問1
楕円 の焦点の座標と、長軸・短軸の長さを求めなさい。
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焦点 ,,長軸の長さ ,短軸の長さ ()
目次 / 複素数平面と二次曲線 / 数学C
—— 「2つの焦点からの距離の和」が一定な点の集まり ——
第5章では、1つの点と1本の直線からの距離が等しい点の集まりとして、放物線を学びました。この章では、比べる相手を2つの点に取りかえ、2つの定点(**焦点**)からの距離の**和**が一定な点の集まりを考えます。これが**楕円**です。定義から標準形 $\dfrac{x^2}{a^2} + \dfrac{y^2}{b^2} = 1$ を導き、焦点・長軸・短軸を式から読み取る方法、楕円が「円を一方向に縮めた形」であること、焦点までの距離を $x$ 座標だけで表す方法、そして2つの円に接する円の中心が楕円を描くことを学びます。つぶれ具合を表す**離心率**も、ここで正式に登場します。
第4章では、2点からの距離が「等しい」点の集まり(垂直二等分線)と、距離の「比」が一定な点の集まり(アポロニウスの円)を調べました。第5章では、比べる相手の片方を直線に取りかえて、放物線を得ました。この章では、ふたたび2つの点を相手にして、2つの距離の和が一定になる点の集まりを考えます。
平面上の異なる2点 , と、 より大きい正の定数 がある。, からの距離の和が である点 の軌跡を楕円という。すなわち
を満たす点 の集まりである。
という条件がないと、どうなるでしょうか。三角形の2辺の和は残りの1辺より長いので、どんな点 でも です。 なら条件を満たすのは線分 上の点だけで、 なら条件を満たす点はありません。曲線として広がりをもつのは、 が より長いときだけです。
長軸の長さは です。長軸の両端を ( の側)、( の側)とすると、図形は線分 の垂直二等分線に関して対称なので です。長軸には ,,, の順に点が並ぶので
となります。
庭に楕円の花壇を作る方法があります。地面に杭を2本打ち、長さ のひもの両端をそれぞれの杭に結びます。棒の先でひもをぴんと張りながら、杭のまわりを1周させると、棒の先は楕円を描きます。棒の先から2本の杭までの距離の和は、いつもひもの長さ だからです。杭が焦点、ひもの長さが長軸の長さです。杭の間をひもより長くすると、ひもは張れません。これが という条件です。
楕円とは、2つの焦点からの距離の和が一定(長軸の長さ )になる点の集まりだということです。
2点 , からの距離の和が である点 の軌跡の方程式を求めなさい。
【解答】
とします。条件は
です。根号が2つあるので、片方を右辺へ移してから2乗します。
両辺を2乗すると
です。 なので、整理して 、両辺を で割って
です。もう一度2乗すると、 となり、 です。両辺を で割って
です。
(逆の確認)2乗した式を元に戻すには、2乗する前の両辺が 以上であることが必要です。この曲線上では より なので、 です。また なので、 です。よって変形はすべて逆にたどれて、この曲線上の点はどれも条件を満たします。
(確かめ) 軸との交点 では、 です。 軸との交点 では、 で、和は です。
例題1 の計算を、文字で行います。 として、焦点を ,、距離の和を とします。例題1 と同じく、根号を1つ移して2乗することを2回くり返すと
となります。 なので です。そこで ()とおくと、 で、両辺を で割って次の式が得られます(2乗しても同値であることは、厳密定義のページで確かめます)。
とする。楕円
について
である。これを楕円の標準形という。以下、 と書くことが多い。
軸との交点は として 、 軸との交点は として です。 なので、 軸上の線分(長さ )が長軸、 軸上の線分(長さ )が短軸です。式の を に、 を に取りかえても式は変わらないので、楕円は 軸・ 軸・原点のそれぞれに関して対称です。
,, の関係 は、図で見ると覚えやすくなります。短軸の端 は2つの焦点から等しい距離にあり、その和が なので、 です。すると は、斜辺 、ほかの2辺 , の直角三角形になります。
物干しロープを思い浮かべてください。長さ のロープの両端を、間隔 の2本の柱に結び、真ん中にハンガーを1本かけて下へ引くと、ロープは左右 ずつの二等辺三角形になります。ハンガーが下がった深さが で、 です。ロープに余裕がある( が に比べて大きい)ほど深く下がり、楕円は丸みを帯びます。ロープがぴんと張っている( が に近い)と、ほとんど下がらず、楕円は細長くつぶれます。
()は、焦点 、長軸 、短軸 の楕円で、 が ,, をつなぐということです。
(1) 楕円 の焦点の座標と、長軸・短軸の長さを求めなさい。
(2) 2点 , を焦点とし、点 を通る楕円の方程式を求めなさい。
【解答】
(1) 両辺を で割ると です。, で、 です。よって ,, です。右辺を にそろえてから , を読むのがコツです。
(2) 焦点が 軸上にあり、原点に関して対称なので、方程式は ()とおけます。点 は 軸上の頂点なので で、 より です。よって
です。(確かめ)点 から2つの焦点までの距離は、どちらも で、和 は長軸の長さ に一致します。
と の役割を入れかえると、焦点が 軸上にある、縦長の楕円が得られます。
とする。楕円
