問1
5 個のデータ の範囲を求めなさい。
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(最大値 − 最小値 )
目次 / データの分析と統計 / 数学I
—— データの「散らばり」を5つの数で描く ——
第1章の代表値は、データの「真ん中あたり」を1つの数で表すものでした。この章では、もう1つの大事な見方である「散らばり」を学びます。範囲・四分位数・四分位範囲を求め、それらを1本の図にまとめた箱ひげ図をかきます。箱ひげ図が読めるようになると、いくつもの集団をひと目で比べたり、ほかから極端に離れた外れ値を見つけたりできるようになります。
第1章では、データ全体を1つの数で表す代表値を学びました。けれども、代表値が同じだからといって、データの様子まで同じとは限りません。平均点が同じ 2 つのクラスでも、全員が似た点をとったクラスと、満点の人と 0 点の人が混ざったクラスとでは、中身がまるで違います。そこで、値がどれくらい広がっているか(散らばり)を表す数を考えます。
データの最大値と最小値の差を範囲という。
範囲が大きいほど、データは広く散らばっている。
範囲は、いちばん大きい値といちばん小さい値の 2 つだけで決まります。計算はとても簡単ですが、そのぶん、端の値が 1 つ極端なだけで大きく変わってしまうという弱点があります。
天気予報で「今日は寒暖差が 15 度あります」と聞けば、一日の中で気温が大きく動いたことは分かります。ただ、夜明け前のほんの一瞬だけぐっと冷え込んだのか、一日中めまぐるしく上下したのかまでは分かりません。寒暖差は最高気温と最低気温しか見ていないからです。範囲も同じで、両端の 2 つの値のほかは何も見ていません。
範囲は最大値から最小値を引いた値で、データの広がりを両端の 2 つの値だけで表したものだということです。
A さんと B さんが、ボウリングを 5 ゲームずつ行いました。スコアは次のとおりです。
(1) A、B それぞれのスコアの平均値と範囲を求めなさい。
(2) A の 5 ゲーム目のスコアが ではなく だったとすると、A のスコアの範囲はいくつになるか求めなさい。
【解答】
(1) 平均値は、A が 、B も で、どちらも です。範囲は
平均値は同じでも、B のほうがゲームごとのスコアの上下がずっと大きいことが、範囲に表れています。
(2) 最大値が になるので、範囲は です。5 ゲームのうち 1 ゲームが変わっただけで、範囲は 倍にふくらみました。
範囲の弱点は、両端の値にふり回されることでした。そこで、両端ではなく、データを小さい順に並べて4 等分する位置に目を向けます。
データを値の小さい順に並べ、中央値を境に前半の下位のデータと、後半の上位のデータに分ける。データの大きさが奇数のときは、中央値そのものはどちらにも入れない。
という。,, をまとめて四分位数という。
やっていることは、「中央値を 3 回求める」ことです。まず全体の中央値で 2 つに分け、それぞれの半分でもう一度中央値をとります。こうしてできた 3 つの区切りで、データはおよそ 4 分の 1 ずつの 4 つのグループに分かれます。 は、英語で四分位数を表す quartile の頭文字です。
いちばん多いミスは、データの個数が奇数のときに、真ん中の値まで下位や上位に入れてしまうことです。9 個なら、5 番目の値を外して、前の 4 個と後ろの 4 個に分けます。
体育の時間、クラス全員が背の順に 1 列に並んでいるとします。先生が「同じ人数ずつ 4 つの班に分かれよう」と言うと、班と班の境目が 3 か所できます。この境目の身長が四分位数です。列の真ん中で前後に分け(ここが中央値)、前の半分と後ろの半分をそれぞれもう一度真ん中で分ければ、4 つの班ができあがります。
四分位数は、小さい順に並べたデータを 4 等分する 3 つの区切りの値で、中央値で 2 つに分けてから、それぞれの半分の中央値をとれば求められるということです。
(1) 9 人の反復横とびの回数のデータ の四分位数を求めなさい。
(2) 8 人の漢字テスト(20 点満点)の得点のデータ の四分位数を求めなさい。
【解答】
(1) 小さい順に並べます。個数が で奇数なので、5 番目の値 が中央値で、これを外して前後 4 個ずつに分けます。
(2) 小さい順に並べると、個数が で偶数なので、ちょうど 4 個ずつに分かれます。
四分位範囲は、データの真ん中に集まったおよそ半分の値が、どれだけの幅に散らばっているかを表す。四分位範囲を で割った値 を四分位偏差ということもある。
