問1
関数 ()の最大値と最小値を求めなさい。
答えを見る答えを閉じる
。,, より
目次 / 微分積分 / 数学II
—— 極値と区間の端を比べて、「いちばん大きい・小さい」を確定させる ——
第4章では、増減表を使って山の頂上(極大)と谷の底(極小)を見つけました。けれども極大値は「すぐ近くの中で」いちばん大きい値にすぎず、範囲全体でいちばん大きい値(最大値)とは限りません。この章では、極値と区間の端の値を比べて最大値・最小値を決める方法を学びます。さらに、箱の容積を最大にするような文章題、$\sin\theta$ などを文字でおきかえる問題、区間に文字を含んで場合分けが必要になる問題へと進みます。
第4章の極大・極小は、「その点のすぐ近く」だけを見た山と谷でした。この章で求めたいのは、決められた範囲全体の中での最大値(いちばん大きい値)と最小値(いちばん小さい値)です。 のように両端を含む区間を閉区間といいます。
区間 で の最大値・最小値を求めるには
気温の変化で考えてみます。「朝9時から昼12時までの最高気温」を知りたいとき、気温がお昼を過ぎてもまだ上がり続けている日なら、答えは12時ちょうどの気温です。途中に小さな山があっても、それより区切りの時刻のほうが暖かいことはよくあります。調べる時間帯(区間)が決まっているなら、途中の山と谷だけでなく、始まりと終わりの時刻も必ず確かめる、ということです。
閉区間での最大値・最小値は、増減表で求めた極値と、区間の両端の値をすべて並べて比べれば決まるということです。
関数 ()の最大値と最小値を求めなさい。
【解答】
なので、 となるのは で、どちらも区間の中にあります。
| 極大 | 極小 |
※ 極大値 は最大値ではありません。また、最小値 は2か所でとるので、両方の を答えます。閉区間の増減表では、両端の列に の欄は書かず、 の値だけを入れます。
区間に端がない場合、たとえば「すべての実数」や「」「」では、公式1の「端の値」が使えません。このときは増減表と、 を端の方へ動かしたときの様子から判断します。
端のない区間では、最大値・最小値が存在しないことがある。
陸上競技で「ゴールラインの手前で止まってください。ただし線を踏んではいけません」と言われたランナーを想像してください。線にはいくらでも近づけますが、「ここがいちばん先」という地点を決めることはできません。端を含まない区間は、この「踏めないゴールライン」をもっているのです。
端のない区間では、増減表で値の動きを見たうえで、最大値・最小値が「ない」と答える場合もあるということです。
関数 の最大値と最小値があれば、それを求めなさい。
【解答】
なので、 となるのは です。
| 極小 | 極大 | 極小 |
の絶対値を大きくすると はいくらでも大きくなるので、最大値はありません。
※ 極大値 を最大値と答えるのは誤りです。たとえば は より大きくなります。
身のまわりの「いちばん大きくしたい」「いちばん小さくしたい」を、関数の最大・最小に言いかえて解きます。
料理の塩加減を思い出してください。少なすぎると味がぼやけ、多すぎると塩辛い。その間のどこかに「ちょうどいい量」があります。何かを増やすと良いことと悪いことが同時に起きるとき、そのバランスがいちばん良くなる点が最大値の点で、微分はその場所をぴたりと教えてくれます。
文章題では、変える量を とおいて範囲を決め、最大・最小にしたい量を の関数にすれば、あとは増減表で解けるということです。
1辺が の正方形の厚紙の四隅から、1辺が の正方形を切り取り、残りを折り曲げてふたのない箱を作る。箱の容積 が最大になるときの の値と、そのときの容積を求めなさい。
【解答】
箱の底面は1辺 の正方形、高さは です。 かつ なので、範囲は 。
で となるのは だけです。
| 極大 |
です。
のとき最大で、容積は
※ 範囲に含まれない端は、増減表で のように括弧をつけて書きます。 も の解ですが、範囲の外なので使いません。
や のようなまとまりが何度も出てくる関数は、そのまとまりを とおくと、 の多項式になることがあります。
などとおいて を の関数にしたら、
海外旅行で、ドル表示の値札をいったん円に換算してから比べる場面に似ています。換算すれば比べやすくなりますが、「予算は100ドルまで」という条件も円に換算しておかないと、買えない品物を選んでしまいます。おきかえでは、式と一緒に範囲も「換算」するのが大切です。