の焦点は , で、楕円上の点から2つの焦点までの距離の和は である。長軸は 軸上にあってその長さは 、短軸は 軸上にあってその長さは である。
公式2・公式3 をまとめると、標準形の楕円は次の手順で読み取れます。
スマートフォンの画面は、縦に持っても横に持っても同じ画面です。変わるのは、長い辺がどちらを向いているかだけです。楕円も同じで、分母の大小が入れかわると、形はそのままで、長軸が 軸の向きから 軸の向きへ回ります。焦点はいつも長い辺の側、つまり長軸の上に乗っています。
標準形の楕円は、分母の大きいほうの座標軸の上に長軸と焦点があり、焦点までの距離は分母の差の平方根だということです。
(1) 楕円 の焦点の座標と、長軸・短軸の長さを求めなさい。
(2) 2点 , を焦点とし、短軸の長さが である楕円の方程式を求めなさい。
【解答】
(1) 分母は のほうが大きいので、焦点は 軸上にあります。 なので ,, です。
(2) 焦点が 軸上にあるので、方程式は ()とおけます。短軸は 軸上にあって長さ なので です。焦点までの距離が なので、 より です。よって
です。(確かめ) 軸上の頂点 から2つの焦点までの距離は、どちらも で、和 は長軸の長さ に一致します。
楕円の式 は、 のとき円 になります。このとき で、2つの焦点は中心で重なります。円は、楕円の特別な場合です。逆に、円を一方向に縮めると楕円が得られます。
, とする。
① 円 を、 軸をもとにして 軸方向に 倍すると、楕円 になる。
② 楕円 で囲まれた部分の面積は である。
「 軸をもとにして 軸方向に 倍する」とは、各点 を点 に移すことです。 座標はそのままで、 軸からの高さだけが 倍になります。
①は次のように確かめます。円上の点 が移る先を とすると、, です。, を に代入して
です。 なら縮小、 なら拡大です。
②は、図形を 軸方向に 倍すると面積も 倍になることから分かります。図形を縦に細長い長方形の集まりで近似すると、どの長方形も幅はそのままで高さだけが 倍になるからです(きちんとした証明は、微分積分の分野で学ぶ積分の考え方を使います)。半径 の円の面積 を 倍して、 です。円の面積 の が、楕円では「長いほうの半径 × 短いほうの半径」に置きかわったと覚えられます。
円い池を真上から見ると円ですが、少し離れた場所から斜めに見ると、横幅はほとんど変わらないまま、奥行きの方向だけが縮んで見えます。池が楕円に見えるのはこのためです。見る角度を低くするほど縮み方が大きくなり、細長い楕円になります。
楕円は円を一方向に縮めた(または伸ばした)形で、面積は円の の代わりに になるということです。
円 上の点 から 軸に垂線 を下ろし、線分 の中点を とします( が 軸上にあるときは、 とします)。 が円上を動くとき、 の軌跡を求めなさい。また、その軌跡で囲まれた部分の面積を求めなさい。
【解答】
とすると、 で、中点 は , です( のときも でこの式に合います)。, を に代入して
です。逆に、この楕円上の点 に対して は円上にあり、 はその の中点です。よって軌跡は
です。これは円を 軸方向に 倍したもので、, の楕円です。面積は公式4 ② より
です。円の面積 のちょうど半分になっています。
放物線では、焦点までの距離を 座標の式に置きかえられました(第5章 公式4)。楕円でも同じことができます。
楕円 ()上の点 について、2つの距離の2乗の差を計算すると
です。左辺を と因数分解し、 を使うと、 です。和と差が分かったので、2つの距離が求まります。
楕円 ()の焦点を ,()とし、 とおく。 をこの楕円の離心率という()。
① 楕円上の点 について
② は、 が のとき最小値 、 のとき最大値 をとる。
②は、①で が を動くとき、 が について減少することから分かります。焦点にいちばん近い点と遠い点は、どちらも長軸の端です。
離心率 は、楕円のつぶれ具合を表す数です。 なので、 が に近いほど は に近く、円に近い楕円になります。 が に近いほど は に比べて小さく、細長い楕円になります。第5章の厳密定義のページで紹介した「 が楕円、 が放物線」の が、この数です。放物線は がいつも なので形が1通り(どれも相似)でしたが、楕円は の値によって形が変わります(二次関数 第1章の小話で予告したことです)。
砂時計では、上の砂と下の砂を合わせた量はいつも同じで、片方が減ったぶんだけもう片方が増えます。 と も、合計は のまま、点 が右へ動くと が減り、同じだけ が増えます。しかもその増え減りは、 座標の変化の 倍という、一定の割合で進みます。
楕円上の点から焦点までの距離は と 座標の1次式で書け、離心率 が楕円のつぶれ具合を表すということです。
楕円 の焦点のうち、 座標が正のものを 、負のものを とします。
(1) この楕円の離心率を求めなさい。
(2) 楕円上の点 で、 となるものの座標を、すべて求めなさい。
(3) 楕円上の点 が 軸上にないとき、 の周の長さを求めなさい。
【解答】
,, で、, です。
(1) です。
(2) とすると、公式5 ① より です。 から です。これを楕円の式に代入すると
なので、 です。よって
です。(確かめ) で、 です。
(3) 、 なので、周の長さは です。 がどこにあっても、周の長さは変わりません。
