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第5章 仮説検定の考え方

—— 「たまたま」で片づけてよいかを確率で判断する ——

第4章では、相関があっても原因とは限らないことを学びました。この章では、別の角度から「データが何かを主張しているか」を考えます。20 人中 15 人が新しい商品を選んだとき、それは本当に好まれているからなのか、それともたまたまなのか。この問いに答える方法が「仮説検定」です。確率はまだ本格的に学んでいないので、コイン投げの実験を 1000 回くり返した結果の表を使い、「たまたまでは起こりにくい」を数で判断する流れを身につけます。数学B の第10章で学ぶ本格的な仮説検定の土台になる章です。

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「たまたま」かどうかを確かめたい

お菓子の会社が、新しいパッケージ B を考えました。今までのパッケージ A と並べて 20 人に見せ、どちらを買いたいかを聞いたところ、15 人が B を選びました。「B のほうが好まれる」と言ってよいでしょうか。

B を選んだ人のほうが多いのは確かです。けれども、A と B が本当は同じくらい好まれていても、20 人に聞けば 11 人対 9 人、12 人対 8 人くらいの差はふつうに出ます。問題は、15 人対 5 人という差が「たまたま」で片づけられる大きさかどうかです。

第4章では、相関があるだけでは原因とはいえない、という注意を学びました。この章で扱うのは、それとは別の落とし穴、「偶然でも起こりうる差を、意味のある差と思いこんでしまう」ことへの備えです。

仮説検定と帰無仮説

「B のほうが好まれる」と直接示すのは難しいので、遠回りをします。いったん、主張とは反対の仮説を立てて、その仮説のもとで今回の結果がどれくらい起こりやすいかを調べるのです。

公式1:仮説検定と 2 つの仮説

データをもとに、ある主張が正しいといえるかどうかを判断する方法を仮説検定という。仮説検定では、次の 2 つの仮説を立てる。

  • 対立仮説:正しいと示したい主張
  • 帰無仮説:対立仮説に反する仮説。「差はない」「偏りはない」「効果はない」の形で立てる

そして、帰無仮説が正しいと仮定したときに、実際に得られた結果がどれくらいの確率で起こるかを調べる。

「帰無(きむ)」は「無に帰する」、つまり最後には捨てられることを期待して立てる仮説、という意味の言葉です。パッケージの例なら、対立仮説は「B のほうが好まれる」、帰無仮説は「A と B は同じ程度に好まれる(どの人も 12\frac{1}{2} の確率で B を選ぶ)」となります。

裁判を思い浮かべると分かりやすいでしょう。検察官が示したいのは「被告人は有罪だ」ですが、裁判はまず「被告人は無罪だ」という前提から始まります。そのうえで、無罪だとしたら説明がつかないほどの証拠がそろったときにだけ、有罪と判断します。無罪の前提が帰無仮説、有罪という主張が対立仮説にあたります。

仮説検定では、示したい主張(対立仮説)の反対である「差はない」という仮説(帰無仮説)を先に立て、それで結果が説明できるかを調べるということです。

例題1:2 つの仮説を立てる

ある人が「このさいころは 1 の目が出やすい」と主張しています。この主張を仮説検定で調べるとき、対立仮説と帰無仮説をそれぞれ求めなさい。


【解答】

正しいと示したいのは主張そのものなので

  • 対立仮説:このさいころは 1 の目が出やすい‾\underline{\text{1 の目が出やすい}}

これに反する「偏りはない」の形の仮説が帰無仮説です。ふつうのさいころでは、1 の目はほかの目と同じように出るので、その出る確率は 16\frac{1}{6} です。

  • 帰無仮説:1 の目が出る確率は 16 である‾\underline{\frac{1}{6} \text{ である}}(ふつうのさいころと同じ)

となります。

有意水準と棄却

帰無仮説のもとで、実際に得られた結果の確率を求めたとします。その確率がとても小さかったら、「こんなに珍しいことが、たまたま起こったとは考えにくい。そもそも帰無仮説が間違っていたのだろう」と考えます。問題は、どれくらい小さければ「とても小さい」とするかで、その線引きを前もって決めておきます。

公式2:有意水準と棄却

帰無仮説を捨てるかどうかの基準となる確率を有意水準という。有意水準は 0.050.05(5%5\%)や 0.010.01(1%1\%)とすることが多い。

  • 帰無仮説のもとで、実際の結果が起こる確率が有意水準以下なら、帰無仮説を棄却する。このとき、対立仮説は正しいと判断する。
  • その確率が有意水準より大きいなら、帰無仮説を棄却しない。このとき、対立仮説が正しいとは判断できない。

「棄却(ききゃく)」は、取り上げずに捨てるという意味です。有意水準の「有意」は「意味が有る」、つまり偶然では片づけられない差のことを指します。

火災報知器にたとえてみます。台所で魚を焼いた程度の煙で鳴っていたら困りますし、本物の火事で鳴らないのも困ります。そこで「煙の濃さがここを超えたら鳴らす」という感度を、あらかじめ決めて取り付けておきます。有意水準は、この感度の設定にあたります。1%1\% は 5%5\% より厳しい、つまり鳴りにくい設定です。

有意水準は「この確率以下なら、たまたまとは考えない」という前もって決めた線で、結果の確率がその線以下なら帰無仮説を棄却するということです。

例題2:有意水準と比べて判断する

帰無仮説のもとで実際の結果が起こる確率を調べたところ、次の (1)、(2) のようになりました。

(1) 確率が 0.030.03 だった場合

(2) 確率が 0.080.08 だった場合

有意水準を 0.050.05 とするとき、上の (1)、(2) のそれぞれについて、帰無仮説を棄却するかどうかを求めなさい。


【解答】

(1) 0.030.03≦0.05{}\leqq 0.05 なので、帰無仮説を 棄却する‾\underline{\text{棄却する}}。対立仮説は正しいと判断します。

(2) 0.080.08>0.05{}> 0.05 なので、帰無仮説を 棄却しない‾\underline{\text{棄却しない}}。対立仮説が正しいとは判断できません。

実験で確率を見積もる

パッケージの例に戻ります。帰無仮説「どの人も 12\frac{1}{2} の確率で B を選ぶ」のもとで、20 人中 15 人以上が B を選ぶ確率を知りたいのでした。

1 人が A か B かを五分五分で選ぶ様子は、コインを 1 枚投げて表なら B、裏なら A とする実験で置きかえられます。そこで「コインを 20 回投げて表の回数を数える」ことを 1 セットとし、これを 1000 セットくり返しました。表の回数ごとに、そうなったセット数をまとめると次の表になります。

表の回数4 以下567891011121314151617 以上計
セット数4184382105161167179111803116301000
50 100 150 200 セット数 4以下 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17以上 表の回数 15回以上:19セット

表が 10 回前後のセットが多く、端へ行くほど少なくなっています。この表の相対度数(第1章)を、そのまま「確率」とみなします。

公式3:実験による確率の見積もり

帰無仮説と同じ条件の実験(コイン投げなど)を多数回くり返し、ある結果が起こった回数の相対度数

その結果が起こった回数実験をくり返した回数\frac{\text{その結果が起こった回数}}{\text{実験をくり返した回数}}

を、帰無仮説のもとでその結果が起こる確率とみなす。

コインを使うのは、コインには好みがないからです。コインの表・裏は、「A と B が同じ程度に好まれる世界」の人のふるまいを、そっくりまねてくれます。くり返す回数が多いほど、相対度数は本当の確率に近づくと考えられます。

