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第4章 一次不等式と絶対値

—— 「どれくらいまでなら大丈夫か」を式で表す ——

この章では、大小関係を表す「不等式」の扱い方を学びます。方程式とほとんど同じ手順で解けますが、負の数をかけたり割ったりすると不等号の向きが変わる点だけが大きな違いです。連立不等式や文章題に進んだあと、第3章で導入した絶対値を使い、$|x - 2| < 3$ のような絶対値つきの方程式・不等式を「距離」の見方と場合分けの2通りで解けるようにします。

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不等式の性質

3x3x−5{}- 5>7{}> 7 のように、不等号(<<,>>,≦\leqq,≧\geqq)を使って大小関係を表した式を不等式といいます。不等式を満たす xx の値の範囲を求めることを「不等式を解く」といい、求めた範囲を解といいます。方程式の解が「ぴったりこの値」なのに対し、不等式の解は「この値より大きい」のような範囲になるのが特徴です。

公式1:不等式の性質

aa<b{}< b のとき

(1) a\displaystyle \text{(1)}\ a+c\displaystyle {}+ c<b\displaystyle {}< b+c,\displaystyle {}+ c,a\displaystyle \qquad a−c\displaystyle {}- c<b\displaystyle {}< b−c\displaystyle {}- c(2) c\displaystyle \text{(2)}\ c>0 ならば ac\displaystyle {}> 0 \text{ ならば } ac<bc,\displaystyle {}< bc,ac\displaystyle \qquad \frac{a}{c}<bc\displaystyle {}< \frac{b}{c}(3) c\displaystyle \text{(3)}\ c<0 ならば ac\displaystyle {}< 0 \text{ ならば } ac>bc,\displaystyle {}> bc,ac\displaystyle \qquad \frac{a}{c}>bc\displaystyle {}> \frac{b}{c}

同じ数を足しても引いても、正の数をかけても割っても、不等号の向きは変わらない。負の数をかけたり割ったりしたときだけ、向きが逆になる。

(3) が方程式にはない新しいルールです。22<5{}< 5 の両辺に −1-1 をかけると −2-2 と −5-5 ですが、数直線で −2-2 は −5-5 より右にあるので、−2-2>−5{}> -5 です。向きがひっくり返りました。

これは借金の額で考えると自然です。Aさんが 22 万円、Bさんが 55 万円持っていれば、たくさん持っているのはBさんです。ところが、Aさんが 22 万円、Bさんが 55 万円の借金をしているなら、ふところ具合がましなのはAさんのほうですね。「持っている額」にマイナスをつけて「借りている額」に変えたとたん、どちらが上かが入れかわる。これが (3) の正体です。

不等式は方程式と同じように変形できるが、負の数をかけたり割ったりしたときだけ不等号の向きを逆にするということです。

例題1:不等式の性質を使う

(1) aa<b{}< b のとき、2a2a−1{}- 1 と 2b2b−1{}- 1、−a3-\dfrac{a}{3} と −b3-\dfrac{b}{3} の大小関係を、それぞれ不等号を用いて求めなさい。

(2) −1-1<x{}< x<2{}< 2 のとき、3x3x−2{}- 2 と 44−x{}- x のとりうる値の範囲を求めなさい。


【解答】

(1) 両辺に正の数 22 をかけても向きは変わらず、11 を引いても変わりません。2a‾\underline{\rule[-0.0833em]{0em}{0.7778em}2a}−1<2b‾\underline{\rule[-0.0833em]{0em}{0.7778em}{}- 1 < 2b}−1‾\underline{\rule[-0.0833em]{0em}{0.7778em}{}- 1} です。

両辺を負の数 −3-3 で割ると向きが逆になるので、−a3>−b3‾\underline{-\dfrac{a}{3} > -\dfrac{b}{3}} です。

(2) 3つの辺に同じ操作をします。−1-1<x{}< x<2{}< 2 の各辺を 33 倍して 22 を引くと

−3\displaystyle -3<3x\displaystyle {}< 3x<6\displaystyle {}< 6より\displaystyle \text{より}−5<3x‾\displaystyle \underline{\rule[-0.0833em]{0em}{0.7278em}-5 < 3x}−2<4‾\displaystyle \underline{\rule[-0.0833em]{0em}{0.7278em}{}- 2 < 4}

44−x{}- x は、まず各辺に −1-1 をかけます。向きが逆になり −2-2<−x{}< -x<1{}< 1 です。各辺に 44 を足して

2<4‾\displaystyle \underline{\rule[-0.0833em]{0em}{0.7278em}2 < 4}−x<5‾\displaystyle \underline{\rule[-0.0833em]{0em}{0.7278em}{}- x < 5}

となります。向きが逆になったら、小さいほうが左に来るよう書き直しておくと見やすくなります。

一次不等式の解き方

移項して整理すると axax>b{}> b や axax≦b{}\leqq b(aa≠0{}\neq 0)の形になる不等式を、一次不等式といいます。

公式2:一次不等式の解き方
  1. 係数に分数や小数があれば、両辺に正の数をかけて整数にする。
  2. xx を含む項を左辺に、数の項を右辺に移項して、axax>b{}> b の形にする。
  3. 両辺を aa で割る。aa<0{}< 0 のときは不等号の向きを逆にする。

手順は方程式とまったく同じです。移項は「両辺に同じ数を足す・引く」ことなので、向きは変わりません。気をつけるのは最後の割り算だけです。

不等式は、傾いた天秤のようなものです。方程式がつり合った天秤なら、不等式は片側が重くて傾いたままの天秤です。両方の皿に同じ重りを載せても、同じだけ取り除いても、傾きの向きは変わりません。移項が自由にできるのはこのためです。ただし「負の数をかける」ことは、皿の左右を入れかえるような操作なので、傾きの向きが逆になります。