まとまりを とおくと見慣れた多項式になりますが、そのとき の範囲も必ず求めておくということです。
のとき、関数 の最大値と最小値を求めなさい。また、そのときの の値を求めなさい。
【解答】
なので、 とおくと
で、 となるのは 。
| 極大 |
のとき最大値 。 より 。 のとき最小値 。 より 。
※ ここで微分しているのは の多項式です。 そのものを微分する方法は数学III(第11章)で学びます。
「」のように区間の端が文字のときは、 の大きさによって、グラフのどの部分が区間に入るかが変わります。
散歩の記録で「出発してからいままでに通ったいちばん高い地点」を考えてみましょう。歩きはじめは、出発点がいちばん高いかもしれません。途中でいったん下り、また上っていくと、あるところで出発点と同じ高さを通りすぎ、そこから先は「いま立っている場所」がいちばん高くなります。歩いた距離(区間の長さ)によって答えが変わるので、その切りかわる地点を見つけて場合を分けるのです。
区間に文字があるときは、グラフを先に描き、最大・最小をとる点が入れかわる境目で場合分けするということです。
とする。関数 ()の最大値を求めなさい。
【解答】
なので、 では、 で減少し、 で増加します。
| 極小 |
区間の左端の値は です。 で となるのは より 。つまり、 は で左端と同じ高さに戻ってきます。
まとめると
※ 境目は「極値をとる 」ではなく、「左端と同じ高さになる 」です。最大値の場合分けでは、この高さ比べの境目を見落とさないようにしましょう。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
関数 ()の最大値と最小値を求めなさい。
。,, より
問2
関数 ()の最大値と最小値を求めなさい。
,, より
問3
関数 ()の最大値と最小値を求めなさい。
。,, より
問4
関数 ()の最大値と最小値を求めなさい。
。,, より
問5
関数 の最小値を求めなさい。
。極小値 より
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
関数 ()の最大値と最小値を求めなさい。
で最大値 , で最小値
。 となる はどちらも区間内です。
| 極大 | 極小 |
最大値・最小値とも2か所でとります。どちらの も書きましょう。
問2 ★
関数 ()の最大値と最小値を求めなさい。
で最大値 , で最小値
。
| 極大 | 極小 |
(極値は第4章 例題2 と同じ関数です。区間がついたので、端の値 , と比べて確定させます。)
問3 ★
関数 ()の最大値と最小値を求めなさい。
で最大値 , で最小値
。 は で正、それ以外で負です。
| 極小 | 極大 |
問4 ★
関数 ()の最大値と最小値を求めなさい。
で最大値 , で最小値
。
| 極大 | 極小 |
極大値 より右端の のほうが大きいので、最大値は端でとります。
問5 ★
関数 ()の最大値と最小値を求めなさい。
で最大値 , で最小値
。 は区間の左端です。
| 極大 | 極小 |
問6 ★
関数 の最小値と、そのときの の値を求めなさい。
で最小値
。 なので、 では の符号は と同じです。
| 極小 |
では減少し、 では増加するので、極小値がそのまま最小値です。。
問7 ★
関数 ()の最小値を求めなさい。また、最大値があれば求めなさい。
で最小値 ,最大値はない
。 で となるのは だけです。
| 極小 |
。 を大きくすると はいくらでも大きくなるので、最大値はありません。
問8 ★
正の数 が をみたすとき、 の最大値と、そのときの の値を求めなさい。
のとき最大値
を代入して、 の関数にします。, より 。
| 極大 |
,このとき 。
( が2乗されているので、 を に書きかえるより、 を消して だけの式にするほうが計算が楽です。)
問9 ★★
縦 ,横 の長方形の厚紙の四隅から、1辺が の正方形を切り取り、ふたのない箱を作る。箱の容積の最大値と、そのときの の値を求めなさい。
のとき最大値
底面は縦 ,横 ,高さ 。,(短いほうの辺が正)より 。
の解は ですが、 なので範囲の外です。
| 極大 |
。
範囲を確かめずに も候補にすると、横の長さが負になってしまいます。
問10 ★★