たとえるなら、新しい料理を出す前の試食会です。本番のお客さんがどう反応するかは分からないので、似た条件で何度も試してみて、そのときの割合を本番の見込みとして使います。

帰無仮説と同じ状況をコイン投げなどで何度も再現し、その相対度数を確率の代わりに使うということです。

例題3:実験の表から相対度数を読む

上の表(コインを 20 回投げる実験を 1000 セット)について、次の (1)、(2) を考えます。

(1) 表がちょうど 15 回出た相対度数

(2) 表が 15 回以上出た相対度数

上の (1)、(2) の値をそれぞれ求めなさい。


【解答】

(1) 表がちょうど 15 回のセットは 16 なので

161000\displaystyle \frac{16}{1000}=0.016‾\displaystyle {}= \underline{0.016}

(2) 15 回、16 回、17 回以上のセット数を合計します。

16+3+01000\displaystyle \frac{16 + 3 + 0}{1000}=191000\displaystyle {}= \frac{19}{1000}=0.019‾\displaystyle {}= \underline{0.019}

「その結果以上」の確率を使う理由

例題3 で、「ちょうど 15 回」と「15 回以上」の 2 つを求めました。検定で使うのは後者です。

もし「ちょうど」の確率を使うと、困ったことが起こります。コインを 1000 回投げたとき、表がちょうど 500 回になる確率は 0.030.03 未満しかありません。けれども、500 回は帰無仮説どおりのいちばん「ふつう」の結果です。回数が多くなると、どの結果も「ちょうど」の確率は小さくなってしまうので、これでは判断の材料になりません。

そこで、「実際の結果と同じか、それよりも主張に有利な(帰無仮説から離れた)結果」をまとめて考えます。15 人が B を選んだのなら、16 人、17 人、…、20 人が選ぶ場合も、同じくらいかそれ以上に「B が好まれている」ことを示す結果なので、いっしょに数えるのです。

公式4:確率を求める範囲

仮説検定では、帰無仮説のもとで

実際の結果と同じか、それよりも対立仮説に有利な結果が起こる確率

を求め、有意水準と比べる。

たとえば「B のほうが好まれる」ことを調べて 2020 人中 1515 人が B を選んだなら、「B を選ぶ人が 1515 人以上」となる確率を求める。

背比べでいえば、「身長 190 cm ちょうどの人」はまれでも、それは身長を細かく測るほどどんな値もまれになるからです。珍しさを表すのは「190 cm 以上の人がどれくらいいるか」のほうでしょう。

「ちょうどその結果」ではなく、「その結果か、それより極端な結果」をまとめた確率で珍しさを測るということです。

例題4:パッケージの検定

新しいパッケージ B と今までのパッケージ A を 20 人に見せたところ、15 人が B を選びました。上の実験の表を使い、「B のほうが好まれる」といえるかどうかを、有意水準 0.050.05 で判断します。帰無仮説が棄却されるかどうかと、その結論を求めなさい。


【解答】

  • 対立仮説:B のほうが好まれる
  • 帰無仮説:A と B は同じ程度に好まれる(各人が B を選ぶ確率は 12\frac{1}{2})

帰無仮説のもとで B を選ぶ人数は、コインを 20 回投げたときの表の回数と同じように分布すると考えられます。例題3 (2) より、表が 15 回以上出る相対度数は 0.0190.019 です。

0.019\displaystyle 0.019≦0.05\displaystyle {}\leqq 0.05

なので、帰無仮説は 棄却される‾\underline{\text{棄却される}}。したがって、B のほうが 好まれるといえる‾\underline{\text{好まれるといえる}} と判断します。

仮説検定の手順

ここまでの流れを、手順として整理しておきます。

公式5:仮説検定の手順
  1. 示したい主張を対立仮説とし、それに反する「差はない」という仮説を帰無仮説とする。
  2. 有意水準(0.050.05 など)を決める。
  3. 帰無仮説のもとで、実際の結果と同じか、それよりも対立仮説に有利な結果が起こる確率を求める(実験の相対度数で見積もってよい)。
  4. その確率が有意水準以下なら帰無仮説を棄却し、対立仮説は正しいと判断する。有意水準より大きければ棄却せず、対立仮説が正しいとは判断できないとする。

手順 2 を手順 3 より前に置いているのは大事な点です。結果を見てから基準を決めると、望む結論に合わせて線を動かせてしまいます。ゴールポストを試合の途中で動かしてはいけない、ということです。

仮説を立てる → 有意水準を決める → 確率を求める → 比べて判断する、の 4 ステップで進めるということです。

例題5:棄却されない場合

例題4 と同じ調査を別の町で行ったところ、20 人中 13 人が B を選びました。上の実験の表を使い、有意水準 0.050.05 で判断します。帰無仮説が棄却されるかどうかと、その結論を求めなさい。


【解答】

帰無仮説・対立仮説・有意水準は例題4 と同じです。帰無仮説のもとで、B を選ぶ人数が 13 人以上になる相対度数は、表から

80+31+16+3+01000\displaystyle \frac{80 + 31 + 16 + 3 + 0}{1000}=1301000\displaystyle {}= \frac{130}{1000}=0.13\displaystyle {}= 0.13

です。0.130.13>0.05{}> 0.05 なので、帰無仮説は 棄却されない‾\underline{\text{棄却されない}}。したがって、この町の調査からは B のほうが 好まれるとは判断できない‾\underline{\text{好まれるとは判断できない}} となります。

結論の読み方

例題5 の結論は「判断できない」でした。ここで「A と B は同じ程度に好まれることが分かった」と言ってはいけません。

公式6:結論を読むときの注意
  • 帰無仮説が棄却されなかったときは、「帰無仮説が正しい」と分かったのではなく、「対立仮説が正しいとはいえない(判断を保留する)」だけである。
  • 同じ結果でも、有意水準を変えると結論が変わることがある。有意水準は結果を見る前に決める。
  • 帰無仮説を棄却して対立仮説を選んでも、その判断が誤りである可能性は残る。有意水準は、帰無仮説が正しいのに棄却してしまう誤りの確率の目安になっている。

裁判に戻ると、「無罪判決」は「この人は潔白だと証明された」という意味ではなく、「有罪とするだけの証拠がそろわなかった」という意味です。疑わしきは罰せず、でした。仮説検定の「棄却しない」も同じで、証拠が足りなかったことを表しているにすぎません。13 人対 7 人という結果は、B が少し好まれている可能性を消してはいないのです。人数を増やして調べ直せば、棄却できるかもしれません。

「棄却しない」は「帰無仮説が正しい」ではなく「主張を裏づけるには証拠が足りない」という意味であり、有意水準は結果を見る前に決めておくということです。

例題6:有意水準による違い

ある店で、新しいメニュー B と今までのメニュー A のどちらを注文したいかを 30 人に聞いたところ、21 人が B と答えました。コインを 30 回投げて表の回数を数える実験を 1000 セット行った結果は、次のとおりです(表の回数が 18 以下の部分は省略)。