公式1 を逆向きに使うと、「距離の和が一定」の形に言いかえられる条件から、楕円を見つけられます。円に接する円の中心は、その代表例です。
① 円 (中心 、半径 )の内部に、 と異なる点 があるとする。 を通り、 に内接する円の中心の軌跡は、, を焦点とし、長軸の長さが の楕円である。
② 円 (中心 、半径 )が円 (中心 、半径 )の内部にあるとする()。 に外接し、 に内接する円の中心の軌跡は、, を焦点とし、長軸の長さが の楕円である。
①は、求める円の中心を 、半径を とすると、「 を通る」が 、「 に内接する」が です。足すと が消えて、 になります。
②も同じで、外接が 、内接が なので、足すと です。第5章 公式5 では「距離が等しい」形に言いかえましたが、ここでは2つの条件を足して半径を消すのがポイントです。
円い水槽の中に、太い円柱が1本、中心からずれた位置に立っているとします。水槽の壁と柱の間でシャボン玉をふくらませ、壁にも柱にも触れる大きさにします。場所を変えると、すき間の広い所では大きく、狭い所では小さくなりますが、シャボン玉の中心は1本の楕円の上を回ります。壁に近づいたぶんだけ柱から遠ざかる、という関係が、「距離の和が一定」の正体です。
2つの接する条件を足して半径を消し、「2定点からの距離の和が一定」の形になれば、その軌跡は楕円だということです。
点 を通り、円 に内接する円の中心 の軌跡を求めなさい。
【解答】
円 の中心を とします。 なので、 は の内部にあります。求める円の半径を とすると、 を通ることから 、 に内接することから ()です。足すと
なので、 は , を焦点とし、長軸の長さが の楕円上にあります。, より で、方程式は です。
逆に、この楕円上の点 をとり、 とおきます。公式5 ① より で、 から なので です。また なので、 を中心とする半径 の円は、 を通り に内接します。よって、軌跡は
です。
| 楕円 | () | () |
|---|---|---|
| 焦点 | ||
| 長軸(長さ) | 軸上() | 軸上() |
| 短軸(長さ) | 軸上() | 軸上() |
| 距離の和 |
| 調べたいこと | 使う道具 |
|---|---|
| 焦点までの距離() | ,() |
| 焦点を2つ含む三角形の周 | |
| 面積 | (円を一方向に 倍) |
| 円に接する円の中心の軌跡 | 2つの条件を足して半径を消す |
ここまでに出てきた「距離の条件で決まる図形」を並べると、次のようになります。
| 条件 | 図形 | 章 |
|---|---|---|
| 2点からの距離が等しい | 垂直二等分線 | 第4章 |
| 2点からの距離の比が一定( 以外) | アポロニウスの円 | 第4章 |
| 点からの距離 直線からの距離 | 放物線 | 第5章 |
| 2点からの距離の和が一定 | 楕円 | 第6章 |
| 2点からの距離の差が一定 | 双曲線 | 第7章 |
次の第7章では、最後の行、2つの焦点からの距離の差が一定な点の集まりを学びます。式は楕円の標準形の が に変わっただけの ですが、曲線は2つに分かれ、遠くでは2本の直線にどこまでも近づいていく、楕円とはまったく違う姿をしています。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
楕円 の焦点の座標と、長軸・短軸の長さを求めなさい。
焦点 ,,長軸の長さ ,短軸の長さ ()
問2
楕円 の焦点の座標を求めなさい。
,(分母は のほうが大きいので 軸上、)
問3
2点 , を焦点とし、長軸の長さが である楕円の方程式を求めなさい。
(,)
問4
楕円 上の点 と、この楕円の2つの焦点 , について、 を求めなさい。
(長軸の長さ )
問5
円 を、 軸をもとにして 軸方向に 倍して得られる楕円の方程式を求めなさい。
( が に移るので、, を代入)
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
(1) (2) (3) (4)
上の (1)〜(4) の楕円について、焦点の座標と、長軸・短軸の長さを、それぞれ求めなさい。
(1) 焦点 ,,長軸 ,短軸 (2) 焦点 ,,長軸 ,短軸 (3) 焦点 ,,長軸 ,短軸 (4) 焦点 ,,長軸 ,短軸
右辺を にそろえ、分母の大きいほうの軸に長軸と焦点がある、と読みます。
(1) , で、 の分母が大きいので焦点は 軸上です。 より 、長軸の長さは 、短軸の長さは です。
(2) の分母が大きいので焦点は 軸上です。 より 、長軸( 軸上)の長さは 、短軸の長さは です。
(3) 両辺を で割ると です。 より 、長軸の長さは 、短軸の長さは です。
(4) 両辺を で割ると です。 より 、長軸の長さは 、短軸の長さは です。
(4) の は、分母が の分数 と見ると、 が読み取りやすくなります。
問2 ★
(1) 2点 , を焦点とし、焦点からの距離の和が である楕円
(2) 2点 , を焦点とし、短軸の長さが である楕円
(3) 中心が原点、焦点が 軸上にあり、長軸の長さが で、点 を通る楕円
上の (1)〜(3) の楕円の方程式を、それぞれ求めなさい。
(1) (2) (3)
(1) 焦点が 軸上なので ()とおけます。距離の和 より 、 より です。よって です。
