考えます。免許は 1818 歳以上でないと取れないので、「免許を持っている ⟹\Longrightarrow 1818 歳以上」は真です。

矢印 ⟹\Longrightarrow の根元が十分条件、先が必要条件と覚えておくと、取り違えません。

pp⟹q{}\Longrightarrow q が真なら、矢印の根元の pp が十分条件、先の qq が必要条件で、両向きに成り立てば必要十分条件(同値)だということです。

例題3:必要条件・十分条件

xx,yy は実数とする。次の □ に当てはまるものを、ア〜エのうちから求めなさい。

ア:必要条件であるが十分条件でない イ:十分条件であるが必要条件でない ウ:必要十分条件である エ:必要条件でも十分条件でもない

(1) xx=3{}= 3 は x2x^2=9{}= 9 であるための □。

(2) xyxy=0{}= 0 は xx=0{}= 0 であるための □。

(3) xx>0{}> 0 は xx>1{}> 1 であるための □。


【解答】

それぞれ両向きの矢印の真偽を調べます。

(1) xx=3{}= 3⟹x2{}\Longrightarrow x^2=9{}= 9 は真。x2x^2=9{}= 9⟹x{}\Longrightarrow x=3{}= 3 は偽(反例 xx=−3{}= -3)。根元の xx=3{}= 3 は十分条件なので イ‾\underline{\text{イ}} です。

(2) xyxy=0{}= 0⟹x{}\Longrightarrow x=0{}= 0 は偽(反例 xx=1,{}= 1,yy=0{}= 0)。xx=0{}= 0⟹xy{}\Longrightarrow xy=0{}= 0 は真。xyxy=0{}= 0 は矢印の先なので必要条件で、ア‾\underline{\text{ア}} です。

(3) xx>1{}> 1⟹x{}\Longrightarrow x>0{}> 0 は真({x∣x>1}\{x \mid x > 1\}⊂{x∣x>0}{}\subset \{x \mid x > 0\})。xx>0{}> 0⟹x{}\Longrightarrow x>1{}> 1 は偽(反例 xx=12{}= \dfrac{1}{2})。xx>0{}> 0 は大きいほうの集合なので必要条件で、ア‾\underline{\text{ア}} です。

条件の否定

「pp でない」という条件を、pp の否定といい、p‾\overline{p} と書きます。真理集合で言えば、否定は補集合です。

公式4:条件の否定
p かつ q‾\displaystyle \overline{p \ \text{かつ}\ q}  ⟺  p‾ または q‾,\displaystyle {}\iff \overline{p} \ \text{または}\ \overline{q},p または q‾\displaystyle \qquad \overline{p \ \text{または}\ q}  ⟺  p‾ かつ q‾\displaystyle {}\iff \overline{p} \ \text{かつ}\ \overline{q}p‾‾\displaystyle \overline{\overline{p}}  ⟺  p\displaystyle {}\iff p

「すべて」と「ある」を含む命題の否定は、次のようになる。

  • 「すべての xx について pp」の否定は「ある xx について p‾\overline{p}」
  • 「ある xx について pp」の否定は「すべての xx について p‾\overline{p}」

1行目は、第5章のド・モルガンの法則 P∩Q‾\overline{P \cap Q}=P‾∪Q‾{}= \overline{P} \cup \overline{Q},P∪Q‾\overline{P \cup Q}=P‾∩Q‾{}= \overline{P} \cap \overline{Q} を条件のことばで書いたものです。否定をとると「かつ」と「または」が入れかわります。たとえば「xx≧1{}\geqq 1 かつ yy≧1{}\geqq 1」の否定は「xx<1{}< 1 または yy<1{}< 1」です。不等号の否定では、≧\geqq が << に変わる(等号が反対側へ移る)ことにも注意しましょう。

「すべて」の否定は、先生がクラスに「全員、宿題を出した?」と聞く場面を考えると分かります。答えが「いいえ」になるのは、1人でも出していない人がいるときです。「全員が出していない」ではありません。つまり「すべての人が出した」の否定は「出していない人が少なくとも1人いる」です。これは公式1の反例の考え方と同じです。

条件の否定は真理集合の補集合で、「かつ」と「または」が入れかわり、「すべて」の否定は「ある(少なくとも1つ)」になるということです。

例題4:条件と命題の否定

xx,yy は実数、nn は自然数とする。次の条件または命題の否定を求めなさい。

(1) xx>0{}> 0 かつ yy≦2{}\leqq 2

(2) xx,yy の少なくとも一方は 00 である

(3) すべての自然数 nn について n2n^2≧n{}\geqq n である


【解答】

(1) 「かつ」が「または」に変わり、不等号も否定します。x≦0 または y>2‾\underline{x \leqq 0 \ \text{または}\ y > 2} です。

(2) 「少なくとも一方は 00」は「xx=0{}= 0 または yy=0{}= 0」のことです。否定は「xx≠0{}\neq 0 かつ yy≠0{}\neq 0」、つまり x,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8778em}x,} y はどちらも 0 でない‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8778em}\ y \ \text{はどちらも}\ 0 \ \text{でない}} です。

(3) 「すべて」は「ある」に変わり、≧\geqq は << に変わります。ある自然数 n について‾\underline{\text{ある自然数}\ n \ \text{について}} n2<n である‾\underline{n^2 < n \ \text{である}} です。

もとの命題 (3) は真(nn≧1{}\geqq 1 なので n2n^2=n×n{}= n \times n≧n{}\geqq n)なので、この否定は偽の命題です。否定を書くときは、真偽とは関係なく形だけを正しく変えます。

逆・裏・対偶

命題 pp⟹q{}\Longrightarrow q の pp,qq を入れかえたり否定したりすると、関連する3つの命題ができます。

公式5:逆・裏・対偶

命題 pp⟹q{}\Longrightarrow q に対して

逆: q\displaystyle \text{逆:}\ q⟹p\displaystyle {}\Longrightarrow p裏: p‾\displaystyle \text{裏:}\ \overline{p}⟹q‾\displaystyle {}\Longrightarrow \overline{q}対偶: q‾\displaystyle \text{対偶:}\ \overline{q}⟹p‾\displaystyle {}\Longrightarrow \overline{p}