一次不等式は方程式と同じ手順で axax>b{}> b の形にし、最後に xx の係数で割るとき、係数が負なら向きを逆にすれば解けるということです。

例題2:一次不等式を解く

次の不等式の解を求めなさい。

(1) 5x\displaystyle \text{(1)}\ 5x−3\displaystyle {}- 3<2x\displaystyle {}< 2x+9\displaystyle {}+ 9(2) 2(x−3)\displaystyle \text{(2)}\ 2(x - 3)≧5x\displaystyle {}\geqq 5x+3\displaystyle {}+ 3(3) x3\displaystyle \text{(3)}\ \frac{x}{3}−1\displaystyle {}- 1>x−22\displaystyle {}> \frac{x - 2}{2}

【解答】

(1) 移項すると 3x3x<12{}< 12 です。正の数 33 で割って x<4‾\underline{x < 4}

(2) かっこをはずすと 2x2x−6{}- 6≧5x{}\geqq 5x+3{}+ 3 です。移項して −3x-3x≧9{}\geqq 9 となります。負の数 −3-3 で割るので向きを逆にして

x≦−3‾\underline{x \leqq -3}

(3) 分母の 33 と 22 を払うため、両辺に 66 をかけます(正の数なので向きはそのまま)。

2x\displaystyle 2x−6\displaystyle {}- 6>3(x−2),\displaystyle {}> 3(x - 2),2x\displaystyle 2x−6\displaystyle {}- 6>3x\displaystyle {}> 3x−6,\displaystyle {}- 6,−x\displaystyle {}\qquad -x>0\displaystyle {}> 0

両辺に −1-1 をかけて向きを逆にし、x<0‾\underline{x < 0} です。

連立不等式

いくつかの不等式を組にしたものを連立不等式といいます。連立不等式を解くとは、どの不等式も同時に満たす xx の範囲を求めることです。

公式3:連立不等式の解き方
  1. それぞれの不等式を解く。
  2. 解を数直線に書き込み、すべてに共通する部分を読み取る(端を含むときは ●、含まないときは ○)。
  3. AA<B{}< B<C{}< C の形の不等式は、{A<BB<C\begin{cases} A < B \\ B < C \end{cases} という連立不等式として解く。

共通する部分がなければ「解なし」である。

−4 −3 −2 −1 0 1 2 3 4 5 x > −2 x ≦ 3 重なった部分が解 白丸 ○ は含まない、黒丸 ● は含む

映画館の子ども料金を思い浮かべてください。「6歳以上」と「12歳以下」の両方を満たす人だけが、子ども料金で入れます。5歳の子は1つめの条件を、13歳の子は2つめの条件を満たさないので対象外です。連立不等式の解は、この「両方の条件をくぐり抜けた範囲」にあたります。数直線に2本の線を引き、重なったところを探せば、見落としがありません。

AA<B{}< B<C{}< C を「AA<C{}< C と BB<C{}< C」のように組み直すのは誤りです。必ずとなりどうしを組にして、AA<B{}< B と BB<C{}< C に分けます。

連立不等式は、1つずつ解いた結果を数直線に並べ、全部の線が重なった部分を答えればよいということです。

例題3:連立不等式を解く

次の連立不等式、不等式の解を求めなさい。

(1) {2x+1>−33x−5≦x+1\displaystyle \text{(1)}\ \begin{cases} 2x + 1 > -3 \\ 3x - 5 \leqq x + 1 \end{cases}(2) x\displaystyle \text{(2)}\ x−1\displaystyle {}- 1<3x\displaystyle {}< 3x+5\displaystyle {}+ 5<2x\displaystyle {}< 2x+7\displaystyle {}+ 7(3) {x+3>2x3x≧2x+5\displaystyle \text{(3)}\ \begin{cases} x + 3 > 2x \\ 3x \geqq 2x + 5 \end{cases}

【解答】

(1) 1つめは 2x2x>−4{}> -4 より xx>−2{}> -2、2つめは 2x2x≦6{}\leqq 6 より xx≦3{}\leqq 3 です。上の図のように共通部分をとって

−2<x≦3‾\underline{-2 < x \leqq 3}

(2) 2つの不等式に分けます。

x\displaystyle x−1<3x\displaystyle {}- 1 < 3x+5\displaystyle {}+ 5 より\displaystyle \ \text{より} −2x\displaystyle {}\ -2x<6,\displaystyle {}< 6, x\displaystyle \ x>−3\displaystyle {}> -33x\displaystyle 3x+5<2x\displaystyle {}+ 5 < 2x+7\displaystyle {}+ 7 より x\displaystyle \ \text{より}\ x<2\displaystyle {}< 2

共通部分は −3<x<2‾\underline{-3 < x < 2} です。

(3) 1つめは xx<3{}< 3、2つめは xx≧5{}\geqq 5 です。33 より小さく、しかも 55 以上である数はないので、解なし‾\underline{\text{解なし}} です。

不等式の応用

不等式の解は範囲なので、「条件を満たす整数はいくつあるか」「最大で何個まで買えるか」といった問いに答えるのに向いています。

公式4:不等式の応用(整数解・文章題)
  • 整数解:不等式を解いてから、その範囲に入る整数を数直線で数える。
  • 文章題:
    1. 求めるもの(個数・人数など)を xx とおく。
    2. 「以上(≧\geqq)」「以下(≦\leqq)」「より大きい・超える(>>)」「未満(<<)」を読み取り、不等式をつくる。
    3. 解いた範囲から、問題の条件(自然数である、など)に合う値を選ぶ。

「以上・以下」はその数を含み、「より大きい・未満」は含みません。1010 以上なら 1010 も入り、1010 未満なら 1010 は入りません。文章題では、この読み取りがいちばんの山場です。

エレベーターの定員を考えてみましょう。積める重さの上限から計算したら「17.317.3 人まで」となっても、0.30.3 人は乗れないので定員は 1717 人です。不等式を解いて出てくる範囲はふつう小数や分数を含みますが、答えが「個数」や「人数」なら、その範囲の中の整数だけを拾い上げます。

文章題は「以上・以下・未満」を不等号に置きかえて不等式をつくり、解いた範囲から条件に合う整数を選べばよいということです。

例題4:整数解と文章題

(1) 不等式 2x2x−5{}- 5<4{}< 4 を満たす自然数 xx をすべて求めなさい。

(2) 重さ 400400 g の箱に、11 個 150150 g の缶詰を詰めて、全体の重さを 33 kg 以下にしたい。缶詰は最大で何個詰められるかを求めなさい。