表の回数19202122232425 以上
セット数4633141310

「B のほうが好まれる」といえるかどうかを、有意水準 0.050.05 の場合と 0.010.01 の場合のそれぞれで判断します。

(1) 有意水準 0.050.05 の場合の結論

(2) 有意水準 0.010.01 の場合の結論

上の (1)、(2) をそれぞれ求めなさい。


【解答】

帰無仮説は「A と B は同じ程度に好まれる」です。帰無仮説のもとで、30 人中 21 人以上が B を選ぶ相対度数は

14+1+3+1+01000\displaystyle \frac{14 + 1 + 3 + 1 + 0}{1000}=191000\displaystyle {}= \frac{19}{1000}=0.019\displaystyle {}= 0.019

(1) 0.0190.019≦0.05{}\leqq 0.05 なので帰無仮説は棄却され、B のほうが 好まれるといえる‾\underline{\text{好まれるといえる}}。

(2) 0.0190.019>0.01{}> 0.01 なので帰無仮説は棄却されず、B のほうが 好まれるとは判断できない‾\underline{\text{好まれるとは判断できない}}。

同じデータでも、基準の厳しさによって結論が分かれます。だからこそ、有意水準は調査の前に決めて、結論といっしょに書き添えます。

基礎確認問題(全5問)

まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。

問1

「このコインは裏が出やすい」という主張を仮説検定で調べます。帰無仮説を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

表と裏の出る確率はどちらも 12\dfrac{1}{2} である(偏りはない)

自己採点:
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問2

帰無仮説のもとで、実際の結果と同じかそれより極端な結果が起こる確率が 0.020.02 でした。有意水準を 0.050.05 とするとき、帰無仮説を棄却するかどうかを求めなさい。

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答え

0.020.02≦0.05{}\leqq 0.05 なので 棄却する‾\underline{\text{棄却する}}

自己採点:
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問3

コインを 10 回投げて表の回数を数える実験を 1000 セット行った結果です。

表の回数012345678910計
セット数284992224225236107451021000

表が 2 回以下であった相対度数を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

2+8+491000\dfrac{2 + 8 + 49}{1000}=0.059‾{}= \underline{0.059}

自己採点:
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問4

帰無仮説のもとで、実際の結果と同じかそれより極端な結果が起こる確率が 0.030.03 でした。有意水準を 0.010.01 とするとき、帰無仮説を棄却するかどうかを求めなさい。

答えを見る
答え

0.030.03>0.01{}> 0.01 なので 棄却しない‾\underline{\text{棄却しない}}

自己採点:
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問5

ある仮説検定で、帰無仮説が棄却されませんでした。

(ア) 帰無仮説が正しいことが分かった。

(イ) 対立仮説が正しいとは判断できない。

この結果の述べ方として適切なものを、上の (ア)、(イ) のうちから求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(イ)(棄却されないのは「証拠が足りない」という意味で、帰無仮説が正しいと示されたわけではない)

自己採点:
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実践問題(全20問)

難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。

問1 ★

2 種類のジュース A、B を 10 人に飲み比べてもらったところ、9 人が A をおいしいと答えました。コインを 10 回投げて表の回数を数える実験を 1000 セット行った結果は、次のとおりです。

表の回数012345678910計
セット数284992224225236107451021000

この結果を使い、有意水準 0.050.05 で「A のほうがおいしいと感じられる」といえるかどうかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

相対度数は 0.0120.012 で 0.050.05 以下なので、帰無仮説は棄却され、A のほうがおいしいと感じられるといえる。

解説
  • 対立仮説:A のほうがおいしいと感じられる
  • 帰無仮説:A と B は同じ程度においしいと感じられる(各人が A を選ぶ確率は 12\frac{1}{2})

帰無仮説のもとで、A を選ぶ人数はコインを 10 回投げたときの表の回数と同じように分布すると考えます。9 人以上が A を選ぶ相対度数は

10+21000\displaystyle \frac{10 + 2}{1000}=121000\displaystyle {}= \frac{12}{1000}=0.012\displaystyle {}= 0.012

0.0120.012≦0.05{}\leqq 0.05 なので帰無仮説は棄却されます。よって A のほうが おいしいと感じられる‾\underline{\text{おいしいと感じられる}} といえる‾\underline{\text{といえる}}。

自己採点:
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問2 ★

問1 と同じ飲み比べを別の 10 人に行ったところ、8 人が A をおいしいと答えました。問1 と同じ実験の表(10 回投げて表が 7 回が 107 セット、8 回が 45 セット、9 回が 10 セット、10 回が 2 セット)を使い、有意水準 0.050.05 で「A のほうがおいしいと感じられる」といえるかどうかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

相対度数は 0.0570.057 で 0.050.05 より大きいので、帰無仮説は棄却されず、A のほうがおいしいと感じられるとは判断できない。

解説

帰無仮説は「A と B は同じ程度においしいと感じられる」です。8 人以上が A を選ぶ相対度数は

45+10+21000\displaystyle \frac{45 + 10 + 2}{1000}=571000\displaystyle {}= \frac{57}{1000}=0.057\displaystyle {}= 0.057

0.0570.057>0.05{}> 0.05 なので帰無仮説は棄却されません。よって A のほうが おいしいと感じられる‾\underline{\text{おいしいと感じられる}} とは判断できない‾\underline{\text{とは判断できない}}。

8 人対 2 人は大きな差に見えますが、10 人しか調べていないと、この程度の偏りは 5%5\% を少し超える割合で偶然にも起こります。

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問3 ★

あるお店のくじは「10 本に 1 本の割合で当たり」と書かれています。ある人が「このくじは、表示より当たりにくい」と考え、仮説検定で調べることにしました。対立仮説と帰無仮説をそれぞれ求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

対立仮説:当たりを引く確率は 110\dfrac{1}{10} より小さい。帰無仮説:当たりを引く確率は 110\dfrac{1}{10} である。

解説

示したい主張がそのまま対立仮説です。

  • 対立仮説:当たりを引く確率は 110 より小さい‾\underline{\frac{1}{10} \text{ より小さい}}

帰無仮説は、これに反する「表示どおりで、ずれはない」の形にします。

  • 帰無仮説:当たりを引く確率は 110 である‾\underline{\frac{1}{10} \text{ である}}

「110\frac{1}{10} より大きい」を帰無仮説にしないのは、帰無仮説のもとで確率を計算する必要があるからです。「表示どおり」なら 110\frac{1}{10} という 1 つの値で実験や計算ができます。

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問4 ★

あるコインを 20 回投げたところ、表が 16 回出ました。コインを 20 回投げて表の回数を数える実験を 1000 セット行った結果は、次のとおりです。

表の回数4 以下567891011121314151617 以上計
セット数4184382105161167179111803116301000

この結果を使い、有意水準 0.050.05 で「このコインは表が出やすい」といえるかどうかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

相対度数は 0.0030.003 で 0.050.05 以下なので、帰無仮説は棄却され、このコインは表が出やすいといえる。

解説
  • 対立仮説:このコインは表が出やすい
  • 帰無仮説:表と裏の出る確率はどちらも 12\frac{1}{2} である

帰無仮説のもとで、表が 16 回以上出る相対度数は

3+01000\displaystyle \frac{3 + 0}{1000}=0.003\displaystyle {}= 0.003

0.0030.003≦0.05{}\leqq 0.05 なので帰無仮説は棄却されます。よって このコインは 表が出やすいといえる‾\underline{\text{表が出やすいといえる}}。