もとの命題とその対偶の真偽は必ず一致する。逆や裏の真偽は、もとの命題と一致するとは限らない。

対偶の真偽が一致するのは、真理集合で見ると分かります。PP⊂Q{}\subset Q ならば、補集合では包含の向きが逆になって Q‾\overline{Q}⊂P‾{}\subset \overline{P} です。大きい円の外にいれば、中の小さい円の外にも必ずいます。

身近な例では、「雨が降った ⟹\Longrightarrow 地面がぬれている」は真です。その対偶「地面がぬれていない ⟹\Longrightarrow 雨は降っていない」も、もちろん真です。しかし逆「地面がぬれている ⟹\Longrightarrow 雨が降った」は偽です。お店の前で打ち水をしただけかもしれません。この打ち水が、逆の反例です。

この性質から、「pp⟹q{}\Longrightarrow q を直接示しにくいときは、対偶 q‾\overline{q}⟹p‾{}\Longrightarrow \overline{p} を示せばよい」という証明の方法が生まれます。

「pp ならば qq」と対偶「qq でないならば pp でない」は真偽が必ず一致するので、直接示しにくい命題は対偶を示せばよいということです。

例題5:対偶を利用した証明

(1) 命題「xx=1{}= 1 ならば x2x^2=1{}= 1」の逆・裏・対偶を求め、それぞれの真偽を求めなさい。ただし xx は実数とする。

(2) 整数 nn について、「n2n^2 が偶数ならば、nn は偶数である」ことを示しなさい。


【解答】

(1) もとの命題は真です。

  • 逆「x2x^2=1{}= 1 ならば xx=1{}= 1」:偽(反例 xx=−1{}= -1)
  • 裏「xx≠1{}\neq 1 ならば x2x^2≠1{}\neq 1」:偽(反例 xx=−1{}= -1)
  • 対偶「x2x^2≠1{}\neq 1 ならば xx≠1{}\neq 1」:真(もとの命題が真だから)

逆と裏は互いに対偶の関係にあるので、真偽が一致しています。

(2) 「n2n^2 が偶数」から出発すると、nn について何も言いにくいので、対偶「nn が奇数ならば、n2n^2 は奇数である」を示します。

nn が奇数のとき、整数 kk を用いて nn=2k{}= 2k+1{}+ 1 と書けます。

n2\displaystyle n^2=(2k+1)2\displaystyle {}= (2k + 1)^2=4k2\displaystyle {}= 4k^2+4k\displaystyle {}+ 4k+1\displaystyle {}+ 1=2(2k2+2k)\displaystyle {}= 2(2k^2 + 2k)+1\displaystyle {}+ 1

2k22k^2+2k{}+ 2k は整数なので、n2n^2 は奇数です。対偶が真なので、もとの命題も真です。(証明終)

背理法

対偶と並ぶ、もう1つの強力な証明方法が背理法です。第3章の厳密定義で 2\sqrt{2} が無理数であることを示したときにも使いました。

公式6:背理法

命題 pp を証明するために、「pp でない」と仮定して矛盾(つじつまの合わないこと)を導き、それによって pp が成り立つと結論する方法を背理法という。

背理法は、推理小説のアリバイ崩しに似ています。「この人が犯人だ」と仮定すると、午後8時に現場にいたことになります。ところが、その時刻にこの人は遠くの駅の防犯カメラに映っていた。これは矛盾です。だから「この人は犯人ではない」と結論できます。仮定から出発して矛盾にたどり着いたら、その仮定のほうが間違っていたのです。

「無理数である」「限りなくある」「少なくとも1つある」のように、否定をとると扱いやすい形(「分数で書ける」「有限個しかない」「1つもない」)になる命題で、背理法は特に力を発揮します。

背理法とは「成り立たない」と仮定して矛盾を導き、仮定が誤りだったと結論する証明の方法だということです。

例題6:背理法による証明

2\sqrt{2} が無理数であることを用いて、33−22{}- 2\sqrt{2} が無理数であることを示しなさい。


【解答】

33−22{}- 2\sqrt{2} が無理数でない、つまり有理数であると仮定し、33−22{}- 2\sqrt{2}=r{}= r(rr は有理数)とおきます。これを変形すると

2\displaystyle \sqrt{2}=3−r2\displaystyle {}= \frac{3 - r}{2}

rr が有理数なので、右辺の 3−r2\dfrac{3 - r}{2} も有理数です(有理数どうしの和・差・積・商は、00 で割る場合を除いて有理数)。すると 2\sqrt{2} が有理数となり、2\sqrt{2} が無理数であることに矛盾します。

よって 33−22{}- 2\sqrt{2} は無理数です。(証明終)

「2\sqrt{2} についての式」から 2\sqrt{2} だけを取り出して矛盾させるのが、この型の証明の決まった流れです。

基礎確認問題(全5問)

まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。

問1

xx は実数とする。命題「xx=2{}= 2 ならば x2x^2=4{}= 4」の真偽を求めなさい。

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答え

真‾\underline{\text{真}}(xx=2{}= 2 を代入すると x2x^2=4{}= 4)

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問2

xx は実数とする。命題「x2x^2=9{}= 9 ならば xx=3{}= 3」は偽である。反例を1つ求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

x=−3‾\underline{x = -3}((−3)2(-3)^2=9{}= 9 だが xx≠3{}\neq 3)

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問3

xx,yy は実数とする。条件「xx>1{}> 1 かつ yy>1{}> 1」の否定を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

x≦1 または y≦1‾\underline{x \leqq 1 \ \text{または}\ y \leqq 1}

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問4

xx は実数とする。命題「xx=1{}= 1 ならば x3x^3=1{}= 1」の対偶を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

x3≠1 ならば x≠1‾\underline{x^3 \neq 1 \ \text{ならば}\ x \neq 1}

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問5

xx は実数とする。xx>5{}> 5 は xx>2{}> 2 であるための何条件かを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

十分条件であるが‾\underline{\text{十分条件であるが}} 必要条件でない‾\underline{\text{必要条件でない}}(xx>5{}> 5⟹x{}\Longrightarrow x>2{}> 2 は真、逆は偽で反例 xx=3{}= 3)

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実践問題(全20問)

難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。

問1 ★

xx,yy は実数、nn は自然数とする。

(1) nn が 44 の倍数ならば、nn は偶数である。

(2) x2x^2>1{}> 1 ならば xx>1{}> 1 である。

(3) xyxy=0{}= 0 ならば xx=0{}= 0 である。

上の (1)〜(3) の命題の真偽を調べ、偽であるものは反例を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 真 (2) 偽(反例 xx=−2{}= -2) (3) 偽(反例 xx=1,{}= 1,yy=0{}= 0)