(2) 焦点が 軸上なので ()とおけます。短軸は 軸上にあり、その長さ より です。焦点までの距離 から で、 です。よって です。
(3) ()とおくと、 より です。点 を代入して
です。 で、焦点はたしかに 軸上にあります。よって です。
(確かめ)(3) の焦点は で、点 からの距離は と 、和は で長軸の長さに一致します。
問3 ★
2点 , からの距離の和が である点 の軌跡の方程式を、定義に従って計算することで求めなさい。
とすると、条件は です。片方を右辺へ移して
両辺を2乗すると
です。 なので、、両辺を で割って
です。もう一度2乗すると で、整理して です。両辺を で割って
です。
(逆の確認)この曲線上では なので で、 です。2乗する前の両辺はどちらも 以上なので、変形は逆にたどれます。
公式3 で , とすると、焦点は 、距離の和は で、条件と一致しています。
問4 ★
中心が原点で、焦点が座標軸上にある楕円が、2点 , を通ります。この楕円の方程式と、焦点の座標を求めなさい。
,焦点 ,
焦点が 軸上か 軸上かは、まだ分かりません。どちらの場合も方程式は (,,)の形なので、, とおいて とします。2点を代入して
です。1つ目から を2つ目に代入すると、 より 、 です。
よって方程式は です。 なので焦点は 軸上にあり、 より です。
, とおくと、分母の文字のまま解くより連立1次方程式として楽に解けます。長軸の向きは、答えが出てから分母の大小で決めればよいのです。
問5 ★
(1) 円 を、 軸をもとにして 軸方向に 倍する。
(2) 円 を、 軸をもとにして 軸方向に 倍する。
上の (1)(2) の操作で得られる曲線の方程式を、それぞれ求めなさい。
(1) (2) (どちらも同じ楕円)
(1) 円上の点 は に移ります。移った先を とすると , で、 に代入して
です。公式4 ① で , の場合です。
(2) 円上の点 は に移ります。, を に代入して
です。
半径 の円を縦に縮めても、半径 の円を横に伸ばしても、同じ楕円になります。どちらも「横の半径 、縦の半径 」にそろえる操作だからです。
問6 ★
(1) (2)
上の (1)(2) の楕円で囲まれた部分の面積を、それぞれ求めなさい。
(1) (2)
公式4 ② の を使います。, は、 方向・ 方向の半径(長軸・短軸の長さの半分)です。
(1) , なので、 です。
(2) 両辺を で割ると です。, なので、 です。
(2) は焦点が 軸上の縦長の楕円ですが、面積の式は向きに関係なく「2つの半径の積 × 」です。
問7 ★
楕円 の焦点のうち、 座標が正のものを 、負のものを とします。この楕円上の点 の 座標が のとき、 と を求めなさい。
,
, で、離心率は です。公式5 ① より
です。
(確かめ) 座標は より です。 との距離は で、一致します。
座標を求めなくても答えが出るのが、公式5 の強みです。
問8 ★
楕円 の焦点のうち、 座標が正のものを 、負のものを とします。 を通り 軸と異なる直線が、この楕円と2点 , で交わるとき、 の周の長さを求めなさい。
です。, は楕円上の点なので
です。 は楕円の内部の点なので、直線と楕円の2つの交点 , の間にあり、 です。よって周の長さは
です。
直線の傾きをどう変えても、周の長さは のままです。弦 を、焦点 のところで2本の「ひも」に分けて考えるのがコツです。
問9 ★★
楕円 上の点 と、点 の距離の最大値と最小値を求めなさい。また、そのときの の座標をそれぞれ求めなさい。
のとき最大値 , のとき最小値
, なので、 はこの楕円の焦点で、離心率は です。 とすると、公式5 ① より
です。これは の1次式で、 が大きいほど小さくなります。
よって , です。
に を代入して平方完成しても解けますが、 が焦点だと気づけば、公式5 ② の がそのまま答えです。
問10 ★★
楕円 の焦点を , とします。この楕円上の点 が を満たすとき、次の問いに答えます。
(1) と、 の面積を求めなさい。
(2) が第1象限にあるとき、 の座標を求めなさい。
(1) ,面積 (2)
(1) , とおきます。楕円の定義から 、 が直角なので三平方の定理から です。
より です。直角をはさむ2辺の積の半分が面積なので、 の面積は です。
(2) (,)とします。 の面積を、底辺 、高さ で表すと なので です。楕円の式に代入して
なので、 です。よって です。
(確かめ) が直角なら、 は を直径とする円 の上にあります。 で成り立ちます。また公式5 より , で、積は です。
(1) の面積 は、ちょうど に等しくなっています。一般に、焦点を見込む角が直角になる点では、 の面積は です。
問11 ★★
円 に外接し、円 に内接する円の中心 の軌跡を求めなさい。
楕円
の中心を (半径 )、 の中心を (半径 )とします。 なので、 は の内部にあります。
求める円の半径を とすると、 に外接することから 、 に内接することから ()です。足して を消すと
です。 は、, を焦点とし長軸の長さが の楕円上にあります。, より で、方程式は です。
逆に、この楕円上の点 をとります。離心率は で、公式5 ① より , です。 とおくと、 より で です。そして も成り立ちます。よって を中心とする半径 の円は、 に外接し に内接します。