自己採点:
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問5 ★

新しい目覚まし時計の音 A と今までの音 B を 15 人に聞き比べてもらったところ、12 人が A のほうが目が覚めると答えました。コインを 15 回投げて表の回数を数える実験を 1000 セット行った結果は、次のとおりです。

表の回数2 以下3456789101112131415計
セット数2114410012319021116010137173101000

この結果を使い、有意水準 0.050.05 で「A のほうが目が覚めると感じられる」といえるかどうかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

相対度数は 0.0210.021 で 0.050.05 以下なので、帰無仮説は棄却され、A のほうが目が覚めると感じられるといえる。

解説

帰無仮説は「A と B は同じ程度に目が覚めると感じられる(各人が A を選ぶ確率は 12\frac{1}{2})」です。12 人以上が A を選ぶ相対度数は

17+3+1+01000\displaystyle \frac{17 + 3 + 1 + 0}{1000}=211000\displaystyle {}= \frac{21}{1000}=0.021\displaystyle {}= 0.021

0.0210.021≦0.05{}\leqq 0.05 なので帰無仮説は棄却されます。よって A のほうが 目が覚めると感じられる‾\underline{\text{目が覚めると感じられる}} といえる‾\underline{\text{といえる}}。

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問6 ★

あるさいころを 30 回投げたところ、1 の目が 10 回出ました。コンピューターで、1 の目が 16\frac{1}{6} の確率で出るさいころを 30 回投げて 1 の目の回数を数える実験を 1000 セット行った結果は、次のとおりです(1 の目が 5 回以下の部分は省略)。

1 の目の回数67891011121314 以上
セット数151109773173110

この結果を使い、有意水準 0.050.05 で「このさいころは 1 の目が出やすい」といえるかどうかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

相対度数は 0.0120.012 で 0.050.05 以下なので、帰無仮説は棄却され、このさいころは 1 の目が出やすいといえる。

解説
  • 対立仮説:このさいころは 1 の目が出やすい
  • 帰無仮説:1 の目が出る確率は 16\frac{1}{6} である

帰無仮説のもとで、1 の目が 10 回以上出る相対度数は

7+3+1+1+01000\displaystyle \frac{7 + 3 + 1 + 1 + 0}{1000}=121000\displaystyle {}= \frac{12}{1000}=0.012\displaystyle {}= 0.012

0.0120.012≦0.05{}\leqq 0.05 なので帰無仮説は棄却されます。よって このさいころは 1 の目が 出やすいといえる‾\underline{\text{出やすいといえる}}。

30 回投げたとき、1 の目は平均して 30×1630 \times \frac{1}{6}=5{}= 5 回くらい出るはずなので、10 回はその 2 倍です。

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問7 ★

3 択のクイズ 20 問に、ある人が 11 問正解しました。1 問ごとにさいころを投げて 1 か 2 の目が出たら正解とする(当てずっぽうで答える)実験を、20 問を 1 セットとして 1000 セット行った結果は、次のとおりです(正解が 7 問以下の部分は省略)。

正解の数89101112131415 以上
セット数13910656316401

この結果を使い、有意水準 0.050.05 で「この人は当てずっぽうで答えたのではない」といえるかどうかを求めなさい。

つまずいたときは:
答えを見る
答え

相対度数は 0.0420.042 で 0.050.05 以下なので、帰無仮説は棄却され、当てずっぽうで答えたのではないといえる。

解説
  • 対立仮説:当てずっぽうで答えたのではない(1 問あたりの正解の確率は 13\frac{1}{3} より大きい)
  • 帰無仮説:当てずっぽうで答えた(1 問あたりの正解の確率は 13\frac{1}{3})

さいころで 1 か 2 の目が出る割合は 26\frac{2}{6}=13{}= \frac{1}{3} なので、この実験は帰無仮説の状況を再現しています。11 問以上正解する相対度数は

31+6+4+0+11000\displaystyle \frac{31 + 6 + 4 + 0 + 1}{1000}=421000\displaystyle {}= \frac{42}{1000}=0.042\displaystyle {}= 0.042

0.0420.042≦0.05{}\leqq 0.05 なので帰無仮説は棄却されます。よって 当てずっぽうで 答えたのではないといえる‾\underline{\text{答えたのではないといえる}}。

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問8 ★

4 択の問題 12 問に、ある人が 6 問正解しました。1 から 4 の数字を書いた 4 枚のカードからよく混ぜて 1 枚引き、1 なら正解とする実験を、12 問を 1 セットとして 1000 セット行った結果は、次のとおりです。

正解の数012345678 以上計
セット数3313423624520299371401000

この結果を使い、有意水準 0.050.05 で「この人は当てずっぽうで答えたのではない」といえるかどうかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

相対度数は 0.0510.051 で 0.050.05 より大きいので、帰無仮説は棄却されず、当てずっぽうではないとは判断できない。

解説

帰無仮説は「当てずっぽうで答えた(1 問あたりの正解の確率は 14\frac{1}{4})」です。6 問以上正解する相対度数は

37+14+01000\displaystyle \frac{37 + 14 + 0}{1000}=511000\displaystyle {}= \frac{51}{1000}=0.051\displaystyle {}= 0.051

0.0510.051>0.05{}> 0.05 なので帰無仮説は棄却されません。よって 当てずっぽうで 答えたのではない‾\underline{\text{答えたのではない}} とは判断できない‾\underline{\text{とは判断できない}}。

ほんのわずかの差で基準を超えていますが、有意水準は前もって決めた線なので、「ほぼ 0.050.05 だから棄却する」と後から緩めてはいけません。

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問9 ★★

新しいパッケージ B と今までのパッケージ A を 20 人に見せ、どちらを買いたいかを聞きます。コインを 20 回投げて表の回数を数える実験を 1000 セット行った結果は、次のとおりです。

表の回数4 以下567891011121314151617 以上計
セット数4184382105161167179111803116301000

この結果を使い、有意水準 0.050.05 で「B のほうが好まれる」と判断されるためには、少なくとも何人が B を選べばよいかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

1414 人

解説

帰無仮説は「A と B は同じ程度に好まれる」です。B を選ぶ人数が kk 人のとき、「kk 人以上」の相対度数が 0.050.05 以下になれば棄却されます。多いほうから順に足していきます。

kk16151413
kk 以上のセット数31950130
相対度数0.0030.0190.0500.130

kk=14{}= 14 のとき相対度数は 0.0500.050 で、0.0500.050≦0.05{}\leqq 0.05 なので棄却されます(「以下」なので等しい場合も含みます)。kk=13{}= 13 では 0.1300.130>0.05{}> 0.05 で棄却されません。

人数が多いほど相対度数は小さくなるので、少なくとも 14 人‾\underline{14 \text{ 人}} が B を選べばよいことになります。

※この結論は 1000 セットの実験による見積もりです。境目にごく近いので、実験をやり直すと結論が変わることもあります(厳密定義 定理3)。

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問10 ★★

新しいメニュー B と今までのメニュー A のどちらを注文したいかを 30 人に聞きます。コインを 30 回投げて表の回数を数える実験を 1000 セット行った結果は、次のとおりです(表の回数が 18 以下の部分は省略)。

表の回数19202122232425 以上
セット数4633141310

この結果を使い、有意水準 0.010.01 で「B のほうが好まれる」と判断されるためには、少なくとも何人が B を選べばよいかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