解説

(1) 44 の倍数は 4k4k=2×2k{}= 2 \times 2k(kk は自然数)と書けるので偶数です。真‾\underline{\text{真}} です。

(2) xx=−2{}= -2 のとき x2x^2=4{}= 4>1{}> 1 ですが、xx>1{}> 1 ではありません。偽‾\underline{\text{偽}} で、反例は x=−2‾\underline{x = -2} です。負の数を忘れないようにしましょう。

(3) xx=1,{}= 1,yy=0{}= 0 のとき xyxy=0{}= 0 ですが、xx≠0{}\neq 0 です。偽‾\underline{\text{偽}} で、反例は x=1,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}x = 1,} y=0‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ y = 0} です。xyxy=0{}= 0 から言えるのは「xx=0{}= 0 または yy=0{}= 0」までです。

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問2 ★

xx は実数とする。

(1) ∣x∣|x|<2{}< 2 ならば xx<3{}< 3 である。

(2) ∣x−1∣|x - 1|≦2{}\leqq 2 ならば 00≦x{}\leqq x≦3{}\leqq 3 である。

真理集合を用いて上の (1),(2) の命題の真偽を調べ、偽であるものは反例を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 真 (2) 偽(反例 xx=−1{}= -1)

解説

(1) PP={x∣−2<x<2}{}= \{x \mid -2 < x < 2\},QQ={x∣x<3}{}= \{x \mid x < 3\} です。PP は QQ にすっぽり入るので PP⊂Q{}\subset Q となり、真‾\underline{\text{真}} です。

(2) ∣x−1∣|x - 1|≦2{}\leqq 2 は −2-2≦x{}\leqq x−1{}- 1≦2{}\leqq 2、つまり −1-1≦x{}\leqq x≦3{}\leqq 3 です。

P\displaystyle P={x∣−1≦x≦3},\displaystyle {}= \{x \mid -1 \leqq x \leqq 3\},Q\displaystyle Q={x∣0≦x≦3}\displaystyle {}= \{x \mid 0 \leqq x \leqq 3\}

PP のうち −1-1≦x{}\leqq x<0{}< 0 の部分が QQ からはみ出しています。偽‾\underline{\text{偽}} で、反例は x=−1‾\underline{x = -1} です(xx=−12{}= -\dfrac{1}{2} なども反例です)。

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問3 ★

xx,yy は実数とする。

(1) xx=1{}= 1 は x2x^2=x{}= x であるための □。

(2) xyxy=0{}= 0 は yy=0{}= 0 であるための □。

(3) x2x^2+y2{}+ y^2=0{}= 0 は xx=y{}= y=0{}= 0 であるための □。

ア:必要条件であるが十分条件でない イ:十分条件であるが必要条件でない ウ:必要十分条件である エ:必要条件でも十分条件でもない

上の □ に当てはまるものを、ア〜エのうちから求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) イ (2) ア (3) ウ

解説

(1) xx=1{}= 1⟹x2{}\Longrightarrow x^2=x{}= x は真です。x2x^2=x{}= x は x(x−1)x(x - 1)=0{}= 0 で xx=0,{}= 0, 1\ 1 なので、x2x^2=x{}= x⟹x{}\Longrightarrow x=1{}= 1 は偽(反例 xx=0{}= 0)です。イ‾\underline{\text{イ}} です。

(2) yy=0{}= 0⟹xy{}\Longrightarrow xy=0{}= 0 は真、xyxy=0{}= 0⟹y{}\Longrightarrow y=0{}= 0 は偽(反例 xx=0,{}= 0,yy=1{}= 1)です。xyxy=0{}= 0 は矢印の先なので ア‾\underline{\text{ア}} です。

(3) xx=y{}= y=0{}= 0 ならば x2x^2+y2{}+ y^2=0{}= 0 は真です。逆に、x2x^2≧0{}\geqq 0,y2y^2≧0{}\geqq 0 なので、和が 00 になるのは x2x^2=0{}= 0 かつ y2y^2=0{}= 0 のときだけです。両向きとも真なので ウ‾\underline{\text{ウ}} です。

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問4 ★

xx,yy は実数とする。

(1) xx≧0{}\geqq 0 かつ yy<3{}< 3

(2) xx=1{}= 1 または yy=2{}= 2

上の (1),(2) の条件の否定を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) xx<0{}< 0 または yy≧3{}\geqq 3 (2) xx≠1{}\neq 1 かつ yy≠2{}\neq 2

解説

否定をとると「かつ」と「または」が入れかわり、それぞれの条件も否定します。

(1) xx≧0{}\geqq 0 の否定は xx<0{}< 0、yy<3{}< 3 の否定は yy≧3{}\geqq 3 なので

x<0 または y≧3‾\underline{x < 0 \ \text{または}\ y \geqq 3}

(2) xx=1{}= 1 の否定は xx≠1{}\neq 1、yy=2{}= 2 の否定は yy≠2{}\neq 2 なので

x≠1 かつ y≠2‾\underline{x \neq 1 \ \text{かつ}\ y \neq 2}

等号 == の否定は ≠\neq で、「xx<1{}< 1 または xx>1{}> 1」と同じ意味です。

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問5 ★

xx は実数とする。命題「xx=2{}= 2 ならば x2x^2−3x{}- 3x+2{}+ 2=0{}= 0」の逆・裏・対偶を求め、それぞれの真偽を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

逆:x2x^2−3x{}- 3x+2{}+ 2=0{}= 0 ならば xx=2{}= 2(偽)、裏:xx≠2{}\neq 2 ならば x2x^2−3x{}- 3x+2{}+ 2≠0{}\neq 0(偽)、対偶:x2x^2−3x{}- 3x+2{}+ 2≠0{}\neq 0 ならば xx≠2{}\neq 2(真)

解説

もとの命題は、xx=2{}= 2 を代入すると 44−6{}- 6+2{}+ 2=0{}= 0 なので真です。

x2x^2−3x{}- 3x+2{}+ 2=(x−1)(x−2){}= (x - 1)(x - 2) なので、x2x^2−3x{}- 3x+2{}+ 2=0{}= 0 の解は xx=1,{}= 1, 2\ 2 です。