以上より、軌跡は です。長軸の長さ は、2つの円の半径の和 になっています(公式6 ②)。
問12 ★★
円 上の点 から 軸に垂線 を下ろし、線分 を に内分する点を とします( が 軸上にあるときは、 とします)。 が円上を動くとき、 の軌跡を求めなさい。また、その焦点の座標を求めなさい。
楕円 ,焦点 ,
とすると です。 を に内分する点は
です( のときも で、この式に合います)。 とすると , で、 に代入して
です。逆に、この楕円上の点 に対して は円上にあり、 はその を に内分する点です。
よって軌跡は で、 より です。
から見て だけ に近づくので、高さは 倍です。円を 軸方向に 倍した楕円(公式4 ①)になっています。
問13 ★★
とします。楕円 の2つの焦点と、点 が正三角形の頂点になっています。
(1) この楕円の離心率 と、 の値を求めなさい。
(2) さらに長軸の長さが のとき、この楕円の方程式を求めなさい。
(1) , (2)
(1) 焦点を , とします。 は短軸の端なので、 です(2つの距離が等しく、和が )。一方 です。正三角形なので で
です。 なので、 です。
(2) より 、(1) より です。よって です。
(確かめ) で、,, の3辺はどれも です。
は、 の直角三角形です。一般に、この角を とすると で、離心率は「短軸の端から焦点を見下ろす角度」で決まります。形(つぶれ具合)が だけで決まることの、1つの表れです。
問14 ★★
楕円 上の点 と点 の距離の最大値と、そのときの の座標を求めなさい。
のとき最大値
とすると で、 の範囲は です。
です。平方完成すると
で、 は に含まれるので、 のとき は最大値 をとります。このとき より です。
なので、 が最大のとき も最大です。 より、 のとき です。
は楕円の頂点なので、いちばん遠い点は反対側の頂点 (距離 )だと思いがちですが、 のほうが大きくなります。横に広い楕円では、斜め上の点のほうが遠いのです。 を消して だけの式にするとき、 の範囲を忘れないことが大切です。
問15 ★★
複素数平面上の点 (, は実数)を、座標平面の点 と同じものとみます。
(1) を満たす点 全体が表す図形の方程式を求めなさい。また、(1) の図形上の点 について、 の最大値と最小値を求めなさい。
(2) を満たす点 全体が表す図形の方程式を求めなさい。
(1) 楕円 , の最大値 (),最小値 () (2) 楕円
は、点 と点 の距離です(第1章 公式6)。
(1) 条件は「点 と点 からの距離の和が 」です。点 , は座標平面の , で、その距離 は より小さいので、図形は楕円です。, より で、 です(例題1 と同じ楕円です)。
この楕円上の点では なので
です。 は から まで動くので、 は から まで動きます。よって の , です。中心からいちばん遠いのは長軸の端、いちばん近いのは短軸の端です。
(2) 条件は「点 と点 からの距離の和が 」です。焦点は , で、 軸上にあります。公式3 で , より で、 です(j03 と同じ楕円です)。
複素数の絶対値の式を見たら、「どの点からの距離か」を読み取るのが第4章からの方針です。距離の和が一定なら楕円、と見抜ければ、式を2乗して計算する必要はありません。
問16 ★★
楕円 の焦点を , とします。この楕円上の点 で、 となるものの座標を、すべて求めなさい。
,
と から、 で です。
離心率は なので、 とすると公式5 ① より です。
これは を満たします。楕円の式に代入して
なので、 です。よって
です。
(確かめ) で です。
に近い点なので、 座標が負になるのは納得のいく結果です。
問17 ★★★
楕円 に内接し、各辺が座標軸に平行な長方形を考えます。この長方形の面積の最大値と、そのときの長方形の第1象限にある頂点の座標を求めなさい。
頂点 のとき最大値
楕円は 軸・ 軸に関して対称なので、長方形の第1象限の頂点を (,)とすると、4つの頂点は で、面積は です。
は楕円上にあるので で、 です。 なので、 の最大を考えます。
()とおくと
なので、 のとき最大値 をとります。このとき で、 です。
, より です。よって のとき です。
別の見方(公式4) この楕円は、円 を 軸方向に 倍したものです。辺が座標軸に平行な長方形は、この操作で辺が座標軸に平行な長方形に移り、面積は 倍になります。円に内接する長方形で面積が最大なのは正方形で、その面積は、対角線(直径 )から です。よって楕円では です。正方形の頂点 の 座標を 倍すると で、上の答えと一致します。一般の楕円では、最大値は です。
問18 ★★★
複素数平面上の点 (, は実数)を、座標平面の点 と同じものとみます。点 が円 上を動くとき、 とします。
(1) と表すとき、 の実部と虚部を、それぞれ を用いて表しなさい。
(2) 点 は、楕円 の全体を描くことを示しなさい。
(3) (2) の楕円の2つの焦点を表す複素数を求めなさい。
(1) 実部 ,虚部 (2) で楕円上にあることと、楕円上の各点に対応する があることを示す (3) ,
(1) 第3章 公式2(ド・モアブルの定理の の場合)より なので