【解答】

(1) 2x2x<9{}< 9 より xx<4.5{}< 4.5 です。4.54.5 より小さい自然数は 1,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}1,} 2,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 2,} 3,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 3,} 4‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 4} です。

(2) 缶詰を xx 個詰めるとします。33 kg =3000= 3000 g で、「以下」なので ≦\leqq を使います。

400\displaystyle 400+150x\displaystyle {}+ 150x≦3000,\displaystyle {}\leqq 3000,150x\displaystyle 150x≦2600,\displaystyle {}\leqq 2600,x\displaystyle x≦523\displaystyle {}\leqq \frac{52}{3}=17.33⋯\displaystyle {}= 17.33\cdots

xx は自然数なので、最大で 17 個‾\underline{17 \text{ 個}} です。

絶対値を含む方程式・不等式

第3章で学んだように、∣x∣|x| は数直線上で原点と点 xx の距離、∣x−a∣|x - a| は点 aa と点 xx の距離です。この見方を使うと、絶対値を含む方程式・不等式は、距離の問題として一気に解けます。

公式5:絶対値を含む方程式・不等式

rr>0{}> 0 のとき

(1) ∣x∣\displaystyle \text{(1)}\ |x|=r\displaystyle {}= r  ⟺  x\displaystyle {}\iff x=±r\displaystyle {}= \pm r(2) ∣x∣\displaystyle \text{(2)}\ |x|<r\displaystyle {}< r  ⟺  −r\displaystyle {}\iff -r<x\displaystyle {}< x<r\displaystyle {}< r(3) ∣x∣\displaystyle \text{(3)}\ |x|>r\displaystyle {}> r  ⟺  x\displaystyle {}\iff x<−r または r\displaystyle {}< -r \ \text{または}\ r<x\displaystyle {}< x

∣x−a∣|x - a| や ∣2x+1∣|2x + 1| のときは、絶対値の中身をひとかたまりとみて、(1)〜(3) を当てはめる。

記号   ⟺  \iff は「左と右が同じ条件である」ことを表します。(2) は「原点からの距離が rr より小さい点」なので、−r-r と rr の間です。(3) は「距離が rr より大きい点」なので、−r-r と rr の外側になり、答えは2つの範囲に分かれます。

Wi-Fi の電波で考えるとイメージしやすいでしょう。ルーターから 33 m 以内なら電波が届くとき、届くのはルーターの右側 33 m と左側 33 m の間です。ルーターの位置を aa とすると、「届く」は ∣x−a∣|x - a|≦3{}\leqq 3、「届かない」は ∣x−a∣|x - a|>3{}> 3 で、届かない場所は左右の両側に広がります。

∣x−a∣|x - a|<r{}< r は「aa からの距離が rr 未満」なので aa をはさむ区間、∣x−a∣|x - a|>r{}> r はその外側の2つの範囲になるということです。

例題5:絶対値を含む方程式・不等式

次の方程式、不等式の解を求めなさい。

(1) ∣x−2∣\displaystyle \text{(1)}\ |x - 2|=3\displaystyle {}= 3(2) ∣x−2∣\displaystyle \text{(2)}\ |x - 2|<3\displaystyle {}< 3(3) ∣2x+1∣\displaystyle \text{(3)}\ |2x + 1|≧5\displaystyle {}\geqq 5

【解答】

(1) xx−2{}- 2=±3{}= \pm 3 より xx=2{}= 2±3{}\pm 3、つまり x=5,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}x = 5,} −1‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}{}\ -1} です。点 22 から距離 33 の点、と読んでも同じ答えになります。

(2) −3-3<x{}< x−2{}- 2<3{}< 3 です。各辺に 22 を足して −1<x<5‾\underline{-1 < x < 5}

(3) 中身の 2x2x+1{}+ 1 をひとかたまりとみると、2x2x+1{}+ 1≦−5{}\leqq -5 または 55≦2x{}\leqq 2x+1{}+ 1 です。

2x\displaystyle 2x≦−6 より x\displaystyle {}\leqq -6 \ \text{より}\ x≦−3,\displaystyle {}\leqq -3,2x\displaystyle 2x≧4 より x\displaystyle {}\geqq 4 \ \text{より}\ x≧2\displaystyle {}\geqq 2

よって x≦−3,‾\underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}x \leqq -3,} 2≦x‾\underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}\ 2 \leqq x} です。

場合分けで絶対値をはずす

∣x−1∣|x - 1|=2x{}= 2x+4{}+ 4 のように右辺にも xx があるときや、絶対値が2つ以上あるときは、公式5がそのままでは使えません。そこで、絶対値の記号を場合に分けてはずします。

公式6:場合分けによる解き方
  1. 絶対値の中身が 00 になる xx の値(境目)を求める。
  2. 境目で xx の範囲を分け、それぞれの範囲で中身の符号を調べて絶対値をはずす。 ∣x−a∣\displaystyle |x - a|={x−a(x≧a)−(x−a)(x<a)\displaystyle {}= \begin{cases} x - a & (x \geqq a) \\ -(x - a) & (x < a) \end{cases}
  3. 各範囲で方程式・不等式を解き、その範囲に入るものだけを解とする。最後に全部を合わせる。

手順3の「その範囲に入るものだけ」がいちばんの注意点です。「xx≧1{}\geqq 1 のとき」と決めて解いたのに xx=−5{}= -5 が出てきたら、それは前提に合わないので捨てます。

場合分けは衣替えに似ています。暑さ寒さの境目の日を決めて、それより前は冬服、あとは夏服に切り替えます。絶対値でも、中身が 00 になる点が境目で、その左右で「着る式」が変わります。境目が2つあれば、季節は3つに分かれると考えればよいのです。