2222 人

解説

「kk 人以上」の相対度数を、多いほうから順に求めます。

kk2423222120
kk 以上のセット数1451952
相対度数0.0010.0040.0050.0190.052

有意水準 0.010.01 以下になるのは kk≧22{}\geqq 22 のときです(kk=21{}= 21 では 0.0190.019>0.01{}> 0.01)。よって少なくとも 22 人‾\underline{22 \text{ 人}} です。

有意水準 0.050.05 なら 21 人で足ります(解説の例題6)。基準を厳しくすると、より大きな差が必要になります。

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問11 ★★

ある町で、案 A と案 B のどちらがよいかを 15 人に聞いたところ、A を選んだのは 3 人だけでした。コインを 15 回投げて表の回数を数える実験を 1000 セット行った結果は、次のとおりです。

表の回数012345678 以上計
セット数00211441001231905301000

表の回数を A を選んだ人数とみなし、有意水準 0.050.05 で「A は B より選ばれにくい」といえるかどうかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

相対度数は 0.0130.013 で 0.050.05 以下なので、帰無仮説は棄却され、A は B より選ばれにくいといえる。

解説
  • 対立仮説:A は B より選ばれにくい(各人が A を選ぶ確率は 12\frac{1}{2} より小さい)
  • 帰無仮説:A と B は同じ程度に選ばれる(各人が A を選ぶ確率は 12\frac{1}{2})

今回は「A を選ぶ人が少ない」ほど対立仮説に有利なので、「3 人以下」の相対度数を求めます。

0+0+2+111000\displaystyle \frac{0 + 0 + 2 + 11}{1000}=131000\displaystyle {}= \frac{13}{1000}=0.013\displaystyle {}= 0.013

0.0130.013≦0.05{}\leqq 0.05 なので帰無仮説は棄却されます。よって A は B より 選ばれにくいといえる‾\underline{\text{選ばれにくいといえる}}。

「以上」を足すか「以下」を足すかは、どちらが対立仮説に有利かで決まります。

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問12 ★★

あるさいころを 30 回投げたところ、1 の目が 9 回出ました。問6 と同じ実験の表を使います。

1 の目の回数67891011121314 以上
セット数151109773173110

(1) 有意水準 0.050.05 の場合の結論

(2) 有意水準 0.010.01 の場合の結論

「このさいころは 1 の目が出やすい」といえるかどうかについて、上の (1)、(2) をそれぞれ求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 相対度数 0.0430.043≦0.05{}\leqq 0.05 なので、1 の目が出やすいといえる。(2) 0.0430.043>0.01{}> 0.01 なので、1 の目が出やすいとは判断できない。

解説

帰無仮説は「1 の目が出る確率は 16\frac{1}{6} である」です。1 の目が 9 回以上出る相対度数は

31+7+3+1+1+01000\displaystyle \frac{31 + 7 + 3 + 1 + 1 + 0}{1000}=431000\displaystyle {}= \frac{43}{1000}=0.043\displaystyle {}= 0.043

(1) 0.0430.043≦0.05{}\leqq 0.05 なので帰無仮説は棄却され、1 の目が 出やすいといえる‾\underline{\text{出やすいといえる}}。

(2) 0.0430.043>0.01{}> 0.01 なので帰無仮説は棄却されず、1 の目が 出やすいとは判断できない‾\underline{\text{出やすいとは判断できない}}。

※この結論は 1000 セットの実験による見積もりです。境目にごく近いので、実験をやり直すと結論が変わることもあります(厳密定義 定理3)。

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問13 ★★

ある学校で「新しい単語カードを使うと、小テストの点が上がる」かどうかを、有意水準 0.050.05 の仮説検定で調べました。次の (ア)〜(エ) は、その進め方や結論の述べ方です。

(ア) 帰無仮説を「単語カードを使っても点は変わらない」とした。

(イ) 確率が 0.120.12 となり棄却されなかったので、「単語カードには効果がないことが証明された」と報告した。

(ウ) 確率が 0.070.07 となったので、有意水準を 0.100.10 に変えて棄却し、「効果がある」と報告した。

(エ) 確率が 0.020.02 となり棄却されたので、「効果があると判断したが、この判断が誤りである可能性もある」と報告した。

上の (ア)〜(エ) のうち、適切でないものをすべて求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(イ)、(ウ)

解説

(ア) 示したい主張「点が上がる」に反する「変わらない」を帰無仮説にしているので、適切です。

(イ) 棄却されないのは「効果があるといえるほどの証拠がなかった」という意味で、効果がないことを示したわけではありません。適切でない。

(ウ) 結果を見てから有意水準を緩めると、望む結論に合わせて基準を動かせてしまいます。有意水準は調べる前に決めるものなので、適切でない。

(エ) 棄却して対立仮説を選んでも、たまたま珍しいことが起こっただけという可能性は残ります。その注意を添えているので適切です。

よって (イ)、(ウ)‾\underline{(イ)、(ウ)} です。

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問14 ★★

3 択のクイズ 20 問で、「当てずっぽうで答えたのではない」と有意水準 0.050.05 で判断される正解数を調べます。問7 と同じ実験の表を使います。

正解の数89101112131415 以上
セット数13910656316401

そう判断されるためには、少なくとも何問正解すればよいかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

1111 問

解説

帰無仮説は「当てずっぽうで答えた(正解の確率は 13\frac{1}{3})」です。「kk 問以上」の相対度数を多いほうから求めます。

kk13121110
kk 以上のセット数5114298
相対度数0.0050.0110.0420.098

kk=11{}= 11 で 0.0420.042≦0.05{}\leqq 0.05、kk=10{}= 10 で 0.0980.098>0.05{}> 0.05 です。よって少なくとも 11 問‾\underline{11 \text{ 問}} です。

当てずっぽうでも平均して 20×1320 \times \frac{1}{3}≒6.7{}\fallingdotseq 6.7 問は正解するので、その 1.5 倍以上を取ってはじめて「実力」と認められることになります。

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問15 ★★

あるコインを 5 回投げたところ、5 回とも表が出ました。コインに偏りがないとき、5 回の表裏の出方は全部で 252^5=32{}= 32 通りあり、どれも同じ程度に起こると考えられます。このことを使い、有意水準 0.050.05 で「このコインは表が出やすい」といえるかどうかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

確率は 132\dfrac{1}{32}=0.03125{}= 0.03125 で 0.050.05 以下なので、帰無仮説は棄却され、このコインは表が出やすいといえる。

解説
  • 対立仮説:このコインは表が出やすい
  • 帰無仮説:表と裏の出る確率はどちらも 12\frac{1}{2} である

「5 回とも表」より表が多い結果はないので、5 回とも表になる確率だけを考えます。32 通りの出方のうち、5 回とも表は 1 通りなので

132\displaystyle \frac{1}{32}=0.03125\displaystyle {}= 0.03125

0.031250.03125≦0.05{}\leqq 0.05 なので帰無仮説は棄却されます。よって このコインは 表が出やすいといえる‾\underline{\text{表が出やすいといえる}}。

このように、出方をすべて数えられるときは、実験をしなくても確率を求められます。

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問16 ★★

あるコインを 10 回投げたところ、表は 1 回しか出ませんでした。問1 と同じ実験の表を使います。

表の回数012345678910計
セット数284992224225236107451021000

この結果を使い、有意水準 0.010.01 で「このコインは表が出にくい」といえるかどうかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