です。よって です。
(2) 求める楕円を とします。
点 が 上にあること , より , なので
です。
の点がすべて現れること 上の任意の点 をとると、 なので、点 は単位円上にあります。よって , を満たす があり、 は を満たし、(1) よりこの に対する が点 です。
以上より、点 は楕円 の全体を描きます。(証明終)
(3) は で、 なので焦点は実軸上にあります。
より、焦点を表す複素数は です。
上の点は を満たすことになります(長軸の長さ )。 の円の代わりに ()の円を使っても、 が描く楕円の焦点は、いつも です(半径は と で、その2乗の差が )。この変換は、飛行機の翼の断面を調べる道具としても使われてきました。
問19 ★★★
楕円 の焦点を , とし、点 をとります。楕円上の点 について、 の最大値と最小値を求めなさい。
最大値 ,最小値
なので、 は楕円の内部の点です。
楕円の定義から なので
です。 の最大・最小を調べます。 です。3点 ,, について、2辺の差は残りの1辺以下(一直線上に並ぶ場合も含む)なので
です。
最大 、すなわち となるのは、 が線分 上にあるときです。 から の向きに延ばした半直線は、 の先で楕円と交わるので、その交点を とすればこの等号が成り立ちます。
最小 、すなわち となるのは、 が線分 上にあるときです。 から の向きに延ばした半直線は、 が楕円の内部にあるので、 の先で楕円と交わります。その交点を とすればこの等号が成り立ちます。
よって です。
を、もう1つの焦点までの距離 に取りかえるのがポイントです。そのままでは「 と の2点への距離の和」で見通しがききませんが、取りかえると「2点への距離の差」になり、三角形の辺の関係が使えます。第5章 例題4 で を準線までの距離に置きかえたのと同じ発想です(このときの の座標は、直線と楕円の交点として第8章の方法で求められます)。
問20 ★★★
とし、楕円 の2つの焦点を ,、原点を とします。この楕円上の点 について
が成り立つことを示しなさい。
と を足し、 で の項が消えることを示す
, とし、,, とします。公式5 ① より
です。また、 は楕円上にあるので で
です。2つを足すと、 の項が打ち消し合って
となります。(証明終)
(確かめ) が長軸の端 なら 、短軸の端 なら で、どちらも成り立ちます。
が中心から遠ざかって が増えると、ちょうど同じだけ が減るということです。 は の中点なので、中線定理(第1章の厳密定義) と組み合わせて、 から示すこともできます。
第5章の小話で、楕円は円錐を斜めの平面で切ったときの切り口に現れる、と紹介しました。一方、この章では楕円を「2つの焦点からの距離の和が一定な点の集まり」と定義しました。同じ「楕円」という名前がついていますが、この2つが本当に同じ曲線だと、どうすれば分かるでしょうか。
古代ギリシャのアポロニウスは、円錐の切り口として楕円を調べ、焦点にあたる点の性質も知っていました。けれども、2つの見方を一目で結びつける説明が見つかったのは、それから2000年ほどたった1822年のことです。ベルギーの数学者ダンデリンが、円錐の中に球を2つ入れるという、見事なアイデアを発表しました。
2つの球を入れる
頂点を上にして置いた円錐を、斜めの平面で切ったとします。切り口の曲線を とします。
上の点 を1つとり、円錐の頂点と を通る直線(母線)が、, と交わる点を , とします。
ここで使うのは、「球の外の点から球に引いた接線の長さは、どの向きに引いても等しい」という性質です(円の接線の長さが等しいのと同じ理由です)。 は平面の上で上の球に接する線分、 は母線に沿って上の球に接する線分なので
です。したがって
となります。 は、2つの円 , の間にはさまれた母線の長さで、 をどこにとっても同じです。つまり、切り口 は「, からの距離の和が一定」な曲線、すなわち公式1 の楕円です。しかも、2つの球が平面に触れる点が、そのまま焦点になっていたのです。
このような球は「ダンデリンの球」と呼ばれています。同じ方法で、放物線(球は1つ)や双曲線(2つの球が頂点の両側に入る)も説明できます。
豆知識
懐中電灯を壁に向けると、光の当たる部分は、光の円錐を壁の平面で切った切り口になります。まっすぐ向ければ円、少し傾ければ楕円、さらに傾けていくと片側が開いて、放物線や双曲線の形に変わります。暗い部屋で試すと、二次曲線の仲間が1本の懐中電灯から次々に現れます。
また、ダンデリンの球が円錐に接する円 を含む平面と、切る平面との交わりの直線は、楕円の準線になっています。第5章の厳密定義のページで紹介した「焦点までの距離 離心率 準線までの距離」という性質も、この図から導けます(この章の厳密定義のページで、式を使って確かめます)。
惑星は、太陽を1つの焦点とする楕円の上を回っています。17世紀の初めに、ケプラーが火星の観測記録をもとに見いだした法則です(ケプラーの第1法則)。もう1つの焦点には何もありません。
地球の軌道も楕円です。長軸の長さの半分 は約1億4960万 km、離心率 は約 です。公式5 ② によると、太陽(焦点)にいちばん近い点と遠い点は長軸の両端で、その距離は と です。 を計算すると約250万 km なので
となります。地球が近日点を通るのは毎年1月の初め、遠日点を通るのは7月の初めです。日本が冬のころに、地球は太陽にいちばん近づいているのです。