  • 逆「x2x^2−3x{}- 3x+2{}+ 2=0{}= 0 ならば xx=2{}= 2」:偽‾\underline{\text{偽}}(反例 xx=1{}= 1)
  • 裏「xx≠2{}\neq 2 ならば x2x^2−3x{}- 3x+2{}+ 2≠0{}\neq 0」:偽‾\underline{\text{偽}}(反例 xx=1{}= 1)
  • 対偶「x2x^2−3x{}- 3x+2{}+ 2≠0{}\neq 0 ならば xx≠2{}\neq 2」:真‾\underline{\text{真}}

対偶はもとの命題と、裏は逆と、それぞれ真偽が一致します。

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問6 ★

xx は実数とする。

(1) −1-1<x{}< x<2{}< 2 は ∣x∣|x|<3{}< 3 であるための □。

(2) ∣x−1∣|x - 1|≦1{}\leqq 1 は 00≦x{}\leqq x≦2{}\leqq 2 であるための □。

ア:必要条件であるが十分条件でない イ:十分条件であるが必要条件でない ウ:必要十分条件である エ:必要条件でも十分条件でもない

上の □ に当てはまるものを、ア〜エのうちから求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) イ (2) ウ

解説

(1) PP={x∣−1<x<2}{}= \{x \mid -1 < x < 2\},QQ={x∣−3<x<3}{}= \{x \mid -3 < x < 3\} です。PP⊂Q{}\subset Q ですが QQ⊂P{}\subset P ではありません(反例 xx=−2{}= -2)。PP は小さいほうの集合なので十分条件で、イ‾\underline{\text{イ}} です。

(2) ∣x−1∣|x - 1|≦1{}\leqq 1 は −1-1≦x{}\leqq x−1{}- 1≦1{}\leqq 1、つまり 00≦x{}\leqq x≦2{}\leqq 2 です。2つの条件の真理集合は等しいので同値で、ウ‾\underline{\text{ウ}} です。

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問7 ★

命題「ある自然数 nn について n2n^2=2n{}= 2n である」の否定を求めなさい。また、もとの命題の真偽を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

否定:すべての自然数 nn について n2n^2≠2n{}\neq 2n である。もとの命題は真

解説

「ある」の否定は「すべて」になり、条件 n2n^2=2n{}= 2n は n2n^2≠2n{}\neq 2n に変わります。

すべての自然数 n について‾\underline{\text{すべての自然数}\ n \ \text{について}} n2≠2n である‾\underline{n^2 \neq 2n \ \text{である}}

もとの命題は、nn=2{}= 2 のとき 222^2=4{}= 4=2×2{}= 2 \times 2 となるので 真‾\underline{\text{真}} です。「ある」の命題は、成り立つ例を1つ見せれば真だと示せます。したがって、否定の命題は偽です。

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問8 ★

整数 nn について、「n2n^2 が奇数ならば、nn は奇数である」ことを、対偶を利用して示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

対偶「nn が偶数ならば n2n^2 は偶数」を示す(解説参照)

解説

対偶「nn が偶数ならば、n2n^2 は偶数である」を示します。

nn が偶数のとき、整数 kk を用いて nn=2k{}= 2k と書けます。

n2\displaystyle n^2=(2k)2\displaystyle {}= (2k)^2=4k2\displaystyle {}= 4k^2=2×2k2\displaystyle {}= 2 \times 2k^2

2k22k^2 は整数なので、n2n^2 は偶数です。対偶が真なので、もとの命題も真です。(証明終)

「n2n^2 が奇数」から nn の形を直接導くのは難しいですが、対偶なら「nn=2k{}= 2k と書いて2乗する」だけで済みます。

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問9 ★★

xx は実数、aa は定数とする。

(1) xx>a{}> a が xx>3{}> 3 であるための必要条件となる aa の値の範囲を求めなさい。

(2) xx>a{}> a が xx>3{}> 3 であるための十分条件となる aa の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) aa≦3{}\leqq 3 (2) aa≧3{}\geqq 3

解説

PP={x∣x>a}{}= \{x \mid x > a\},QQ={x∣x>3}{}= \{x \mid x > 3\} とします。

(1) xx>a{}> a が必要条件   ⟺  \iff xx>3{}> 3⟹x{}\Longrightarrow x>a{}> a が真   ⟺  \iff QQ⊂P{}\subset P です。33 より右の部分が aa より右の部分に入るのは、aa が 33 以下のときです。aa=3{}= 3 のときは PP=Q{}= Q なので成り立ちます。よって a≦3‾\underline{a \leqq 3} です。

(2) xx>a{}> a が十分条件   ⟺  \iff PP⊂Q{}\subset Q です。aa より右の部分が 33 より右の部分に入るのは、aa≧3{}\geqq 3 のときです(aa=3{}= 3 も適します)。よって a≧3‾\underline{a \geqq 3} です。

aa=3{}= 3 のときは両方を満たし、必要十分条件になります。

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問10 ★★

xx,yy は実数とする。

(1) 「xx+y{}+ y>0{}> 0 かつ xyxy>0{}> 0」は「xx>0{}> 0 かつ yy>0{}> 0」であるための □。

(2) 「xx+y{}+ y が有理数」は「xx,yy がともに有理数」であるための □。

ア:必要条件であるが十分条件でない イ:十分条件であるが必要条件でない ウ:必要十分条件である エ:必要条件でも十分条件でもない

上の □ に当てはまるものを、ア〜エのうちから求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) ウ (2) ア

解説

(1) xx>0{}> 0 かつ yy>0{}> 0 ならば、xx+y{}+ y>0{}> 0,xyxy>0{}> 0 です。

逆に xyxy>0{}> 0 ならば、xx と yy は同符号(ともに正かともに負)です。ともに負だと xx+y{}+ y<0{}< 0 となり xx+y{}+ y>0{}> 0 に反するので、ともに正です。両向きとも真なので ウ‾\underline{\text{ウ}} です。

(2) xx,yy がともに有理数ならば、その和 xx+y{}+ y も有理数です。

逆は偽です。反例は xx=2{}= \sqrt{2},yy=−2{}= -\sqrt{2} で、xx+y{}+ y=0{}= 0 は有理数ですが、xx,yy は無理数です。「xx+y{}+ y が有理数」は矢印の先なので ア‾\underline{\text{ア}} です。

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問11 ★★

命題「すべての実数 xx について x2x^2+1{}+ 1>2x{}> 2x である」の否定を求めなさい。また、もとの命題とその否定のうち、真であるものを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