絶対値は、中身が 00 になる点を境目に範囲を分けてはずし、各範囲で出た解がその範囲に入っているかを必ず確かめるということです。

例題6:場合分けで解く

次の方程式、不等式の解を求めなさい。

(1) ∣x−1∣\displaystyle \text{(1)}\ |x - 1|=2x\displaystyle {}= 2x+4\displaystyle {}+ 4(2) ∣x−1∣\displaystyle \text{(2)}\ |x - 1|+∣x+2∣\displaystyle {}+ |x + 2|<5\displaystyle {}< 5

【解答】

(1) 境目は xx=1{}= 1 です。

  • xx≧1{}\geqq 1 のとき、xx−1{}- 1=2x{}= 2x+4{}+ 4 より xx=−5{}= -5。これは xx≧1{}\geqq 1 を満たさないので不適です。
  • xx<1{}< 1 のとき、−(x−1)-(x - 1)=2x{}= 2x+4{}+ 4 より −3x-3x=3{}= 3、xx=−1{}= -1。これは xx<1{}< 1 を満たします。

よって x=−1‾\underline{x = -1} です。

(2) 境目は xx=−2{}= -2 と xx=1{}= 1 の2つなので、3つの範囲に分けます。

  • xx<−2{}< -2 のとき、−(x−1)-(x - 1)−(x+2){}- (x + 2)<5{}< 5 より −2x-2x−1{}- 1<5{}< 5、xx>−3{}> -3。範囲と合わせて −3-3<x{}< x<−2{}< -2
  • −2-2≦x{}\leqq x<1{}< 1 のとき、−(x−1)-(x - 1)+(x+2){}+ (x + 2)<5{}< 5 より 33<5{}< 5。これはいつも成り立つので、−2-2≦x{}\leqq x<1{}< 1 全体が解です。
  • xx≧1{}\geqq 1 のとき、(x−1)(x - 1)+(x+2){}+ (x + 2)<5{}< 5 より 2x2x+1{}+ 1<5{}< 5、xx<2{}< 2。範囲と合わせて 11≦x{}\leqq x<2{}< 2

3つを合わせると、つながって −3<x<2‾\underline{-3 < x < 2} です。

数直線で見ると、∣x−1∣|x - 1|+∣x+2∣{}+ |x + 2| は「点 11 までの距離」と「点 −2-2 までの距離」の和です。xx が −2-2 と 11 の間にあれば和はいつも 33 で、外に出るほど大きくなります。

基礎確認問題(全5問)

まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。

問1

aa<b{}< b のとき、−3a-3a と −3b-3b の大小関係を不等号を用いて求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−3a>−3b‾\underline{-3a > -3b}(負の数をかけると向きが逆になる)

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問2

不等式 2x2x−3{}- 3>5{}> 5 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

x>4‾\underline{x > 4}(2x2x>8{}> 8)

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問3

連立不等式 {x+1>02x−4≦0\begin{cases} x + 1 > 0 \\ 2x - 4 \leqq 0 \end{cases} の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−1<x≦2‾\underline{-1 < x \leqq 2}(xx>−1{}> -1 と xx≦2{}\leqq 2 の共通部分)

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問4

方程式 ∣x∣|x|=4{}= 4 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

x=±4‾\underline{x = \pm 4}(原点から距離 44 の点)

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問5

不等式 ∣x∣|x|<2{}< 2 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−2<x<2‾\underline{-2 < x < 2}(原点から距離 22 未満)

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実践問題(全20問)

難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。

問1 ★

−2-2≦x{}\leqq x<3{}< 3 のとき、11−2x{}- 2x のとりうる値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−5-5<1{}< 1−2x{}- 2x≦5{}\leqq 5

解説

各辺に −2-2 をかけると、向きが逆になります。

−6\displaystyle -6<−2x\displaystyle {}< -2x≦4\displaystyle {}\leqq 4

左の ≦\leqq が右へ、右の << が左へ移ることに注意しましょう。各辺に 11 を足して

−5<1‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}-5 < 1}−2x≦5‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}{}- 2x \leqq 5}
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問2 ★

不等式 4x4x+7{}+ 7≧7x{}\geqq 7x−5{}- 5 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx≦4{}\leqq 4

解説

移項すると −3x-3x≧−12{}\geqq -12 です。負の数 −3-3 で割るので、向きを逆にします。

x≦4‾\underline{x \leqq 4}
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問3 ★

不等式 x−12\dfrac{x - 1}{2}−2x+13{}- \dfrac{2x + 1}{3}<1{}< 1 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx>−11{}> -11

解説

両辺に 66 をかけて分母を払います。分子にかっこをつけるのを忘れないようにしましょう。

3(x−1)\displaystyle 3(x - 1)−2(2x+1)\displaystyle {}- 2(2x + 1)<6,\displaystyle {}< 6,3x\displaystyle 3x−3\displaystyle {}- 3−4x\displaystyle {}- 4x−2\displaystyle {}- 2<6,\displaystyle {}< 6,−x\displaystyle {}\qquad -x<11\displaystyle {}< 11

両辺に −1-1 をかけて向きを逆にし、x>−11‾\underline{x > -11} です。

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問4 ★

不等式 0.3x0.3x−1{}- 1≦0.5x{}\leqq 0.5x+0.2{}+ 0.2 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx≧−6{}\geqq -6

解説

両辺に 1010 をかけて小数をなくします。定数項の 11 にも 1010 をかけます。

3x\displaystyle 3x−10\displaystyle {}- 10≦5x\displaystyle {}\leqq 5x+2,\displaystyle {}+ 2,−2x\displaystyle -2x≦12\displaystyle {}\leqq 12

負の数 −2-2 で割って向きを逆にし、x≧−6‾\underline{x \geqq -6} です。

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問5 ★

連立不等式 {3x−1<2x+45x+3≧2x−6\begin{cases} 3x - 1 < 2x + 4 \\ 5x + 3 \geqq 2x - 6 \end{cases} の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−3-3≦x{}\leqq x<5{}< 5

解説

1つめは xx<5{}< 5、2つめは 3x3x≧−9{}\geqq -9 より xx≧−3{}\geqq -3 です。数直線で共通部分をとると

−3≦x<5‾\underline{-3 \leqq x < 5}

−3-3 は含み(●)、55 は含まない(○)点に注意します。

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問6 ★

方程式 ∣x−3∣|x - 3|=5{}= 5 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx=8,{}= 8, −2{}\ -2