季節を決めているのは、太陽との距離ではなく、地球の自転軸の傾き(約 )です。それでも距離の違いは無視できません。太陽から届く光の強さは距離の2乗に反比例するので、1月の光は7月より 倍、およそ7%強くなります。南半球では、ちょうど夏に太陽が近くなります。
ほとんど円なのに、太陽は真ん中にない
に を入れると、 です。長軸が cm になるように紙に地球の軌道を描くと、短軸との差はわずか mm ほどで、目で見てもまったく円と区別がつきません。
ところが焦点の位置は、中心から 、つまり cm mm もずれています。形はほとんど円なのに、太陽は中心から目に見えるほどずれた所にあるのです。 は の2乗の程度でしか縮まないのに、 は そのものに比例して動くからです。
豆知識
ケプラーの第2法則によると、惑星は太陽に近いところほど速く動きます。そのため、地球が近日点側を通る「秋分から春分まで」は、「春分から秋分まで」より1週間ほど短くなります。北半球では、秋と冬を合わせた期間のほうが、春と夏を合わせた期間より短いのです。
離心率が に近い、とても細長い楕円を回る天体もあります。ハレー彗星(統計の分野の小話にも登場しました)の離心率は約 で、太陽にいちばん近づくときは地球の軌道より内側(約0.6天文単位)まで来ますが、いちばん遠いときは海王星の軌道より外側(約35天文単位)まで離れます。1天文単位は、地球と太陽の平均距離(約1億5000万 km)です。
床の形が楕円の部屋や、天井が楕円を回した形(回転楕円面)のドームでは、不思議なことが起こります。一方の焦点の位置でささやいた声が、部屋の反対側、もう一方の焦点の位置にいる人には、はっきり聞こえるのです。間にいる人には、ほとんど聞こえません。このような部屋は「ささやきの回廊」と呼ばれます。
秘密は、楕円の反射の性質にあります。一方の焦点 から出た音や光は、楕円の壁のどこで跳ね返っても、必ずもう一方の焦点 を通ります(証明は厳密定義のページで行います)。しかも、 から壁の点 を経て に届く道のりは で、どの点で跳ね返っても同じです。第5章の小話のパラボラアンテナと同じく、あらゆる向きに出た音が、そろって同時に に着くので、強め合って大きく聞こえるのです。
アメリカの連邦議会議事堂には、かつて下院の議場だった「国立彫像ホール」という部屋があり、天井のドームが音を集めることで知られています。大統領を務めたあとに下院議員となったジョン・クインシー・アダムズが、この部屋が議場だったころ、自分の席の位置を利用して反対派のひそひそ話を聞いていた、という話が伝わっています(※伝説で、事実かどうかは確かめられていません)。
楕円のビリヤード
楕円形のビリヤード台で、一方の焦点に置いた球を、どの向きでもよいので打ってみます。球はクッションで跳ね返ると、もう一方の焦点を通ります。そのまま進んで再び跳ね返ると、また最初の焦点を通ります。焦点を通った球は、何度跳ね返っても焦点を交互に通り続け、跳ね返るたびに、その道すじは長軸にどんどん近づいていきます。
豆知識
この性質は、医療にも使われています。体外衝撃波結石破砕術は、腎臓などにできた結石を、体を切らずに砕く治療法です。回転楕円面の形をした反射鏡の一方の焦点で衝撃波を発生させ、もう一方の焦点に結石が来るように体の位置を合わせます。衝撃波は反射鏡で跳ね返って結石の1点に集まるので、途中の体の組織を傷つけにくく、結石だけを細かく砕けるのです。1980年にドイツで、初めて患者の治療に使われました。
※ここは発展ページです。本文では、定義から標準形を導くときに2回2乗しましたが、逆向き(標準形の点が定義を満たすこと)は例題1 の数値の場合しか確かめませんでした。また、公式5 の は、定義を満たす点についてしか示していません。ここでは、標準形と定義が同値であることを一気に示し、そのうえで「楕円の内側・外側」を距離の和で言いかえます。それを使って、小話3 のささやきの回廊の仕組みである反射の性質を証明し、最後に準線と離心率、楕円の形が離心率だけで決まることを確かめます。
平面上の異なる2点 , と、 を満たす正の数 に対して、集合
を、, を焦点とする楕円という。, を結ぶ線分の中点を中心、 を離心率という。
なので です。座標は、中心を原点、焦点を ,()にとります。このとき です。以下この節と次の節では、, とおき、定義1 の楕円を と書きます。
点 について
が成り立つ。さらに、このとき , である。
証明 () とすると、 かつ より である。 を用いると
である。 より なので、 である。 を に取りかえた同じ計算で となり、 を得る。
() とする。 の左辺を因数分解して 、よって である。和と差から で、両辺を2乗して上の計算を逆にたどると
となる。(証明終)
本文の「根号を移して2回2乗する」方法では、2乗する前の両辺が 以上であることを毎回確かめる必要がありました。定理1 の証明では、 が という完全平方になることを見抜いて、その手間を省いています。 が の1次式になるという公式5 は、楕円の式の「隠れた完全平方」だったのです。
図形と方程式 第7章では、円の内部・外部を不等式で表しました。同じように、不等式 の表す領域を楕円の内部、 の表す領域を楕円の外部といいます。これを距離の和で言いかえます。