否定:ある実数 xx について x2x^2+1{}+ 1≦2x{}\leqq 2x である。真であるのは否定のほう

解説

「すべて」を「ある」に、>> を ≦\leqq に変えて

ある実数 x について x2‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.1199em}\text{ある実数}\ x \ \text{について}\ x^2}+1≦2x である‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.1199em}{}+ 1 \leqq 2x \ \text{である}}

x2x^2+1{}+ 1−2x{}- 2x=(x−1)2{}= (x - 1)^2 です。xx=1{}= 1 のとき (x−1)2(x - 1)^2=0{}= 0 なので x2x^2+1{}+ 1=2x{}= 2x となり、x2x^2+1{}+ 1≦2x{}\leqq 2x を満たします。

よって 否定のほうが真‾\underline{\text{否定のほうが真}} で、もとの命題は偽です(反例 xx=1{}= 1)。「すべての xx について」を崩すには、成り立たない xx を1つ見つければよく、それがちょうど否定の命題の「ある xx」にあたります。

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問12 ★★

整数 mm,nn について、「mnmn が偶数ならば、mm,nn の少なくとも一方は偶数である」ことを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

対偶「mm,nn がともに奇数ならば mnmn は奇数」を示す(解説参照)

解説

結論「少なくとも一方は偶数」の否定は「どちらも偶数でない」、つまり「ともに奇数」です。そこで対偶「mm,nn がともに奇数ならば、mnmn は奇数である」を示します。

mm=2a{}= 2a+1{}+ 1,nn=2b{}= 2b+1{}+ 1(aa,bb は整数)とおくと

mn\displaystyle mn=(2a+1)(2b+1)\displaystyle {}= (2a + 1)(2b + 1)=4ab\displaystyle {}= 4ab+2a\displaystyle {}+ 2a+2b\displaystyle {}+ 2b+1\displaystyle {}+ 1=2(2ab+a+b)\displaystyle {}= 2(2ab + a + b)+1\displaystyle {}+ 1

2ab2ab+a{}+ a+b{}+ b は整数なので、mnmn は奇数です。対偶が真なので、もとの命題も真です。(証明終)

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問13 ★★

xx,yy は実数とする。「xx+y{}+ y>2{}> 2 ならば、xx>1{}> 1 または yy>1{}> 1 である」ことを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

対偶「xx≦1{}\leqq 1 かつ yy≦1{}\leqq 1 ならば xx+y{}+ y≦2{}\leqq 2」を示す(解説参照)

解説

結論「xx>1{}> 1 または yy>1{}> 1」の否定は「xx≦1{}\leqq 1 かつ yy≦1{}\leqq 1」です。仮定「xx+y{}+ y>2{}> 2」の否定は「xx+y{}+ y≦2{}\leqq 2」です。

対偶「xx≦1{}\leqq 1 かつ yy≦1{}\leqq 1 ならば、xx+y{}+ y≦2{}\leqq 2 である」を示します。

xx≦1{}\leqq 1 と yy≦1{}\leqq 1 の辺々を加えると(第4章 公式1)

x\displaystyle x+y\displaystyle {}+ y≦1\displaystyle {}\leqq 1+1\displaystyle {}+ 1=2\displaystyle {}= 2

となり、対偶は真です。よって、もとの命題も真です。(証明終)

結論に「または」があって直接示しにくいとき、対偶にすると「かつ」になり、2つの条件を両方使えるようになります。

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問14 ★★

2\sqrt{2} が無理数であることを用いて、11+2{}+ \sqrt{2} が無理数であることを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

有理数 rr と仮定すると 2\sqrt{2}=r{}= r−1{}- 1 が有理数となり矛盾(解説参照)

解説

11+2{}+ \sqrt{2} が有理数であると仮定し、11+2{}+ \sqrt{2}=r{}= r(rr は有理数)とおきます。

2\displaystyle \sqrt{2}=r\displaystyle {}= r−1\displaystyle {}- 1

右辺は有理数から 11 を引いたものなので有理数です。すると 2\sqrt{2} が有理数となり、2\sqrt{2} が無理数であることに矛盾します。

よって 11+2{}+ \sqrt{2} は無理数です。(証明終)

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問15 ★★

xx は実数、aa は定数とする。命題「∣x−a∣|x - a|≦1{}\leqq 1 ならば −2-2≦x{}\leqq x≦3{}\leqq 3」が真となる aa の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−1-1≦a{}\leqq a≦2{}\leqq 2

解説

∣x−a∣|x - a|≦1{}\leqq 1 は aa−1{}- 1≦x{}\leqq x≦a{}\leqq a+1{}+ 1 です。

P\displaystyle P={x∣a−1≦x≦a+1},\displaystyle {}= \{x \mid a - 1 \leqq x \leqq a + 1\},Q\displaystyle Q={x∣−2≦x≦3}\displaystyle {}= \{x \mid -2 \leqq x \leqq 3\}

命題が真   ⟺  \iff PP⊂Q{}\subset Q です。PP の両端が QQ に入る条件を立てます。

−2\displaystyle -2≦a\displaystyle {}\leqq a−1\displaystyle {}- 1かつ\displaystyle \text{かつ}a\displaystyle a+1\displaystyle {}+ 1≦3\displaystyle {}\leqq 3

より aa≧−1{}\geqq -1 かつ aa≦2{}\leqq 2、つまり −1≦a≦2‾\underline{-1 \leqq a \leqq 2} です。aa=−1{}= -1 のとき PP={x∣−2≦x≦0}{}= \{x \mid -2 \leqq x \leqq 0\} で、端の −2-2 は QQ に含まれるので適します。

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問16 ★★

xx,yy は実数とする。命題「xx+y{}+ y=2{}= 2 ならば、xx,yy の少なくとも一方は 11 以上である」の逆と対偶を求め、もとの命題・逆・対偶それぞれの真偽を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

逆:xx,yy の少なくとも一方が 11 以上ならば xx+y{}+ y=2{}= 2(偽)。対偶:xx<1{}< 1 かつ yy<1{}< 1 ならば xx+y{}+ y≠2{}\neq 2(真)。もとの命題は真

解説

「少なくとも一方は 11 以上」は「xx≧1{}\geqq 1 または yy≧1{}\geqq 1」で、その否定は「xx<1{}< 1 かつ yy<1{}< 1」です。