解説

xx−3{}- 3=±5{}= \pm 5 より xx=3{}= 3±5{}\pm 5 なので、x=8,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}x = 8,} −2‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}{}\ -2} です。

点 33 から距離 55 の点は、右に 55 進んだ 88 と、左に 55 進んだ −2-2 の2つです。

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問7 ★

不等式 ∣x+1∣|x + 1|≦4{}\leqq 4 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−5-5≦x{}\leqq x≦3{}\leqq 3

解説

−4-4≦x{}\leqq x+1{}+ 1≦4{}\leqq 4 です。各辺から 11 を引いて

−5≦x≦3‾\underline{-5 \leqq x \leqq 3}

∣x+1∣|x + 1|=∣x−(−1)∣{}= |x - (-1)| なので、点 −1-1 から距離 44 以内の範囲と読むこともできます。

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問8 ★

不等式 ∣2x−1∣|2x - 1|>3{}> 3 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx<−1,{}< -1,22<x{}< x

解説

中身の 2x2x−1{}- 1 をひとかたまりとみると、2x2x−1{}- 1<−3{}< -3 または 33<2x{}< 2x−1{}- 1 です。

2x\displaystyle 2x<−2 より x\displaystyle {}< -2 \ \text{より}\ x<−1,\displaystyle {}< -1,2x\displaystyle 2x>4 より x\displaystyle {}> 4 \ \text{より}\ x>2\displaystyle {}> 2

よって x<−1,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}x < -1,} 2<x‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 2 < x} です。解は2つの範囲に分かれます。

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問9 ★★

不等式 2x2x−3{}- 3<4x{}< 4x+1{}+ 1≦x{}\leqq x+7{}+ 7 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−2-2<x{}< x≦2{}\leqq 2

解説

となりどうしを組にして、2つの不等式に分けます。

2x\displaystyle 2x−3<4x\displaystyle {}- 3 < 4x+1\displaystyle {}+ 1 より\displaystyle \ \text{より} −2x\displaystyle {}\ -2x<4,\displaystyle {}< 4, x\displaystyle \ x>−2\displaystyle {}> -24x\displaystyle 4x+1≦x\displaystyle {}+ 1 \leqq x+7\displaystyle {}+ 7 より 3x\displaystyle \ \text{より}\ 3x≦6,\displaystyle {}\leqq 6, x\displaystyle \ x≦2\displaystyle {}\leqq 2

共通部分は −2<x≦2‾\underline{-2 < x \leqq 2} です。

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問10 ★★

連立不等式 {5x+2>3x−43(x−2)≦x+4\begin{cases} 5x + 2 > 3x - 4 \\ 3(x - 2) \leqq x + 4 \end{cases} を満たす整数 xx の個数を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

88 個

解説

1つめは 2x2x>−6{}> -6 より xx>−3{}> -3 です。2つめはかっこをはずして 3x3x−6{}- 6≦x{}\leqq x+4{}+ 4、2x2x≦10{}\leqq 10 より xx≦5{}\leqq 5 です。

−3\displaystyle -3<x\displaystyle {}< x≦5\displaystyle {}\leqq 5

この範囲の整数は −2,-2, −1,{}\ -1, 0,\ 0, 1,\ 1, 2,\ 2, 3,\ 3, 4,\ 4, 5\ 5 の 8 個‾\underline{8 \text{ 個}} です。−3-3 は含まず、55 は含む点に注意しましょう。

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問11 ★★

11 個 120120 円のりんごと 11 個 8080 円のみかんを合わせて 1515 個買い、代金を 15001500 円以下にしたい。りんごの個数の最大値を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

77 個

解説

りんごを xx 個買うと、みかんは (15−x)(15 - x) 個です。

120x\displaystyle 120x+80(15−x)\displaystyle {}+ 80(15 - x)≦1500,\displaystyle {}\leqq 1500,40x\displaystyle 40x+1200\displaystyle {}+ 1200≦1500,\displaystyle {}\leqq 1500,x\displaystyle x≦152\displaystyle {}\leqq \frac{15}{2}=7.5\displaystyle {}= 7.5

xx は 00≦x{}\leqq x≦15{}\leqq 15 の整数なので、最大値は 7 個‾\underline{7 \text{ 個}} です。

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問12 ★★

スマートフォンの料金で、プラン A は月額 10001000 円に通信量 11 GB あたり 300300 円、プラン B は月額 25002500 円に 11 GB あたり 150150 円がかかる。11 か月の通信量を xx GB とするとき、プラン B のほうがプラン A より安くなる xx の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx>10{}> 10

解説

それぞれの料金は、A が 10001000+300x{}+ 300x 円、B が 25002500+150x{}+ 150x 円です。「B のほうが安い」は B の料金 << A の料金です。

2500\displaystyle 2500+150x\displaystyle {}+ 150x<1000\displaystyle {}< 1000+300x,\displaystyle {}+ 300x,−150x\displaystyle -150x<−1500\displaystyle {}< -1500

負の数 −150-150 で割って向きを逆にし、x>10‾\underline{x > 10} です。1010 GB を超えて使う月は、B のほうが得になります。

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問13 ★★

方程式 ∣x+2∣|x + 2|=2x{}= 2x−1{}- 1 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx=3{}= 3

解説

境目は xx=−2{}= -2 です。

  • xx≧−2{}\geqq -2 のとき、xx+2{}+ 2=2x{}= 2x−1{}- 1 より xx=3{}= 3。これは xx≧−2{}\geqq -2 を満たします。
  • xx<−2{}< -2 のとき、−(x+2)-(x + 2)=2x{}= 2x−1{}- 1 より −3x-3x=1{}= 1、xx=−13{}= -\dfrac{1}{3}。これは xx<−2{}< -2 を満たさないので不適です。

よって x=3‾\underline{x = 3} です。

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問14 ★★

不等式 ∣x−3∣|x - 3|<2x{}< 2x の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx>1{}> 1