点 について、 とすると
が成り立つ。
証明 である。 より なので、 である。両辺を2乗すると
となり、 とおいて を両辺から引くと
を得る。
次に、, と より なので、 である。関数 は、, の範囲で増加する。実際、その範囲の に対して
である( による。 なら で明らか)。
(i) のとき。 と はともに が増加する範囲にあるので
である(最後は による)。右端の不等式は 、すなわち と同値である。不等号の向きを逆にしても同じ議論が成り立つ。
(ii) のとき。 より である。一方、 より である。よって、この場合も2つの同値関係は成り立つ。(証明終)
証明の中の で とおくと、定理1 がもう一度得られます。定理2 は、「杭とひも」の作図で、ひもを張ったときの棒の先が境目、ひもがたるむ位置が内部、ひもが届かない位置が外部、という直感を、式で裏づけたものです。
楕円の内部は、次の意味で「へこみのない」図形です。
直線 が楕円 とただ1点 だけを共有するとき、 上の 以外の点は、すべて の外部にある。
証明 上に と異なる点 があって、 であったとする。 なら も共有点となり、仮定に反する。 とする。 の向きを表す をとり、 上の点を と表すと
( は定数)となる。 の係数は正、定数項は負なので、この の2次方程式は正の解と負の解を1つずつもつ。すなわち と の共有点は2個以上あり、仮定に反する。(証明終)
第8章では、楕円とただ1点を共有する直線を接線として学びます(放物線とちがって、楕円では「軸に平行な直線」の例外がありません)。定理3 は、接線が楕円の内部を通らないことを言っています。
楕円 上の点 を通り、 と だけを共有する直線を とする。直線 を に関して折り返した直線は、 を通る。すなわち、, が となす角は等しい。
証明 なので、, は の内部にあり、定理3 より 上にない。また、線分 上の点 ()も で内部にあるので、線分 は と交わらない。よって , は に関して同じ側にある。
を に関して折り返した点を とする。 と は に関して反対側にあるので、線分 は とある点 で交わる。 上の任意の点 について だから
である。つまり、 上で を最小にする点の1つが である。
一方、定理3 と定理2 より、 上の 以外の点 では である。よって 上で を最小にする点は だけであり、 である。
したがって ,, はこの順に一直線上にある。直線 を に関して折り返した直線は直線 であり、これは を通る。(証明終)
証明の中心は、「直線 上で、2点 , までの距離の和がいちばん小さい点を探す」という、ヘロンの最短経路の問題です(図形と方程式 第3章で、直線に関して対称な点を使って の最小値を求めた問題と同じ形です)。楕円の外側では距離の和が より大きい(定理2)ので、 に沿って動くと、距離の和は でいちばん小さくなります。そして光は、反射するとき、いちばん短い道すじを選びます。
反射の法則(入射角 反射角)によると、 から出て で反射した光は、直線 を鏡の面 に関して折り返した向きに進みます。定理4 より、その光は に届きます。
第5章の厳密定義のページで、「 で のとき楕円になる」と紹介しました。その準線 が、楕円のどこにあるかを確かめます。
とし、直線 とする()。点 について
が成り立つ。 を、焦点 に対応する楕円の準線という。
証明 両辺は 以上なので、2乗しても同値である。 より
である。 より は両辺で消え、 となる。 なので、これは と同値である。(証明終)
定理1 の を見ると、定理5 は「 を でくくっただけ」とも言えます。楕円上では なので、準線は楕円の外側にあり、楕円と交わりません。 に対応する準線は です。
楕円 なら、 で、準線は と です。本文 j07 の点 ()では、、準線までの距離は で、たしかに です。
二次関数 第1章の小話では、「放物線はどれも相似だが、楕円はつぶれ具合で形が変わる」と予告しました。その「つぶれ具合」の正体が離心率です。
2つの楕円は、離心率が等しいとき、またそのときに限り相似である。
証明(等しいとき相似であること) 楕円を平行移動・回転して、中心を原点、焦点を 軸上に置くと、標準形 ()になります。移動と回転は形を変えないので、標準形どうしで比べれば十分です。
2つの楕円 , の離心率が等しいとします。 なので、 です。 とおくと です。原点を中心に を 倍に拡大すると、点 は に移り
となるので、 は に重なります。
逆の考え方(概略) 楕円上の点と中心の距離は、本文 j15 と同じ計算で となり、最大値が 、最小値が です。相似な図形の移しかえでは、対称の中心は対称の中心に移り、すべての長さが同じ比で変わるので、「中心からの最大距離と最小距離の比」 は変わりません。よって相似な楕円では 、したがって が等しくなります。
円は 、 の場合で、円どうしはいつも相似です。放物線は、第5章 定理3 のとおりどれも相似で、離心率はいつも でした。楕円は の範囲に無数の形があり、 を に近づけると円に、 に近づけると細長くつぶれた形に近づきます。二次曲線の形の違いは、結局のところ離心率という1つの数で整理できるのです。第7章の双曲線は、 の側を受けもちます。
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