  • 逆「xx≧1{}\geqq 1 または yy≧1{}\geqq 1 ならば xx+y{}+ y=2{}= 2」:偽‾\underline{\text{偽}}(反例 xx=5,{}= 5,yy=0{}= 0)
  • 対偶「xx<1{}< 1 かつ yy<1{}< 1 ならば xx+y{}+ y≠2{}\neq 2」:xx<1{}< 1,yy<1{}< 1 を加えると xx+y{}+ y<2{}< 2 なので、xx+y{}+ y≠2{}\neq 2 です。真‾\underline{\text{真}} です。

対偶が真なので、もとの命題も 真‾\underline{\text{真}} です。

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問17 ★★★

(1) 整数 nn について、「n2n^2 が 33 の倍数ならば、nn は 33 の倍数である」ことを示しなさい。

(2) (1) を用いて、3\sqrt{3} が無理数であることを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 対偶を示す (2) 背理法(解説参照)

解説

(1) 対偶「nn が 33 の倍数でないならば、n2n^2 は 33 の倍数でない」を示します。nn が 33 の倍数でないとき、整数 kk を用いて nn=3k{}= 3k+1{}+ 1 または nn=3k{}= 3k+2{}+ 2 と書けます。

(3k+1)2\displaystyle (3k + 1)^2=9k2\displaystyle {}= 9k^2+6k\displaystyle {}+ 6k+1\displaystyle {}+ 1=3(3k2+2k)\displaystyle {}= 3(3k^2 + 2k)+1\displaystyle {}+ 1(3k+2)2\displaystyle (3k + 2)^2=9k2\displaystyle {}= 9k^2+12k\displaystyle {}+ 12k+4\displaystyle {}+ 4=3(3k2+4k+1)\displaystyle {}= 3(3k^2 + 4k + 1)+1\displaystyle {}+ 1

どちらも 33 で割ると 11 余るので、n2n^2 は 33 の倍数ではありません。対偶が真なので、もとの命題も真です。(証明終)

(2) 3\sqrt{3} が有理数であると仮定すると、11 以外に正の公約数をもたない自然数 aa,bb を用いて 3\sqrt{3}=ab{}= \dfrac{a}{b} と書けます。両辺を2乗して分母をはらうと

a2\displaystyle a^2=3b2\displaystyle {}= 3b^2

a2a^2 は 33 の倍数なので、(1) より aa も 33 の倍数です。aa=3c{}= 3c(cc は自然数)とおくと 9c29c^2=3b2{}= 3b^2、つまり b2b^2=3c2{}= 3c^2 となり、同様に bb も 33 の倍数です。

aa,bb がともに 33 を約数にもつことになり、「11 以外に正の公約数をもたない」ことに矛盾します。よって 3\sqrt{3} は無理数です。(証明終)

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問18 ★★★

xx は実数、aa は正の定数とする。条件 pp:∣x−1∣|x - 1|<a{}< a,qq:∣x∣|x|<3{}< 3 について

(1) pp が qq であるための十分条件となる aa の値の範囲を求めなさい。

(2) pp が qq であるための必要条件となる aa の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 00<a{}< a≦2{}\leqq 2 (2) aa≧4{}\geqq 4

解説

aa>0{}> 0 なので、pp は 11−a{}- a<x{}< x<1{}< 1+a{}+ a、qq は −3-3<x{}< x<3{}< 3 です。

P\displaystyle P={x∣1−a<x<1+a},\displaystyle {}= \{x \mid 1 - a < x < 1 + a\},Q\displaystyle Q={x∣−3<x<3}\displaystyle {}= \{x \mid -3 < x < 3\}

(1) pp が十分条件   ⟺  \iff PP⊂Q{}\subset Q です。

−3\displaystyle -3≦1\displaystyle {}\leqq 1−a\displaystyle {}- aかつ\displaystyle \text{かつ}1\displaystyle 1+a\displaystyle {}+ a≦3\displaystyle {}\leqq 3

より aa≦4{}\leqq 4 かつ aa≦2{}\leqq 2 です。aa>0{}> 0 とあわせて 0<a≦2‾\underline{0 < a \leqq 2} です。aa=2{}= 2 のとき PP={x∣−1<x<3}{}= \{x \mid -1 < x < 3\} で、右端はどちらも ○ なので PP⊂Q{}\subset Q です。

(2) pp が必要条件   ⟺  \iff QQ⊂P{}\subset P です。

1\displaystyle 1−a\displaystyle {}- a≦−3\displaystyle {}\leqq -3かつ\displaystyle \text{かつ}3\displaystyle 3≦1\displaystyle {}\leqq 1+a\displaystyle {}+ a

より aa≧4{}\geqq 4 かつ aa≧2{}\geqq 2、つまり a≧4‾\underline{a \geqq 4} です。aa=4{}= 4 のとき PP={x∣−3<x<5}{}= \{x \mid -3 < x < 5\} で、QQ はその中に入ります。

PP の中心は 11 で、QQ の中心 00 とずれているため、(1) では右端が、(2) では左端が決め手になります。

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問19 ★★★

整数 aa,bb,cc が a2a^2+b2{}+ b^2=c2{}= c^2 を満たすとき、aa,bb の少なくとも一方は偶数であることを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

ともに奇数と仮定すると a2a^2+b2{}+ b^2 は 44 で割って 22 余り、c2c^2 は 44 で割って 00 か 11 余るので矛盾(解説参照)

解説

aa,bb がともに奇数であると仮定します。aa=2m{}= 2m+1{}+ 1,bb=2n{}= 2n+1{}+ 1(mm,nn は整数)とおくと

a2\displaystyle a^2+b2\displaystyle {}+ b^2=(4m2+4m+1)\displaystyle {}= (4m^2 + 4m + 1)+(4n2+4n+1)\displaystyle {}+ (4n^2 + 4n + 1)=4(m2+m+n2+n)\displaystyle {}= 4(m^2 + m + n^2 + n)+2\displaystyle {}+ 2

なので、c2c^2=a2{}= a^2+b2{}+ b^2 は 44 で割ると 22 余る数です。

一方、cc を 44 で割った余りについて調べます。

  • cc が偶数(cc=2k{}= 2k)のとき、c2c^2=4k2{}= 4k^2 は 44 で割り切れる。
  • cc が奇数(cc=2k{}= 2k+1{}+ 1)のとき、c2c^2=4(k2+k){}= 4(k^2 + k)+1{}+ 1 は 44 で割ると 11 余る。