解説

境目は xx=3{}= 3 です。

  • xx≧3{}\geqq 3 のとき、xx−3{}- 3<2x{}< 2x より xx>−3{}> -3。範囲と合わせて xx≧3{}\geqq 3
  • xx<3{}< 3 のとき、−(x−3)-(x - 3)<2x{}< 2x より −3x-3x<−3{}< -3、xx>1{}> 1。範囲と合わせて 11<x{}< x<3{}< 3

2つを合わせると、つながって x>1‾\underline{x > 1} です。

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問15 ★★

方程式 ∣x+1∣|x + 1|+∣x−2∣{}+ |x - 2|=5{}= 5 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx=−2,{}= -2, 3\ 3

解説

境目は xx=−1{}= -1 と xx=2{}= 2 です。

  • xx<−1{}< -1 のとき、−(x+1)-(x + 1)−(x−2){}- (x - 2)=5{}= 5 より −2x-2x+1{}+ 1=5{}= 5、xx=−2{}= -2。範囲を満たします。
  • −1-1≦x{}\leqq x<2{}< 2 のとき、(x+1)(x + 1)−(x−2){}- (x - 2)=5{}= 5 より 33=5{}= 5。成り立たないので、この範囲に解はありません。
  • xx≧2{}\geqq 2 のとき、(x+1)(x + 1)+(x−2){}+ (x - 2)=5{}= 5 より 2x2x−1{}- 1=5{}= 5、xx=3{}= 3。範囲を満たします。

よって x=−2,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}x = -2,} 3‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 3} です。点 −1-1 と点 22 までの距離の和が 55 になる点、と読むこともできます。

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問16 ★★

不等式 11≦∣x−2∣{}\leqq |x - 2|<3{}< 3 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−1-1<x{}< x≦1,{}\leqq 1,33≦x{}\leqq x<5{}< 5

解説

2つの不等式 ∣x−2∣|x - 2|<3{}< 3 と ∣x−2∣|x - 2|≧1{}\geqq 1 に分けて解きます。

∣x−2∣<3\displaystyle |x - 2| < 3 より\displaystyle \ \text{より} −1\displaystyle {}\ -1<x\displaystyle {}< x<5\displaystyle {}< 5∣x−2∣≧1\displaystyle |x - 2| \geqq 1 より x\displaystyle \ \text{より}\ x≦1 または 3\displaystyle {}\leqq 1 \ \text{または}\ 3≦x\displaystyle {}\leqq x

数直線で共通部分をとると −1<x≦1,‾\underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}-1 < x \leqq 1,} 3≦x<5‾\underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}\ 3 \leqq x < 5} です。点 22 からの距離が 11 以上 33 未満の点なので、22 の左右に1つずつ区間ができます。

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問17 ★★★

aa を定数とするとき、xx についての不等式 axax+2{}+ 2>x{}> x+2a{}+ 2a の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

aa>1{}> 1 のとき xx>2{}> 2、aa=1{}= 1 のとき解なし、aa<1{}< 1 のとき xx<2{}< 2

解説

移項して整理すると

(a−1)x\displaystyle (a - 1)x>2a\displaystyle {}> 2a−2,\displaystyle {}- 2,(a−1)x\displaystyle (a - 1)x>2(a−1)\displaystyle {}> 2(a - 1)

両辺を aa−1{}- 1 で割りたいのですが、aa−1{}- 1 の符号によって向きが変わるので、場合分けします。

  • aa−1{}- 1>0{}> 0、つまり aa>1{}> 1 のとき:向きはそのままで x>2‾\underline{x > 2}
  • aa−1{}- 1=0{}= 0、つまり aa=1{}= 1 のとき:不等式は 0⋅x0 \cdot x>0{}> 0 となり、どんな xx でも成り立たないので 解なし‾\underline{\text{解なし}}
  • aa−1{}- 1<0{}< 0、つまり aa<1{}< 1 のとき:向きを逆にして x<2‾\underline{x < 2}

文字で割るときは「正・00・負」の3通りを考えるのが鉄則です。

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問18 ★★★

ある博物館の入館料は 11 人 800800 円で、3030 人以上の団体は 11 人あたり 22 割引になる。3030 人未満のグループでも、3030 人分の団体料金を払って入館することができる。3030 人未満のグループが、3030 人分の団体料金を払ったほうが安くなるのは何人以上のときかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

2525 人以上(2929 人以下)

解説

団体料金は 11 人 800×0.8800 \times 0.8=640{}= 640 円なので、3030 人分で 640×30640 \times 30=19200{}= 19200 円です。

グループの人数を xx 人(xx≦29{}\leqq 29 の自然数)とすると、ふつうに払うと 800x800x 円です。団体料金のほうが安くなる条件は

19200\displaystyle 19200<800x,\displaystyle {}< 800x,x\displaystyle x>24\displaystyle {}> 24

xx は 2929 以下の自然数なので、2525≦x{}\leqq x≦29{}\leqq 29 です。よって 25 人以上‾\underline{25 \text{ 人以上}} のとき、団体料金を払ったほうが安くなります。

2424 人ちょうどのときは 800×24800 \times 24=19200{}= 19200 円で同額なので、「安くなる」には入りません。

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問19 ★★★

不等式 ∣x+1∣|x + 1|+∣x−3∣{}+ |x - 3|<6{}< 6 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−2-2<x{}< x<4{}< 4

解説

境目は xx=−1{}= -1 と xx=3{}= 3 です。

  • xx<−1{}< -1 のとき、−(x+1)-(x + 1)−(x−3){}- (x - 3)<6{}< 6 より −2x-2x+2{}+ 2<6{}< 6、xx>−2{}> -2。範囲と合わせて −2-2<x{}< x<−1{}< -1
  • −1-1≦x{}\leqq x<3{}< 3 のとき、(x+1)(x + 1)−(x−3){}- (x - 3)<6{}< 6 より 44<6{}< 6。いつも成り立つので −1-1≦x{}\leqq x<3{}< 3
  • xx≧3{}\geqq 3 のとき、(x+1)(x + 1)+(x−3){}+ (x - 3)<6{}< 6 より 2x2x−2{}- 2<6{}< 6、xx<4{}< 4。範囲と合わせて 33≦x{}\leqq x<4{}< 4