相対度数は 0.0100.010 で 0.010.01 以下なので、帰無仮説は棄却され、このコインは表が出にくいといえる。

解説

表が少ないほど「表が出にくい」に有利なので、「表が 1 回以下」の相対度数を求めます。

2+81000\displaystyle \frac{2 + 8}{1000}=101000\displaystyle {}= \frac{10}{1000}=0.010\displaystyle {}= 0.010

0.0100.010≦0.01{}\leqq 0.01 なので、帰無仮説「表と裏の出る確率はどちらも 12\frac{1}{2}」は棄却されます。よって このコインは 表が出にくいといえる‾\underline{\text{表が出にくいといえる}}。

ちょうど基準と等しい場合も、「以下」なので棄却するほうに入ります。

※この結論は 1000 セットの実験による見積もりです。境目にごく近いので、実験をやり直すと結論が変わることもあります(厳密定義 定理3)。

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問17 ★★★

新しい商品 B と今までの商品 A のどちらがよいかを調べます。調査 1 では 10 人中 7 人が、調査 2 では 30 人中 21 人が B を選びました。どちらも B を選んだ割合は 70%70\% です。実験の結果は次のとおりです。

コインを 10 回投げる実験(1000 セット)

表の回数6 以下78910計
セット数836107451021000

コインを 30 回投げる実験(1000 セット)

表の回数20 以下2122232425 以上計
セット数9811413101000

(1) 調査 1 の結論

(2) 調査 2 の結論

有意水準 0.050.05 で「B のほうが好まれる」といえるかどうかについて、上の (1)、(2) をそれぞれ求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 相対度数 0.1640.164>0.05{}> 0.05 なので、B のほうが好まれるとは判断できない。(2) 相対度数 0.0190.019≦0.05{}\leqq 0.05 なので、B のほうが好まれるといえる。

解説

どちらも帰無仮説は「A と B は同じ程度に好まれる」です。

(1) 10 人中 7 人以上が B を選ぶ相対度数は

107+45+10+21000\displaystyle \frac{107 + 45 + 10 + 2}{1000}=1641000\displaystyle {}= \frac{164}{1000}=0.164\displaystyle {}= 0.164

0.1640.164>0.05{}> 0.05 なので棄却されず、B のほうが 好まれるとは判断できない‾\underline{\text{好まれるとは判断できない}}。

(2) 30 人中 21 人以上が B を選ぶ相対度数は

14+1+3+1+01000\displaystyle \frac{14 + 1 + 3 + 1 + 0}{1000}=191000\displaystyle {}= \frac{19}{1000}=0.019\displaystyle {}= 0.019

0.0190.019≦0.05{}\leqq 0.05 なので棄却され、B のほうが 好まれるといえる‾\underline{\text{好まれるといえる}}。

同じ 70%70\% でも、調べた人数が多いほど「たまたま」では説明しにくくなります。人数が少ないうちの「棄却しない」は、証拠が足りないだけのことが多いのです。

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問18 ★★★

あるコインを nn 回投げて、nn 回とも表が出たら「このコインは表が出やすい」と判断することにします。コインに偏りがないとき、nn 回の表裏の出方は 2n2^n 通りあり、どれも同じ程度に起こると考えます。

(1) 有意水準 0.050.05 で判断できる最小の nn

(2) 有意水準 0.010.01 で判断できる最小の nn

上の (1)、(2) の値をそれぞれ求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) nn=5{}= 5 (2) nn=7{}= 7

解説

帰無仮説「表と裏の出る確率はどちらも 12\frac{1}{2}」のもとで、nn 回とも表になる確率は 12n\dfrac{1}{2^n} です。「nn 回とも表」より極端な結果はないので、この確率を有意水準と比べます。

nn4567
2n2^n163264128
12n\frac{1}{2^n}0.06250.031250.0156250.0078125

(1) 12n\dfrac{1}{2^n}≦0.05{}\leqq 0.05、つまり 2n2^n≧20{}\geqq 20 となる最小の nn です。242^4=16{}= 16<20{}< 20、252^5=32{}= 32≧20{}\geqq 20 なので n=5‾\underline{n = 5}。

(2) 12n\dfrac{1}{2^n}≦0.01{}\leqq 0.01、つまり 2n2^n≧100{}\geqq 100 となる最小の nn です。262^6=64{}= 64<100{}< 100、272^7=128{}= 128≧100{}\geqq 100 なので n=7‾\underline{n = 7}。

厳しい基準で判断するには、それだけ多くの証拠(回数)が必要になることが分かります。

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問19 ★★★

ある研究者が、実は効き目がまったくない 20 種類のサプリメントについて、それぞれ別々に「このサプリメントには効き目がある」かどうかを、有意水準 0.050.05 の仮説検定で調べました。どの検定でも、帰無仮説が正しいときに誤って棄却してしまう割合は 0.050.05 であるとします。

誤って「効き目がある」と判断されてしまうサプリメントは、平均しておよそ何種類になるかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

およそ 11 種類

解説

どのサプリメントも本当は効き目がないので、帰無仮説「効き目はない」はすべて正しい状況です。それでも 1 つの検定につき 0.050.05 の割合で、たまたま珍しい結果が出て帰無仮説が棄却されてしまいます。

20 種類調べると、誤って棄却されるのは平均して

20×0.05\displaystyle 20 \times 0.05=1\displaystyle {}= 1

より およそ 1 種類‾\underline{\text{およそ 1 種類}} です。

たくさんの検定を行い、棄却されたものだけを「効き目が見つかった」と発表すると、実際には偶然の結果を報告してしまうおそれがあります。調べた数と結果をすべて示すことが大切です。

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問20 ★★★

あるコインを 20 回投げたところ、表が 15 回出ました。今回は「表が出やすい」ではなく「このコインは表と裏の出やすさが違う(どちらかに偏っている)」といえるかどうかを調べます。問4 と同じ実験の表を使います。

表の回数4 以下567891011121314151617 以上計
セット数4184382105161167179111803116301000

この結果を使い、有意水準 0.050.05 で「表と裏の出やすさが違う」といえるかどうかを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

表が 15 回以上または 5 回以下となる相対度数は 0.0410.041 で 0.050.05 以下なので、帰無仮説は棄却され、表と裏の出やすさが違うといえる。

解説
  • 対立仮説:表と裏の出やすさが違う(表に偏っていても、裏に偏っていてもよい)
  • 帰無仮説:表と裏の出る確率はどちらも 12\frac{1}{2} である

帰無仮説どおりなら、表は 10 回くらい出るはずです。今回は 10 回から 5 回ずれています。対立仮説は向きを問わないので、「表が 5 回以上多い」だけでなく「表が 5 回以上少ない」も、今回と同じかそれより極端な結果になります。つまり、表が 15 回以上または 5 回以下の場合を合わせて考えます。

15 回以上:16+3+01000\displaystyle \text{15 回以上}:\frac{16 + 3 + 0}{1000}=0.019,\displaystyle {}= 0.019,5 回以下:4+181000\displaystyle \text{5 回以下}:\frac{4 + 18}{1000}=0.022\displaystyle {}= 0.022

合わせて

0.019\displaystyle 0.019+0.022\displaystyle {}+ 0.022=0.041\displaystyle {}= 0.041