のとき、関数 の最大値と最小値を求めなさい。また、そのときの の値を求めなさい。
で最大値 , で最小値
2倍角の公式 を使い、 とおくと で
。 で となるのは だけです( は範囲外)。
| 極大 |
()で最大値 ,()で最小値 。
問11 ★★
関数 の最小値と、そのときの の値を求めなさい。
で最小値
とおくと で、。
| 極小 |
のとき最小値 。 より 。
( も の解ですが、 は負にならないので候補になりません。)
問12 ★★
とする。関数 ()の最大値が ,最小値が であるとき、定数 の値を求めなさい。
。 なので符号は「」です。
| 極大 | 極小 |
より なので、最大値は ,最小値は 。
問13 ★★
関数 ()の最大値が であるとき、定数 の値と、この区間における最小値を求めなさい。
,最小値
。 は区間の外なので、区間内の の点は だけです。
| 極大 |
最大値は より 。最小値は と の小さいほうで 。
問14 ★★
放物線 と 軸で囲まれた部分に、1辺が 軸上にあり、残りの2つの頂点が放物線上にある長方形をつくる。この長方形の面積の最大値を求めなさい。
放物線は 軸について対称なので、長方形の頂点を , とおきます()。
| 極大 |
問15 ★★
放物線 上の点 と点 の距離の最小値と、そのときの点 の座標を求めなさい。
のとき最小値
とおきます。距離 は正なので、 が最小になるとき も最小です。
なので、 の符号は の符号と同じです。
| 極小 |
が最小値なので、 の最小値は 。
( のついた式は数学IIでは微分できないので、2乗した量で考えるのが定番の工夫です。)
問16 ★★
のとき、 の最大値と最小値を求めなさい。また、そのときの の値を求めなさい。
で最大値 ; で最小値
で、 かつ より (今度は端を含みます)。
| 極大 |
問17 ★★★
とする。関数 ()の最小値を求めなさい。
のとき (), のとき ()
なので、 では で減少、 で増加します(例題5の増減表)。最小値の候補は極小の点 ですが、それが区間に入るかどうかで分けます。
まとめると
最大値(例題5)の境目は でしたが、最小値の境目は極小の点 です。何を求めるかで境目が変わることに注意しましょう。
問18 ★★★
とする。関数 ()の最小値を求めなさい。
のとき (), のとき ()
。 では、 で減少、 で増加し、 で極小値 をとります。今度は区間が固定で、極小の位置 が動きます。
のとき: が区間内にあるので、最小値は
| 極小 |
のとき:区間 全体で減少するので、最小値は
まとめると
( では両方の式が になり、つながっています。)
問19 ★★★
とする。関数 ()の最大値を求めなさい。
のとき (), のとき (), のとき ()
。 では、 で減少、 で増加します。
区間の中で「いったん下がって、上がる」か「下がるだけ」なので、最大値はどちらの場合も両端のどちらかです。両端の値を比べます。
( で区間全体が減少する場合も、最大値は端 なので、この比較に含まれます。)
まとめると
「極小しかない区間では、最大値は端で決まる」と見抜けると、極小の位置 による細かい場合分けが不要になります。
問20 ★★★
半径 の球に内接する直円錐(頂点と底面の円周がすべて球面上にある円錐)の体積の最大値を求めなさい。また、そのときの円錐の高さを求めなさい。
高さ のとき最大値
円錐の高さを とします。頂点を球の「てっぺん」にとると、底面の中心は球の中心から だけ離れているので、底面の半径 は三平方の定理より
体積は
| 極大 |
のとき で
( を変数にすると が を含んでしまいます。 が の多項式で書けるので、 を変数に選ぶのがコツです。高さは球の直径 の になります。)
古代ローマの詩人ウェルギリウスが伝える、カルタゴ建国の伝説があります。故郷を追われた王女ディドが北アフリカにたどり着き、土地を分けてほしいと頼むと、「牛1頭の皮で覆えるだけの土地なら」と言われました。ディドは皮をごく細いひもに切り分けてつなぎ、海岸を利用して大きな半円を描くように囲って、丘をまるごと手に入れた、という話です(※伝説であり、史実かどうかはわかりません)。
ここに隠れているのは、「決まった長さのひもで囲める面積を最大にするには、どんな形にすればよいか」という問題です。答えは円(海岸線を使えるなら半円)で、等周問題と呼ばれます。長方形に限れば、周の長さが一定のとき面積が最大になるのは正方形で、これはこの章の方法でも確かめられます。
