問1
を求めなさい。
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( を代入)
目次 / 微分積分 / 数学II
—— 微分の出発点となる「近づく」という考え方 ——
この章では、微分のいちばん最初に登場する「極限」「平均変化率」「微分係数」の3つを学びます。どれも「変化のようす」を数で表すための道具です。
関数 で、 が と異なる値をとりながら に限りなく近づくとき、 の値が一定の値 に限りなく近づくならば、これを次のように書きます。
「 が に近づくとき、 は に近づく」と読みます。 を極限値といいます。
身近な例でいうと、極限は「駅に近づいていく電車」のようなものです。電車がまだ駅に到着していなくても、「どこに向かって近づいているか(=駅)」は決まっていますよね。極限も同じで、 ちょうどの値そのものではなく、「近づいた先がどこか」を考えます。
極限とは「代入した瞬間の値」ではなく「限りなく近づいた行き先の値」を求める考え方だということです。
次の極限値を求めなさい。
【解答】
(1) 多項式なので、 をそのまま代入します。
(2) を代入すると分母も分子も になってしまう( の形)ので、先に約分します。
よって
※ は に「近づくだけ」で そのものにはならないので、 として約分できます。
次に、「区間全体でならした変化の割合」を考えます。
関数 について、 が から まで変わるときの平均変化率は
グラフでいうと、2点 , を結ぶ直線の傾きです。
たとえば、車で2時間かけて100 km進んだら「平均時速50 km」です。途中で速くなったり遅くなったりしても、全体をならせば1時間あたり50 km。この「ならした変化の割合」が平均変化率です。
平均変化率とは、区間全体をならした「変化の速さ」のことだということです。
関数 について、 が から まで変わるときの平均変化率を求めなさい。
【解答】
, なので
グラフ上の2点 と を結ぶ直線の傾きが である、ということです。
平均変化率の区間をどんどん狭くしていくと、「その瞬間の変化の割合」にたどり着きます。これが微分係数です。
関数 の における微分係数 は
下の図は のグラフです。2点を結ぶ直線(点線)の傾きが平均変化率で、2点をどんどん近づけていくと、直線は1点で触れる接線(実線)に近づきます。この接線の傾きが微分係数です。
車の例でいえば、平均変化率が「2時間の平均時速」なのに対し、微分係数は「スピードメーターがいま指している値」です。区間を限りなく短くした、その一瞬の速さにあたります。
微分係数とは、平均変化率の区間を限りなく縮めてできる「瞬間の変化率」のことだということです。
関数 について、微分係数 を定義に従って求めなさい。
【解答】
定義の式に を入れます。, なので
よって
これは「 のグラフの における接線の傾きが 」という意味でもあります。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
を求めなさい。
( を代入)
問2
を求めなさい。
( を代入)
問3
を求めなさい。
( を代入)
問4
関数 について、 が から まで変わるときの平均変化率を求めなさい。
問5
関数 について、 が から まで変わるときの平均変化率を求めなさい。
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
を求めなさい。
多項式なので を代入します。
問2 ★
を求めなさい。
を代入します。
問3 ★
を求めなさい。
を代入します。
問4 ★
を求めなさい。
を代入すると の形になるので、先に約分します。
問5 ★
を求めなさい。
分子を因数分解して約分します。
問6 ★
関数 について、 が から まで変わるときの平均変化率を求めなさい。
, なので
問7 ★
関数 について、 が から まで変わるときの平均変化率を求めなさい。
, なので
途中で値は変化していますが、行きと帰りが打ち消し合って「ならすとゼロ」になっています。平均変化率 は「変化していない」という意味ではない点に注意しましょう。
問8 ★
関数 について、微分係数 を定義に従って求めなさい。
, なので
問9 ★★
を求めなさい。
と因数分解できるので
問10 ★★
を求めなさい。
分子を展開して整理します。
この式は、じつは の微分係数 の定義式そのものです。
問11 ★★
を求めなさい。
分子・分母をそれぞれ因数分解します。
問12 ★★
関数 について、 が から まで変わるときの平均変化率が となるように、定数 の値を定めなさい。
, なので、平均変化率は
これが に等しいので ,すなわち 。
問13 ★★
関数 について、微分係数 を定義に従って求めなさい。
なので
よって
問14 ★★
関数 について、微分係数 を定義に従って求めなさい。
を使います。
よって
問15 ★★
関数 について、 が から まで変わるときの平均変化率を の式で表しなさい。また、 のときの極限が に一致することを確かめなさい。
平均変化率は 。 で となり、 と一致する。
, なので、平均変化率は