どちらの場合も c2c^2 を 44 で割った余りは 22 にならず、矛盾します。よって aa,bb の少なくとも一方は偶数です。(証明終)

たとえば 323^2+42{}+ 4^2=52{}= 5^2,525^2+122{}+ 12^2=132{}= 13^2 でも、確かに 44,1212 が偶数になっています。

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問20 ★★★

xx,yy は実数とする。

(1) xx+y{}+ y と xyxy がともに有理数ならば、xx,yy はともに有理数である。

(2) xx+y{}+ y と xx−y{}- y がともに有理数ならば、xx,yy はともに有理数である。

上の (1),(2) の命題の真偽を調べ、真であるものは証明し、偽であるものは反例を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 偽(反例 xx=2,{}= \sqrt{2},yy=−2{}= -\sqrt{2}) (2) 真(解説参照)

解説

(1) xx=2{}= \sqrt{2},yy=−2{}= -\sqrt{2} とすると

x\displaystyle x+y\displaystyle {}+ y=0,\displaystyle {}= 0,xy\displaystyle xy=−2\displaystyle {}= -2

はともに有理数ですが、xx,yy は無理数です。偽‾\underline{\text{偽}} で、反例は x=2,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{1.1017em}x = \sqrt{2},} y=−2‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{1.1017em}\ y = -\sqrt{2}} です(xx=1{}= 1+2{}+ \sqrt{2},yy=1{}= 1−2{}- \sqrt{2} なども反例です)。

(2) xx+y{}+ y=r{}= r,xx−y{}- y=s{}= s(rr,ss は有理数)とおきます。2式を加えたり引いたりすると

x\displaystyle x=r+s2,\displaystyle {}= \frac{r + s}{2},y\displaystyle y=r−s2\displaystyle {}= \frac{r - s}{2}

有理数どうしの和・差を 22 で割ったものは有理数なので、xx,yy はともに有理数です。真‾\underline{\text{真}} です。(証明終)

(1) では xx,yy を xx+y{}+ y と xyxy で表そうとすると2次方程式の解になり、√ が出てくる余地があります。(2) は1次の式で xx,yy が取り出せるので、有理数の範囲から出られません。

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数学小話コーナー

2000年以上使われている推論の型

「すべての人間は死ぬ。ソクラテスは人間である。ゆえにソクラテスは死ぬ」。この有名な推論の型は三段論法と呼ばれ、古代ギリシャの哲学者アリストテレス(紀元前4世紀)が体系的にまとめました。アリストテレスは、どんな組み合わせの前提からどんな結論が正しく導けるかを分類し、その仕事は中世ヨーロッパまで「論理学」そのものとして学ばれ続けました。なお、ソクラテスを使ったこの例文そのものは、後の時代の教科書で広まったものです(※諸説あり)。

三段論法を真理集合で書くと、とても単純です。人間の集合を PP、死ぬものの集合を QQ とすると、1行目は PP⊂Q{}\subset Q です。ソクラテスが PP の要素なら、PP⊂Q{}\subset Q なので QQ の要素でもあります。「pp⟹q{}\Longrightarrow q かつ qq⟹r{}\Longrightarrow r ならば pp⟹r{}\Longrightarrow r」も、PP⊂Q{}\subset Q⊂R{}\subset R から PP⊂R{}\subset R が言える、というだけのことです。

豆知識

三段論法でよくある誤りは、矢印を逆にたどってしまうことです。「すべての人間は死ぬ。わが家の金魚は死ぬ。ゆえに金魚は人間である」は明らかにおかしいですね。これは「pp⟹q{}\Longrightarrow q が真」から「qq⟹p{}\Longrightarrow p も真」としてしまった、逆の取り違えです。

4枚のカードの問題

テーブルに4枚のカードが置かれています。どのカードも、片面にはアルファベット、もう片面には数字が書かれています。見えている面は「E」「K」「4」「7」です。

「母音が書かれたカードの裏には、偶数が書かれている」

というルールが守られているかを確かめるために、必ずめくる必要があるのはどのカードでしょう。

これはイギリスの心理学者ピーター・ウェイソンが 1966 年に発表した「4枚カード問題」です。多くの人が「E と 4」と答えますが、正解は「E と 7」です。「4」の裏が子音でも、ルールは破られていません(逆の取り違え)。一方、「7」の裏が母音だとルール違反です。ルール「母音 ⟹\Longrightarrow 偶数」を確かめるには、その対偶「奇数 ⟹\Longrightarrow 母音でない」も確かめる必要があるのです。実験では、正しく答えられる人はかなり少ないと報告されています(正答率は実験によって差があります)。

豆知識

同じ論理の問題でも、「お酒を飲んでいる人は 2020 歳以上でなければならない」という形にすると、ぐっと解きやすくなることが知られています。「ビールを飲んでいる人」と「1616 歳の人」を調べればよい、とすぐ分かりますね。記号より身近な場面のほうが、対偶を自然に使えるようです。

素数は尽きない

2,2, 3,\ 3, 5,\ 5, 7,\ 7, 11,\ 11, …\ \ldots と続く素数は、どこまでも限りなくあります。このことを最初に証明したのは、古代ギリシャのユークリッドの『原論』(紀元前300年ごろ)第9巻の命題20だとされています。

今日よく紹介される形は、背理法です。素数が有限個しかないと仮定して、それを全部かけて 11 を足した数 NN をつくります。NN はどの素数で割っても 11 余るので、どの素数でも割り切れません。しかし 11 より大きい整数は必ず何かの素数で割り切れるはずで、これは矛盾です。よって素数は無限にあります。

ただし『原論』の原文は「どんな有限個の素数が与えられても、それ以外の素数が見つかる」という書き方で、厳密には背理法の形ではないという指摘もあります(※諸説あり)。どちらにしても、2000年以上前の証明がいまもそのまま通用するのは、数学ならではのことです。

豆知識

「素数を全部かけて 11 を足した数は素数」と覚えてしまうのは誤りです。2×3×5×7×11×132 \times 3 \times 5 \times 7 \times 11 \times 13+1{}+ 1=30031{}= 30031 は 59×50959 \times 509 と分解できます。証明で言えるのは「NN を割り切る素数は、最初に並べた中にない」ことまでで、NN 自身が素数とは限りません。

厳密定義(発展)