0.0410.041≦0.05{}\leqq 0.05 なので帰無仮説は棄却されます。よって 表と裏の出やすさが 違うといえる‾\underline{\text{違うといえる}}。

「表が出やすい」を調べるとき(片側)は 0.0190.019 だけでしたが、向きを問わない主張(両側)では、反対側の端も数えるので確率が大きくなり、棄却されにくくなります。

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数学小話コーナー

ミルクが先か、紅茶が先か

1920 年代のイギリス、ロンドンの北にあるロザムステッド農業試験場での話です。午後のお茶の時間に、ある女性が「ミルクを先に入れた紅茶と、紅茶を先に入れた紅茶は、飲めば区別できる」と言い出しました。女性は藻類の研究者ミュリエル・ブリストル。その場にいたのが、統計学者のロナルド・フィッシャーでした。

周りの人は「混ざってしまえば同じだ」と笑いましたが、フィッシャーは本気で確かめ方を考えました。のちに 1935 年の著書『実験計画法』で、彼は次のような試し方を紹介しています。ミルクが先のカップを 4 杯、紅茶が先のカップを 4 杯、合わせて 8 杯を順番をでたらめにして出し、どれがミルク先の 4 杯かを当ててもらう。

8 杯から 4 杯を選ぶ選び方は 70 通りあるので、何も分からずに当てずっぽうで選んで全部当たるのは 70 回に 1 回、およそ 1.4%1.4\% です。「区別できない」という帰無仮説のもとでは、全問正解はかなり珍しいことになります。この「区別できない、と仮定して珍しさを測る」考え方が、この章で学んだ仮説検定そのものです。

実際にブリストルが何杯当てたのか、フィッシャーは本に書いていません。その場にいた人の話として「全部当てた」と伝わっています(※諸説あり)。

豆知識

有意水準によく使われる 5%5\% は、フィッシャーが 1925 年の著書『研究者のための統計的方法』で、「20 回に 1 回」を目安にすると便利だと書いたことから広まりました。自然界の決まりから導かれた数ではなく、あくまで使いやすい目安として選ばれた数なのです。

82 年連続で男の子が多かった

1710 年、イギリスの医師ジョン・アーバスノットは、ロンドンの教会に残る洗礼の記録を調べました。1629 年から 1710 年までの 82 年分です。すると、毎年毎年、洗礼を受けた男の子の数が女の子の数を上回っていました。一度の例外もありません。

アーバスノットはこう考えました。もし男の子と女の子が生まれる見込みが五分五分なら、ある年に男の子のほうが多くなるのは、コインで表が出るようなものだ。それが 82 年続けて起こる確率は (12)82\left(\frac{1}{2}\right)^{82} で、00 が小数点の後に 24 個も並ぶほど小さい。だから、五分五分という仮定は捨てるべきだ、と。

これは「帰無仮説を立て、そのもとで結果の確率を求め、とても小さいので棄却する」という流れそのもので、記録に残るいちばん古い仮説検定の一つとされています。もっとも、アーバスノット自身の結論は「男の子が多いのは神の摂理(せつり)の表れだ」というもので、論文の題名にもそう書かれていました。検定の手順は今と同じでも、結論の読み方は時代によって違ったわけです。

豆知識

男の子がやや多く生まれる傾向は今も同じで、日本でも生まれてくる子の男女比は、女の子 100 人に対して男の子がおよそ 105 人です。

全部当てたタコ

2010 年のサッカーのワールドカップ南アフリカ大会で、ドイツの水族館にいたタコの「パウル」が世界中で話題になりました。2 つの箱にそれぞれの国の国旗を貼り、パウルが先に入ったほうの国を「勝つ」と予想させたところ、ドイツ代表の 7 試合と決勝戦、合わせて 8 試合の勝敗をすべて当てたのです。

でたらめに選んで 8 試合すべて当たる確率は (12)8\left(\frac{1}{2}\right)^8=1256{}= \frac{1}{256} で、0.4%0.4\% ほどです。有意水準 1%1\% でも「でたらめではない」と判断できてしまいます。では、パウルには本当に予知の力があったのでしょうか。

ここで思い出したいのが、実践 問19 の話です。世界には、試合を予想させられた動物がほかにもたくさんいました。そのうちの 1 匹が偶然すべて当てれば、その 1 匹だけが有名になり、外れた動物たちは話題にもなりません。たくさん試して、当たったものだけを取り上げると、「珍しいこと」は案外かんたんに作れてしまいます。実際、パウルは 2008 年の欧州選手権では 6 試合中 4 試合しか当てていませんでした。

豆知識

2016 年、アメリカ統計学会は「p値(この章でいう、帰無仮説のもとでその結果以上に極端なことが起こる確率)」の使い方について異例の声明を出しました。「p値は仮説が正しい確率ではない」「p値が 0.050.05 を下回ったかどうかだけで結論を決めてはいけない」といった注意が並んでいます。検定の結果は、調べ方や調べた数といっしょに読むものだということです。

厳密定義(発展)

※ここは発展ページです。高校の範囲では「帰無仮説を立て、実験の相対度数で確率を見積もり、有意水準と比べる」流れが分かれば十分ですが、「棄却の線はどう決まるの?」「判断を間違える確率は?」「実験の表はどこまで信用できるの?」が気になる人のために、少し厳密な見方を紹介します。確率の言葉は中学で学んだ範囲で使い、くわしくは数学B(第6章以降)で扱います。

定義1:検定統計量・棄却域・有意水準

帰無仮説を H0H_0、対立仮説を H1H_1 と書く。データから計算され、H0H_0 と H1H_1 のどちらに有利かを表す量 TT を検定統計量という。

有意水準 α\alpha(00<α{}< \alpha<1{}< 1)を決め、H0H_0 のもとで

P(T∈R)\displaystyle P(T \in R)≦α\displaystyle {}\leqq \alpha

となる値の範囲 RR を定める。実際に得られた TT の値が RR に入れば H0H_0 を棄却する。この RR を棄却域という。

HH は仮説(hypothesis)の頭文字です。P(⋯ )P(\cdots) は「⋯\cdots となる確率」を表します。解説のパッケージの例では、TT は「20 人のうち B を選んだ人数」、H1H_1 は「B のほうが好まれる」なので、棄却域は RR={c,c+1,…,20}{}= \{c, c+1, \ldots, 20\} という「大きいほうの端」の形になります。

定義2:p値

実際に得られた検定統計量の値を tt とする。TT が大きいほど H1H_1 に有利な場合、H0H_0 のもとでの確率

p\displaystyle p=P(T≧t)\displaystyle {}= P(T \geqq t)

をp値(ピーち)という。TT が小さいほど H1H_1 に有利な場合は pp=P(T≦t){}= P(T \leqq t) とする。

本文で「実際の結果と同じか、それよりも対立仮説に有利な結果が起こる確率」と呼んでいたものが、p値です。

定理1:p値による判断と棄却域による判断は一致する

TT が大きいほど H1H_1 に有利であり、TT は整数の値をとるとする。有意水準 α\alpha に対して、P(T≧c)P(T \geqq c)≦α{}\leqq \alpha を満たす最小の整数 cc をとり、棄却域を RR={T≧c}{}= \{T \geqq c\} とする。このとき、実際の値 tt について

t\displaystyle t∈R\displaystyle {}\in R  ⟺  p\displaystyle {}\iff p=P(T≧t)\displaystyle {}= P(T \geqq t)≦α\displaystyle {}\leqq \alpha