とすると 。一方、定義から求めた もまったく同じ計算で になるので、両者は一致します。「平均変化率の区間をつぶした極限が微分係数」という関係を式で確かめる問題でした。
問16 ★★
を求めなさい。
分子を展開して整理します。
問17 ★★★
等式 が成り立つように、定数 の値を定めなさい。
のとき分母 です。それでも極限値が という有限の値になるためには、分子も に近づくことが必要です(分子が 以外の値に近づくと、極限は発散してしまいます)。よって
これを分子に代入すると
と因数分解できるので
これが に等しいので ,そして 。
(検算: で確かに成立します。)
問18 ★★★
関数 について、 を求めなさい。
と をそれぞれ計算します。
よって
なお、この形の極限は一般に に等しくなります(区間 の幅が であるため)。実際 で、 と一致しています。
問19 ★★★
関数 について、微分係数 を定義に従って求めなさい。また、 となる の値をすべて求めなさい。
,
まず定義から を求めます。 より
次に とすると
問20 ★★★
等式 が成り立つように、定数 の値を定めなさい。
問17と同じ考え方です。 で分母 なのに極限が有限値 なので、分子も に近づく必要があります。
これを分子に代入すると
と因数分解できるので
これが に等しいので ,そして 。
(検算: で成立します。)
17世紀、微分積分はほぼ同じ時期に、イギリスのニュートンとドイツのライプニッツという2人の天才によって、それぞれ独立に生み出されました。ところが「どちらが先か」をめぐって、支持者たちを巻き込んだ数学史上有名な大論争が勃発します。調査に乗り出したイギリス王立協会はニュートンに軍配を上げましたが、実はそのときの会長はニュートン本人。公平とは言いがたい判定でした。現在では「2人が独立に発明した」というのが定説です。
豆知識
今わたしたちが使う積分記号 や、微分の という書き方はライプニッツが考えたものです。イギリスはニュートン流の記号にこだわり続けたため、その後の解析学の発展でヨーロッパ大陸に後れを取ったと言われています(※諸説あり)。記号の「使いやすさ」が数学の進歩を左右した、という面白い例です。
古代ギリシャの哲学者ゼノンは、こんなパズルを残しました。「俊足のアキレスは、少し先からスタートした亀に永遠に追いつけない。アキレスが亀のいた場所に着くころ、亀は少し先に進んでいる。またその場所に着くころ、亀はさらに少し先へ……これが無限に繰り返されるからだ」——もちろん現実にはすぐ追いつけますよね。
このナゾを解くカギが、この章で学んだ極限です。「追いつくまでの無限回のステップ」にかかる時間はどんどん短くなり、全部足してもある一定の値に近づいて収束します。つまり無限に繰り返しても、かかる時間は有限。2400年前のパラドックスは、極限の考え方で見事に説明できるのです。
車のスピードメーターが指す「時速60km」は、この章で学んだ**微分係数(瞬間の変化率)**の考え方そのものです。また、スマホの地図アプリが出す移動速度は、GPSで測った位置の変化をごく短い時間で割って計算しています。これはまさに「区間の短い平均変化率で瞬間の速さを近似する」という、微分係数の定義と同じ発想。今日学んだことは、毎日ポケットの中で動いているのです。
※ここは発展ページです。高校の範囲では「限りなく近づく」という直感的な理解で十分ですが、「近づくって、厳密にはどういうこと?」が気になる人のために、大学数学で使われる正確な定義を紹介します。難しい内容ですが、深く知りたい人にはオススメです。
であるとは、次が成り立つことをいう。
どんな正の数 (イプシロン)に対しても、ある正の数 (デルタ)をうまく選べば、
とできる。
言葉にすると、「誤差の目標 をどんなに厳しく(小さく)設定されても、 を に十分近づけさえすれば(距離 以内)、 と のズレを目標 より小さくできる」という意味です。「限りなく近づく」というあいまいな言葉を、誤差と距離の不等式だけで言い換えているのがポイントです。なお、 という条件は「 そのものは考えない」ことを表しており、これは高校で学ぶ「 は と異なる値をとりながら近づく」に対応しています。
, のとき、次が成り立つ。
これらはすべて – 論法から証明できる。本章で「多項式は代入すればよい」としたのは、この性質の帰結である。
と置き換えることで、微分係数は次の2通りに書ける(両者は同値)。
右の形は「2点 , を結ぶ直線の傾きの極限」という図形的な意味がそのまま見える表現である。この極限が存在するとき、 は で微分可能であるという。
関数 が で微分可能ならば、 は で連続である。すなわち が成り立つ。
証明 のとき
と変形できる。 のとき、右辺の第1因子は に、第2因子は に近づくので、定理1(積の極限)より
すなわち 。(証明終)
**注意:逆は成り立ちません。**連続でも微分可能とは限らない例として があります。 でグラフはつながっています(連続)が、左から近づくと傾き 、右から近づくと傾き で一致しないため、 での微分係数は存在しません。グラフが「カクッ」と折れている点では微分できない、と覚えておくとよいでしょう。
この章の学習が終わったら
学習完了テストを受ける