変量 を と変換すると、 の範囲と四分位範囲は、それぞれ の範囲と四分位範囲の 倍になる( には影響されない)。
四分位範囲は、下のほうの約 4 分の 1 と上のほうの約 4 分の 1 を思い切って切り捨て、残った真ん中の半分の広がりだけを測ります。端に極端な値があっても、その値は切り捨てた部分に入るので、四分位範囲はほとんど動きません。
変換のほうは、 を足すとデータ全体が平行移動するだけなので、幅は変わりません。 倍すると、値どうしの間隔がすべて 倍になります。 なら四分位数もそのまま ,, に移ります。 のときは大小が逆転するので、 の第1四分位数は の第3四分位数から として求めます(くわしくは厳密定義のページ)。
体操などの採点競技には、何人かの審判がつけた点のうち、いちばん高い点といちばん低い点を捨て、残りの点で評価する方式があります。1 人の審判がとびぬけて甘い点や辛い点をつけても、結果がふり回されないようにする工夫です。四分位範囲の考え方もこれに似ていて、上と下の端を捨て、真ん中の半分だけで散らばりを判断します。
四分位範囲は第3四分位数から第1四分位数を引いた値で、端の値にふり回されずに、真ん中の半分の散らばりを表すということです。
9 人がけん玉の技を連続で成功させた回数は、次のとおりでした。
(1) このデータの範囲と四分位範囲を求めなさい。
(2) 回の人の記録が 回だったとすると、範囲と四分位範囲はそれぞれいくつになるか求めなさい。
【解答】
(1) 範囲は 回です。
すでに小さい順に並んでいます。中央値は 5 番目の で、下位のデータは 、上位のデータは です。
よって、四分位範囲は 回です。
(2) 範囲は 回です。上位のデータは となりますが、その中央値は のままで、 も変わらないので、四分位範囲は 回のままです。
1 人の記録が変わっただけで、範囲は 回から 回へと大きく動きましたが、四分位範囲はまったく動きませんでした。
四分位数が求められたら、それを図にしてみましょう。
最小値・第1四分位数・中央値・第3四分位数・最大値の 5 つの値を、1 本の数直線の上に次のように表した図を箱ひげ図という。
箱の長さが四分位範囲、ひげの端から端までの長さが範囲になる。平均値を「+」などの記号で書き加えることもある。
箱ひげ図は、5 つの値さえ分かればかけます。この 5 つの値をまとめて「5 数要約」と呼ぶこともあります。横向きにかいても、縦向きにかいてもかまいません。
各駅停車はすべての駅に止まりますが、快速電車は主な駅にしか止まりません。それでも、快速の停車駅を見れば、路線の始まりから終わりまでの様子はおおよそつかめます。データの値を 1 つ残らず並べるのが各駅停車なら、箱ひげ図は 5 つの主な駅にだけ止まる快速です。細かい値は省くかわりに、全体の広がりと真ん中の位置がひと目で分かります。
箱ひげ図は、最小値・四分位数・最大値の 5 つの値でデータの広がりを表した図で、箱の長さが四分位範囲、全体の長さが範囲になっているということです。
例題2 (1) の 9 人の反復横とびの回数のデータについて、箱ひげ図をかきなさい。
【解答】
例題2 (1) で求めた値と、最小値・最大値を並べると、5 つの値は次のとおりです。
| 最小値 | 第1四分位数 | 中央値 | 第3四分位数 | 最大値 |
|---|---|---|---|---|
| 38 | 41 | 47 | 51 | 55 |
数直線の上に、 から まで箱をかき、 の位置に線を入れます。箱の左端から まで、右端から までひげを引けば完成です(下の図)。
箱の長さは四分位範囲 回、ひげの端から端までは範囲 回を表しています。
「およそ」と書いたのは、データの個数が 4 で割り切れないと、ぴったり 4 分の 1 ずつにはならないからです。人数を正確に考えたいときは、四分位数が「何番目の値か」に戻ります。たとえば例題2 (1) の 9 人では、 は 2 番目と 3 番目の値の平均なので、41 回以下の人は 2 人です。
同じ人数を、長さの違うベンチに座らせるところを想像してください。長いベンチならゆったり座れますが、短いベンチではぎゅうぎゅう詰めになります。箱ひげ図の 4 つの区間は、どれも同じくらいの人数が座ったベンチです。だから、区間が短いところほど人が密集していて、ヒストグラムでいえば柱が高くなっているところにあたります。
箱ひげ図の 4 つの区間にはデータがほぼ同じ個数ずつ入るので、区間の長さを見れば、どこにデータが集まり、どちらに裾がのびているかが読み取れるということです。
A 組と B 組(どちらも 9 人)で数学のテスト(100 点満点)を行いました。次の表は、それぞれの組の得点の箱ひげ図から読み取った値です。