豆知識
等周問題は、「形そのもの」を変数にして最大・最小を考えるので、この章の方法だけでは解けません。こうした問題を扱う分野を変分法といい、大学の数学や物理で学びます。
体積が決まった円柱の缶を、できるだけ少ない材料(表面積)で作るとします。計算すると、表面積がいちばん小さくなるのは、高さと底面の直径が等しいずんぐりした形です。ところが、自動販売機に並ぶ缶の多くは、直径よりずっと背の高い細長い形をしています。
理由はいくつか考えられます。片手で握りやすいこと、ふたと底には側面より厚い材料が使われていて、その面積を小さくしたほうが得になること、自動販売機や棚にたくさん並べやすいこと、などです。数学で出した「最適な形」は、何を最小にしたいかという条件の決め方しだいで変わる、というよい例です。
豆知識
表面積の式には のような分数の形が出てくるため、実際にこの計算をするには数学IIIの微分が必要です。第11章まで進んだら、ぜひ自分で確かめてみてください。
ミツバチの巣は、正六角形の部屋がすき間なく並んだ形をしています。平面をすき間なく同じ正多角形で敷きつめられるのは、正三角形・正方形・正六角形の3種類だけ。その中で、同じ面積を囲むのに必要な壁の長さがいちばん短いのが正六角形です。少ないロウで広い部屋をつくれる、というわけです。
「正多角形に限らず、どんな形で区切っても、同じ面積の部屋に分けるなら正六角形の壁がいちばん短い」という主張は、昔からハニカム予想と呼ばれてきました。これを数学者トーマス・ヘールズが証明したのは、1999年のことです。ハチが長い時間をかけてたどり着いた形が「最小」だと、人間が証明するまでには、ずいぶん時間がかかったことになります。
豆知識
ハチが「計算して」六角形にしているわけではない、という説もあります。やわらかいロウでできた円い部屋どうしが押し合って、自然に六角形になるのではないか、というものです(※しくみについては諸説あり)。
※ここは発展ページです。高校の範囲では、増減表を書いて極値と端の値を比べられれば十分です。「閉区間なら最大値が必ずあるのはなぜか」「最大値が極値の点か端でしかとらないのはなぜか」が気になる人のために、定義と定理を紹介します。
関数 の区間 における最大値が であるとは、 が に属し、 に属する任意の について
が成り立つことである。不等号の向きを にしたものを最小値という。
第4章の極大の定義と比べると、違いは2つあります。1つは、見る範囲が「 のすぐ近く」ではなく「区間 全体」であること。もう1つは、不等号が「」ではなく「」であることです。等号を許しているので、例題1の最小値 のように、同じ値を2か所でとってもかまいません。
関数 が閉区間 で連続ならば、 はこの区間で最大値と最小値をもつ。
この定理の証明には、「実数には穴がない」という実数の性質(実数の連続性)を深く使うので、ここでは省略します。第4章の厳密定義で、平均値の定理の証明には「実数の深い性質が必要」と書いたのは、この定理のことです。
仮定の「閉区間」と「連続」は、どちらを外しても結論が成り立たなくなります。
高校で扱う多項式の関数はどこでも連続なので、閉区間でさえあれば、最大値・最小値は必ず存在します。
関数 が閉区間 で微分可能で、 で最大値をとるならば、,, のいずれかが成り立つ。最小値についても同様である。
証明 が端でない、つまり として を示す。 で最大値をとるので、 が区間に入る範囲の について である。
よって 。(証明終)
この証明は、第4章の定理3(極値をとる点では )とほとんど同じです。違うのは、はじめの不等号が「」ではなく「」になっている点だけで、極限をとったあとの結論は変わりません。
証明の中で「 の側」と「 の側」の両方を使っていることに注目してください。区間の端 では、右側()に進むことができないので、片側の情報しか得られず、 は導けません。例題1で なのに で最大値をとるのは、このためです。定理1と定理2を組み合わせると、「閉区間では、最大値は必ず存在し、しかも端の値と の点の値を比べれば見つかる」という公式1の手順が、正しいと保証されます。
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