3つを合わせて −2<x<4‾\underline{-2 < x < 4} です。

距離で見ると、点 −1-1 と点 33 までの距離の和が 66 未満の点です。2点の間では和がいつも 44 で、外側に 11 進むごとに和が 22 ずつ増えるので、両端から 11 ずつはみ出した −2-2 と 44 が境になります。

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問20 ★★★

aa を定数とする。連立不等式 {2x−1<x+3x>a\begin{cases} 2x - 1 < x + 3 \\ x > a \end{cases} について、次の問いに答えなさい。

(1) 連立不等式が解をもつような aa の値の範囲を求めなさい。

(2) 連立不等式を満たす整数 xx がちょうど 22 個となるような aa の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) aa<4{}< 4 (2) 11≦a{}\leqq a<2{}< 2

解説

1つめの不等式は xx<4{}< 4 です。よって連立不等式の解は「aa<x{}< x かつ xx<4{}< 4」です。

(1) aa<x{}< x<4{}< 4 を満たす xx があるのは、aa が 44 より小さいときです。aa=4{}= 4 なら「44<x{}< x かつ xx<4{}< 4」となり、解はありません。よって a<4‾\underline{a < 4} です。

(2) xx<4{}< 4 を満たす整数を大きい順に並べると 3,3, 2,\ 2, 1,\ 1, …\ \ldots です。ちょうど 22 個なら、その2個は 33 と 22 で、11 は含まれてはいけません。

  • 22 が含まれる条件:aa<2{}< 2
  • 11 が含まれない条件:aa≧1{}\geqq 1(aa=1{}= 1 のとき 11<x{}< x なので、11 は含まれません)

よって 1≦a<2‾\underline{1 \leqq a < 2} です。端の aa=1{}= 1,aa=2{}= 2 を実際に代入して確かめると、等号の有無を間違えずに済みます。

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数学小話コーナー

不等号 < > を広めた人

<< と >> の記号は、イギリスの数学者トマス・ハリオットの名前とともに語られます。ハリオットが亡くなった10年後の 1631 年に出版された代数の本『解析術の実用』に、この2つの記号が使われているからです。ただし、この本は死後に他の人がまとめたもので、記号の形を決めたのがハリオット本人なのか、編集した人なのかははっきりしません(※諸説あり)。

口の開いたほうが大きい、という形は覚えやすく、その後ヨーロッパに広まっていきました。等号 == が「2本の平行線ほど等しいものはない」という理由で 1557 年に考えられたのと比べると、不等号は少しあとから仲間入りした記号です。

豆知識

「〜以上」「〜以下」を表す記号は、日本の教科書では横線が2本の ≧\geqq,≦\leqq を使いますが、海外では横線1本の ≥\geq,≤\leq がふつうです。意味はまったく同じです。プログラミング言語では、キーボードで打ちやすい >= や <= で書きます。

「± 0.1 mm」は絶対値の不等式

工場で作る部品の図面には、「10.010.0±0.1{}\pm 0.1 mm」のような書き方がよく出てきます。長さ 10.010.0 mm を目標に作るけれど、0.10.1 mm までのずれなら合格にする、という意味です。この許されるずれの幅を公差といいます。

実際にできた部品の長さを xx mm とすると、合格の条件は

∣x−10.0∣\displaystyle |x - 10.0|≦0.1\displaystyle {}\leqq 0.1

です。この章で学んだとおり、これは 9.99.9≦x{}\leqq x≦10.1{}\leqq 10.1 と同じ意味です。ねじとナットがきちんとはまるのも、世界中の工場が同じルールで「ずれの幅」を守っているからです。身の回りの工業製品は、絶対値の不等式で品質を約束しているとも言えます。

豆知識

「四捨五入すると 3.23.2 になる数」も、不等式で表せます。範囲は 3.153.15≦x{}\leqq x<3.25{}< 3.25 で、左端は含むのに右端は含みません。3.253.25 は四捨五入すると 3.33.3 になってしまうからです。±\pm の書き方と違って、両端の扱いが左右で異なる点が面白いところです。

宿題だと思って解いた未解決問題

1939 年、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校の大学院生ジョージ・ダンツィーグは、統計学の授業に遅刻しました。黒板に2つの問題が書かれていたので、宿題だと思って書き写し、数日かけて解いて提出しました。ところがそれは宿題ではなく、先生が「まだ誰も解けていない問題」として紹介したものだったのです。数週間後、興奮した先生がダンツィーグの家を訪ねてきたといいます。

このダンツィーグが、のちの 1947 年に考えたのが単体法という計算方法です。たくさんの一次不等式(「材料はこれ以下」「人手はこれ以下」など)を同時に満たす範囲の中から、利益が最大になる点を効率よく探し出します。このような問題を扱う分野を線形計画法といいます。

豆知識

線形計画法は、今も社会のあちこちで使われています。航空会社が何千人もの乗務員の勤務表を組むとき、工場がどの製品をいくつ作るかを決めるとき、配送のトラックの割り当てを考えるときなど、裏では何百、何千という一次不等式が解かれています。

厳密定義(発展)

※ここは発展ページです。本文では「負の数をかけると不等号の向きが変わる」を数直線や例え話で納得しました。ここでは、実数の大小について最小限の約束(公理)だけを決め、そこから不等式の性質や絶対値の性質を証明してみます。

大小関係の約束

定義1:実数の順序

実数には「正である」という性質が定まっていて、次の2つを満たすものとする。

  1. どんな実数 aa についても、「aa は正」「aa=0{}= 0」「−a-a は正」のうち、ちょうど1つだけが成り立つ。
  2. aa,bb が正ならば、aa+b{}+ b と abab も正である。

aa が正であることを aa>0{}> 0 と書く。また、bb−a{}- a>0{}> 0 のとき aa<b{}< b(または bb>a{}> a)と書き、aa<b{}< b または aa=b{}= b のとき aa≦b{}\leqq b と書く。