| 最小値 | 第1四分位数 | 中央値 | 第3四分位数 | 最大値 | |
|---|---|---|---|---|---|
| A 組 | 32 | 45 | 58 | 72 | 90 |
| B 組 | 40 | 52 | 60 | 66 | 98 |
(1) A 組と B 組の範囲と四分位範囲をそれぞれ求め、真ん中の半分の散らばりが大きいのはどちらの組か求めなさい。
(2) B 組で 60 点以上の人は、少なくとも何人いるか求めなさい。
(3) A 組で 72 点以上の人は、少なくとも何人いるか求めなさい。
【解答】
(1) 範囲は、A 組が 点、B 組が 点で同じです。四分位範囲は、A 組が 点、B 組が 点です。範囲では差がつきませんが、真ん中の半分の散らばりは のほうが大きいといえます。
(2) 9 人の中央値は小さいほうから 5 番目の値なので、5 番目の人が 60 点です。5 番目から 9 番目までの 5 人は 60 点以上なので、少なくとも 人います。
(3) 9 人では、上位のデータは 6 番目から 9 番目の 4 人で、 はその 2 番目と 3 番目、つまり全体の 7 番目と 8 番目の値の平均です。平均が 72 点なので、8 番目の値は 72 点以上です。よって 8 番目と 9 番目の人は 72 点以上で、少なくとも 人います。7 番目の人は 72 点未満のこともあるので、「3 人」とはいえません。
第1章では、外れ値を「ほかの値から極端に離れた値」と言葉だけで説明しました。どこからが「極端」なのかを人によって変えないように、箱の長さ(四分位範囲)を物差しにして決めた基準があります。
次のどちらかにあてはまる値を外れ値とする。
外れ値がある場合の箱ひげ図では、ひげを外れ値を除いた最小値・最大値までにとどめ、外れ値は「○」などの記号で別にかくことがある。
言いかえると、箱の端から、箱の長さの 倍以上離れた値が外れ値です。外れ値は、記録のまちがいのこともあれば、本当に特別な値のこともあります。見つけたときは機械的に消してしまうのではなく、なぜその値が出たのかを確かめることが大切です。
牧場で羊の群れのまわりに柵を立てるところを想像してください。群れの中心部の広さ(箱)に合わせ、少し余裕をもたせた位置に柵を置きます。柵の外にいる羊は「群れからはぐれた羊」とみなして、1 頭ずつ様子を見に行きます。箱ひげ図を考え出したテューキーも、この境目を「柵(fence)」と呼んでいました。
箱の両端から四分位範囲の 倍以上離れた値を外れ値とみなす物差しを使えば、誰が判定しても同じ結果になるということです。
例題3の 9 人のけん玉のデータ について、次の問いに答えなさい。
(1) 外れ値の基準となる 2 つの値を求め、外れ値があればすべて求めなさい。
(2) 外れ値を「○」で表して、箱ひげ図をかきなさい。
【解答】
(1) 例題3より , で、四分位範囲は です。 なので、基準の値は
以下の値はありません。 以上の値は だけなので、外れ値は 回です。
(2) 外れ値の を除いた最大値は なので、右のひげは までにとどめ、 の位置に「○」をかきます。箱は から まで、中央値の線は の位置です(下の図)。
聞いてみると、40 回の人は何年も練習を続けているけん玉の名人でした。外れ値だからといって、まちがった値とは限らないのです。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
5 個のデータ の範囲を求めなさい。
(最大値 − 最小値 )
問2
7 個のデータ の第1四分位数、第2四分位数、第3四分位数を求めなさい。
,,(中央値 を除いた と の中央値)
問3
8 個のデータ の第1四分位数と第3四分位数を求めなさい。
,
問4
第1四分位数が 、第3四分位数が であるデータの四分位範囲を求めなさい。
問5
第1四分位数が 、第3四分位数が であるデータについて、外れ値の基準となる 2 つの値のうち大きいほうを求めなさい。
( 以上の値が外れ値)
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
9 人の 50 m 走のタイム(秒)は次のとおりでした。
このデータの範囲と四分位範囲を求めなさい。
範囲 秒、四分位範囲 秒
小さい順に並べます。
範囲は 秒です。
なので、5 番目の を除き、下位のデータは 、上位のデータは です。
よって、四分位範囲は 秒です。
問2 ★
10 人が腕立て伏せをした回数は次のとおりでした。
このデータの四分位数を求めなさい。