※ここは発展ページです。本文では「pp ならば qq」の真偽を、真理集合や身近な例で判断しました。ここでは、命題の真偽を 11 と 00 のような「真・偽の組み合わせ」だけで定め、対偶や背理法がなぜ正しいのかを確かめます。

真理値表

定義1:否定・かつ・または

命題 pp,qq に対し、p‾\overline{p},「pp かつ qq」,「pp または qq」の真偽を次の表で定める(T は真、F は偽)。

ppqqp‾\overline{p}pp かつ qqpp または qq
TTFTT
TFFFT
FTTFT
FFTFF

このような表を真理値表といいます。「または」は、両方が真のときも真です(第5章の和集合と同じ)。

定義2:「ならば」

命題 pp⟹q{}\Longrightarrow q の真偽を次の表で定める。

ppqqp⟹qp \Longrightarrow q
TTT
TFF
FTT
FFT

すなわち、pp⟹q{}\Longrightarrow q が偽になるのは「pp が真で qq が偽」のときだけである。

仮定 pp が偽のときは、結論が何であっても pp⟹q{}\Longrightarrow q は真とします。奇妙に見えますが、「雨が降ったら傘を持っていく」と約束した人は、晴れた日に傘を持っていってもいかなくても、約束を破ったことにはなりません。約束が破られるのは「雨が降ったのに傘を持っていかなかった」ときだけです。

条件 pp,qq についての命題「pp⟹q{}\Longrightarrow q」は、全体集合のすべての要素 xx について、上の意味で「p(x)p(x)⟹q(x){}\Longrightarrow q(x)」が真であることと定めます。p(x)p(x) が偽の xx では自動的に真なので、確かめるべきは xx∈P{}\in P の場合だけになり、これが本文の公式2「PP⊂Q{}\subset Q」です。

対偶と同値

定理1:対偶の真偽は一致する

pp⟹q{}\Longrightarrow q と q‾\overline{q}⟹p‾{}\Longrightarrow \overline{p} は、pp,qq のどんな真偽の組み合わせでも同じ真偽をとる。

証明 真理値表で比べる。

ppqqq‾\overline{q}p‾\overline{p}p⟹qp \Longrightarrow qq‾⟹p‾\overline{q} \Longrightarrow \overline{p}
TTFFTT
TFTFFF
FTFTTT
FFTTTT

最後の2列はすべての行で一致する。(証明終)

同じ表で逆 qq⟹p{}\Longrightarrow p を計算すると、2行目が T、3行目が F となり、もとの命題とは一致しません。逆・裏がもとの命題と真偽を共有しないことも、表から確かめられます。

定理2:ド・モルガンの法則(命題)
p かつ q‾\displaystyle \overline{p \ \text{かつ}\ q}  ⟺  p‾ または q‾,\displaystyle {}\iff \overline{p} \ \text{または}\ \overline{q},p または q‾\displaystyle \overline{p \ \text{または}\ q}  ⟺  p‾ かつ q‾\displaystyle {}\iff \overline{p} \ \text{かつ}\ \overline{q}

証明 1つめを真理値表で確かめる。

ppqqp かつ q‾\overline{p \ \text{かつ}\ q}p‾ または q‾\overline{p} \ \text{または}\ \overline{q}
TTFF
TFTT
FTTT
FFTT

2つの列は一致する。2つめも同様に確かめられる。(証明終)

第5章の厳密定義で集合のド・モルガンの法則を証明したとき、途中で「『xx∈A{}\in A または xx∈B{}\in B』ではない   ⟺  \iff xx∉A{}\notin A かつ xx∉B{}\notin B」を使いました。その部分を支えていたのが、この定理2です。

「すべて」と「ある」

定義3:全称命題と存在命題

全体集合 UU と条件 p(x)p(x) について

  • 「すべての xx∈U{}\in U について p(x)p(x)」は、真理集合 PP が PP=U{}= U のとき真、そうでないとき偽とする。
  • 「ある xx∈U{}\in U について p(x)p(x)」は、PP≠∅{}\neq \varnothing のとき真、PP=∅{}= \varnothing のとき偽とする。
定理3:全称命題と存在命題の否定

「すべての xx について p(x)p(x)」の否定は、「ある xx について p(x)‾\overline{p(x)}」と同値である。

証明 条件 p(x)‾\overline{p(x)} の真理集合は P‾\overline{P} である。定義3より、「すべての xx について p(x)p(x)」が偽であるのは PP≠U{}\neq U のとき、またそのときに限る。ここで

P\displaystyle P≠U\displaystyle {}\neq U  ⟺  P‾\displaystyle {}\iff \overline{P}≠∅\displaystyle {}\neq \varnothing

である。これは「PP が全体でない   ⟺  \iff PP に入らない要素がある」ことによる。さらに定義3より、P‾\overline{P}≠∅{}\neq \varnothing のとき、またそのときに限り「ある xx について p(x)‾\overline{p(x)}」が真である。以上をつなげると、「すべての xx について p(x)p(x)」が偽であることと、「ある xx について p(x)‾\overline{p(x)}」が真であることは同値である。(証明終)

PP≠∅{}\neq \varnothing を P‾\overline{P}≠U{}\neq U と読みかえれば、「ある」の否定が「すべて」になることも同じように示せます。

背理法の根拠

定理4:背理法

命題 pp について、「p‾\overline{p}⟹r{}\Longrightarrow r」と「p‾\overline{p}⟹r‾{}\Longrightarrow \overline{r}」がともに真であるような命題 rr があれば、pp は真である。

証明 pp が偽であるとすると p‾\overline{p} は真である。定義2より、仮定が真で「ならば」が真なら結論も真なので、rr と r‾\overline{r} がともに真となる。しかし定義1より rr と r‾\overline{r} の一方は必ず偽である。よって pp は偽ではなく、真である。(証明終)

本文の例題6では、rr にあたるのが「2\sqrt{2} は有理数である」でした。「33−22{}- 2\sqrt{2} は有理数」から rr が導かれ、一方で r‾\overline{r}(2\sqrt{2} は無理数)は既に分かっていたので、矛盾が生じたわけです。

背理法と対偶による証明はよく似ています。pp⟹q{}\Longrightarrow q を背理法で示すときは「pp かつ q‾\overline{q}」を仮定して矛盾を導きます。対偶は、その矛盾が特に「p‾\overline{p}」という形で出てくる場合だと見ることができます。この先の分野では、証明問題のたびにどちらを使うかを選ぶことになります。

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