約束はこれだけです。「cc<0{}< 0」は定義により「00−c{}- c=−c{}= -c が正」という意味になります。

定理1:不等式の性質

aa<b{}< b とする。

  1. どんな実数 cc についても aa+c{}+ c<b{}< b+c{}+ c である。
  2. cc>0{}> 0 ならば acac<bc{}< bc である。
  3. cc<0{}< 0 ならば acac>bc{}> bc である。

証明 仮定 aa<b{}< b は、bb−a{}- a>0{}> 0 という意味である。

  1. (b+c)(b + c)−(a+c){}- (a + c)=b{}= b−a{}- a>0{}> 0 なので、aa+c{}+ c<b{}< b+c{}+ c である。
  2. bb−a{}- a>0{}> 0,cc>0{}> 0 なので、定義1の2より (b−a)c(b - a)c>0{}> 0、つまり bcbc−ac{}- ac>0{}> 0 である。よって acac<bc{}< bc。
  3. cc<0{}< 0 より −c-c>0{}> 0 である。定義1の2より (b−a)(−c)(b - a)(-c)>0{}> 0、つまり acac−bc{}- bc>0{}> 0 である。よって acac>bc{}> bc。(証明終)

3 の証明で、向きが逆になる理由は「−c-c が正だから、かけ算の順序が入れかわる」ことにあります。本文の借金の例え話は、この式変形を言葉にしたものです。

同じ約束から、「aa≠0{}\neq 0 ならば a2a^2>0{}> 0」も分かります。aa>0{}> 0 なら定義1の2で a⋅aa \cdot a>0{}> 0 です。aa<0{}< 0 なら −a-a>0{}> 0 なので (−a)(−a)(-a)(-a)=a2{}= a^2>0{}> 0 です。特に 11=12{}= 1^2>0{}> 0 であり、「11 が正であること」さえ、この約束から証明できるのです。

絶対値の性質

第3章で、絶対値を ∣a∣|a|=a{}= a(aa≧0{}\geqq 0 のとき)、∣a∣|a|=−a{}= -a(aa<0{}< 0 のとき)と定めました。この定義から、次のことがすぐに分かります。

∣a∣\displaystyle |a|≧0,\displaystyle {}\geqq 0,−∣a∣\displaystyle -|a|≦a\displaystyle {}\leqq a≦∣a∣\displaystyle {}\leqq |a|
定理2:絶対値と不等式

rr>0{}> 0 のとき、次が成り立つ。

∣x∣\displaystyle |x|<r\displaystyle {}< r  ⟺  −r\displaystyle {}\iff -r<x\displaystyle {}< x<r,\displaystyle {}< r,∣x∣\displaystyle |x|≦r\displaystyle {}\leqq r  ⟺  −r\displaystyle {}\iff -r≦x\displaystyle {}\leqq x≦r\displaystyle {}\leqq r

証明 << のほうを示す(≦\leqq も同様である)。

xx≧0{}\geqq 0 のとき、∣x∣|x|=x{}= x なので ∣x∣|x|<r{}< r は xx<r{}< r と同じである。一方 −r-r<0{}< 0≦x{}\leqq x は常に成り立つから、xx<r{}< r と −r-r<x{}< x<r{}< r は同じ条件になる。

xx<0{}< 0 のとき、∣x∣|x|=−x{}= -x なので ∣x∣|x|<r{}< r は −x-x<r{}< r、すなわち xx>−r{}> -r と同じである。一方 xx<0{}< 0<r{}< r は常に成り立つから、xx>−r{}> -r と −r-r<x{}< x<r{}< r は同じ条件になる。(証明終)

本文の公式5 (2) は、この定理の xx を xx−a{}- a に置きかえたものです。証明の中で「xx≧0{}\geqq 0 のとき」「xx<0{}< 0 のとき」と分けているのは、公式6の場合分けと同じ考え方です。

定理3:三角不等式

どんな実数 aa,bb についても

∣a+b∣\displaystyle |a + b|≦∣a∣\displaystyle {}\leqq |a|+∣b∣\displaystyle {}+ |b|

が成り立つ。等号が成り立つのは abab≧0{}\geqq 0 のときである。

証明 −∣a∣-|a|≦a{}\leqq a≦∣a∣{}\leqq |a| と −∣b∣-|b|≦b{}\leqq b≦∣b∣{}\leqq |b| の各辺を足すと

−(∣a∣+∣b∣)\displaystyle -(|a| + |b|)≦a\displaystyle {}\leqq a+b\displaystyle {}+ b≦∣a∣\displaystyle {}\leqq |a|+∣b∣\displaystyle {}+ |b|

となる。∣a∣|a|+∣b∣{}+ |b|>0{}> 0 のときは、定理2(≦\leqq のほう)で xx=a{}= a+b{}+ b,rr=∣a∣{}= |a|+∣b∣{}+ |b| とすれば ∣a+b∣|a + b|≦∣a∣{}\leqq |a|+∣b∣{}+ |b| を得る。∣a∣|a|+∣b∣{}+ |b|=0{}= 0 のときは aa=b{}= b=0{}= 0 なので、両辺とも 00 で成り立つ。

等号については、aa,bb が同符号(または一方が 00)なら ∣a+b∣|a + b|=∣a∣{}= |a|+∣b∣{}+ |b| となり、異符号なら打ち消し合って左辺のほうが小さくなる。(証明終)

aa を aa−b{}- b、bb を bb−c{}- c に置きかえると、∣a−c∣|a - c|≦∣a−b∣{}\leqq |a - b|+∣b−c∣{}+ |b - c| となります。数直線上で「点 aa から点 cc へ直接行く距離は、途中で点 bb に寄り道した距離以下」という意味です。本文の例題6 (2) で、2点の外に出るほど距離の和が大きくなったのも、この性質の表れです。

名前に「三角」とつくのは、平面で考えると「三角形の2辺の長さの和は、残りの1辺より長い」という事実になるからです。この不等式は、数列や関数の極限を扱う微分積分の分野で、何度も道具として登場します。

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