が成り立つ。

証明 kk が大きくなるほど {T≧k}\{T \geqq k\} に含まれる場合は減るので、P(T≧k)P(T \geqq k) は kk について増えない(大きくならない)。

(⇒\Rightarrow) tt≧c{}\geqq c なら、P(T≧t)P(T \geqq t)≦P(T≧c){}\leqq P(T \geqq c)≦α{}\leqq \alpha。

(⇐\Leftarrow) P(T≧t)P(T \geqq t)≦α{}\leqq \alpha なら、tt は「P(T≧k)P(T \geqq k)≦α{}\leqq \alpha を満たす整数 kk」の 1 つである。cc はそのような整数の最小のものなので tt≧c{}\geqq c、すなわち tt∈R{}\in R。■\blacksquare

実践 問9・問10・問14 で「少なくとも何人」を求めたのは、この cc を求める作業でした。

定義3:2 種類の誤り

仮説検定の判断には、次の 2 種類の誤りがありうる。

H0H_0 が正しいH0H_0 が正しくない
H0H_0 を棄却する第1種の誤り正しい判断
H0H_0 を棄却しない正しい判断第2種の誤り

第1種の誤りは「本当は差がないのに、差があると判断する」誤り(あわて者の誤り)、第2種の誤りは「本当は差があるのに、見逃す」誤り(ぼんやり者の誤り)である。

解説の火災報知器でいえば、魚を焼いただけで鳴るのが第1種の誤り、本物の火事で鳴らないのが第2種の誤りです。

定理2:第1種の誤りの確率は有意水準以下

定理1 の棄却域 RR={T≧c}{}= \{T \geqq c\} を使うとき、H0H_0 が正しいのに H0H_0 を棄却してしまう確率は α\alpha 以下である。

証明 H0H_0 が正しいとき、棄却するのは TT≧c{}\geqq c となる場合だけなので、その確率は P(T≧c)P(T \geqq c) である。cc の決め方より P(T≧c)P(T \geqq c)≦α{}\leqq \alpha。■\blacksquare

TT が整数の値しかとらないときは、P(T≧c)P(T \geqq c) がちょうど α\alpha になるとは限りません。たとえば偏りのないコインを 20 回投げるとき、本当の確率は P(T≧15)P(T \geqq 15)≒0.021{}\fallingdotseq 0.021、P(T≧14)P(T \geqq 14)≒0.058{}\fallingdotseq 0.058 なので、α\alpha=0.05{}= 0.05 でも第1種の誤りの確率は約 0.0210.021 になります。

一方、第2種の誤りの確率は、H1H_1 が「どれくらい」正しいか(たとえば B を選ぶ確率が 0.60.6 なのか 0.90.9 なのか)によって変わるので、1 つの数には決まりません。有意水準を小さくして第1種の誤りを減らすと、棄却域がせまくなり、第2種の誤りは増えます。この 2 つを同時に減らすには、実践 問17 のように調べる数を増やすしかありません。

定理3:実験による見積もりの限界

本文の表は、コインなどの実験を 1000 セット行った相対度数であり、本当の確率とは一般に一致しない。本当の確率と比べると、たとえば次のようになる(本当の確率は数学Aで学ぶ組合せを使って計算した値)。

場面実験の相対度数本当の確率
コイン 20 回で表が 15 回以上(例題4)0.0190.0190.02070.0207
コイン 20 回で表が 14 回以上(問9)0.0500.0500.05770.0577
さいころ 30 回で 1 の目が 9 回以上(問12)0.0430.0430.05060.0506
コイン 10 回で表が 1 回以下(問16)0.0100.0100.01070.0107

p値が有意水準から十分離れていれば、実験でも本当の確率でも結論は同じになる。しかし p値が有意水準にごく近いときは、見積もり方によって結論が入れかわることがある。

上の表の問9・問12・問16 は、まさにその例です。実験の表を使えばどれも棄却されますが、本当の確率では 0.05770.0577>0.05{}> 0.05、0.05060.0506>0.05{}> 0.05、0.01070.0107>0.01{}> 0.01 となり、棄却されません。実験のセット数を増やすほど相対度数は本当の確率に近づくと考えられますが、境目ぎりぎりの判断には、実験ではなく確率の計算が必要です。数学B では、二項分布(第7章)を使ってこれを正確に求めます。

片側検定と両側検定

実践 問20 では、「表と裏の出やすさが違う」という向きを問わない主張を調べるため、両端の確率を足しました。

定義4:片側検定と両側検定

対立仮説が「B を選ぶ確率は 12\frac{1}{2} より大きい」のように一方の向きだけを考えるとき、棄却域を一方の端だけにとる検定を片側検定という。

対立仮説が「B を選ぶ確率は 12\frac{1}{2} ではない」のように両方の向きを考えるとき、棄却域を両方の端にとる検定を両側検定という。

50 100 150 200 セット数 4以下 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17以上 表の回数 両端の合計:41セット

偏りのないコインでは、表の回数 TT と裏の回数 2020−T{}- T は同じように分布するので、P(T≧15)P(T \geqq 15)=P(T≦5){}= P(T \leqq 5) です。したがって両側検定の p値は片側の 2 倍になり、本当の確率では 2×0.02072 \times 0.0207=0.0414{}= 0.0414 となります(実験では 0.0190.019+0.022{}+ 0.022=0.041{}= 0.041 でした)。

どちらの検定を使うかは、データを見る前に対立仮説から決めます。「表が多かったから片側にしよう」と結果を見てから決めると、p値を半分にするずるい操作になってしまいます。

多重検定の落とし穴

実践 問19 では、効き目のない 20 種類を調べると、平均して 1 種類が誤って「効き目あり」になることを見ました。「少なくとも 1 つが誤って棄却される確率」も考えてみます。

定理4:検定をくり返すと誤りが起こりやすくなる

たがいに影響し合わない mm 個の検定を、どれも有意水準 α\alpha で行う。すべての帰無仮説が正しく、各検定で誤って棄却する確率がちょうど α\alpha のとき、少なくとも 1 つを誤って棄却する確率は

1\displaystyle 1−(1−α)m\displaystyle {}- (1 - \alpha)^m

である。α\alpha=0.05{}= 0.05,mm=20{}= 20 のとき、この値は約 0.640.64 になる。

証明 1 つの検定で誤って棄却しない確率は 11−α{}- \alpha である。影響し合わない試行では、それぞれが起こる確率の積が「すべて起こる」確率になる(数学A で学ぶ独立な試行の性質)。よって、mm 個すべてで誤って棄却しない確率は (1−α)m(1 - \alpha)^m であり、その残りが「少なくとも 1 つで誤る」確率である。0.95200.95^{20}≒0.358{}\fallingdotseq 0.358 より、11−0.358{}- 0.358=0.642{}= 0.642。■\blacksquare

20 回検定すれば、6 割を超える確率でどれかが「当たり」に見えてしまいます。これを防ぐ簡単な方法の一つが、有意水準を検定の数で割って αm\frac{\alpha}{m} にするやり方で、ボンフェローニ補正と呼ばれます。mm=20{}= 20 なら、1 つ 1 つの検定を有意水準 0.00250.0025 で行うことになります。

数学B への橋渡し

この章では確率を実験で見積もりましたが、数学B では次の道具で正確に求めます。

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