回, 回, 回
小さい順に並べると、 は偶数なので 5 個ずつに分かれます。
は 5 番目と 6 番目の平均で 回です。 は下位のデータの 3 番目で 回、 は上位のデータの 3 番目で 回です。
問3 ★
7 人がある日にスマートフォンを使った時間(分)は次のとおりでした。
このデータの箱ひげ図をかくのに必要な 5 つの値(最小値・第1四分位数・中央値・第3四分位数・最大値)を求めなさい。
最小値 、、中央値 、、最大値 (分)
小さい順に並べます。
なので、中央値は 4 番目の 分です。これを除いた下位のデータ の中央値が 分、上位のデータ の中央値が 分です。最小値は 分、最大値は 分です。
問4 ★
あるデータの箱ひげ図から、最小値 、第1四分位数 、中央値 、第3四分位数 、最大値 と読み取れた。このデータの範囲と四分位範囲を求めなさい。
範囲 、四分位範囲
範囲はひげの端から端までの長さ、四分位範囲は箱の長さです。
問5 ★
9 人の、家から最寄り駅まで歩いてかかる時間(分)は次のとおりでした。
このデータに外れ値があれば、それをすべて求めなさい。
分
小さい順に並べると です。5 番目の を除いて、下位のデータは 、上位のデータは です。
四分位範囲は で、 です。外れ値の基準は と なので、 以下または 以上の値が外れ値です。あてはまるのは 分だけです。
問6 ★
A、B 2 つの畑で、ミニトマトを 7 株ずつ育てました。1 株あたりの実の数は次のとおりでした。
A、B それぞれの範囲と四分位範囲を求めなさい。
A:範囲 、四分位範囲 B:範囲 、四分位範囲
A 小さい順に です。範囲は です。中央値 を除くと、下位のデータ から 、上位のデータ から で、四分位範囲は です。
B 小さい順に です。範囲は です。, で、四分位範囲は です。
範囲では A、四分位範囲では B のほうが大きく、比べる物差しによって結論が逆になります。A は と という端の 2 株のせいで範囲が大きいだけで、真ん中の 5 株は 〜 にまとまっています。
問7 ★
変量 のデータの範囲が 、四分位範囲が である。変量 を で定めるとき、 のデータの範囲と四分位範囲を求めなさい。
範囲 、四分位範囲
と変換すると、範囲と四分位範囲は 倍になり、 には影響されません。 なので
はデータ全体を右へ ずらすだけなので、幅には関係しません。
問8 ★
ある人の 6 日間の歩数(千歩)は でした。このデータの四分位数を求めなさい。
,,(千歩)
小さい順に並べると です。 は偶数なので、3 個ずつに分かれます。
は 3 番目と 4 番目の平均で 千歩です。下位のデータ の中央値から 千歩、上位のデータ の中央値から 千歩です。
問9 ★★
10 世帯の 1 か月の水道の使用量()は次のとおりでした。
(1) このデータの外れ値すべて (2) 外れ値を「○」で表した箱ひげ図をかくときの、左右のひげの端の値
上の (1)、(2) をそれぞれ求めなさい。
(1) と (2) 左のひげの端 、右のひげの端
(1) 小さい順に並べると
なので、下位のデータは 、上位のデータは で、, です。四分位範囲は で、 なので、外れ値の基準は
以下の と、 以上の が外れ値です。答えは です。
(2) ひげは外れ値を除いた最小値・最大値までにとどめるので、左のひげの端は 、右のひげの端は です。
問10 ★★
9 人の 1 週間の運動時間(時間)の箱ひげ図から、最小値 、第1四分位数 、中央値 、第3四分位数 、最大値 と読み取れた。
(1) 運動時間が 5 時間以上の人数 (2) 運動時間が 8 時間以上の人数
上の (1)、(2) について、それぞれ少なくとも何人いるといえるかを求めなさい。
(1) 人 (2) 人
小さい順に並べた 9 人の値を とします。
(1) 中央値は 5 番目の値なので です。 の 5 人は 5 時間以上なので、少なくとも 人います。
(2) 中央値 を除いた上位のデータは で、 はその 2 番目と 3 番目の平均、つまり です。 なので で、 と の 2 人は 8 時間以上です。 は 8 時間未満のこともある(たとえば ,)ので、少なくとも 人です。
問11 ★★
次の度数分布表は、10 人がなわとびの二重とびを連続で跳んだ回数をまとめたものです。
| 回数 | 度数(人) |
|---|---|
| 0 以上 10 未満 | 1 |
| 10 以上 20 未満 | 2 |
| 20 以上 30 未満 | 4 |
| 30 以上 40 未満 | 2 |
| 40 以上 50 未満 | 1 |
| 計 | 10 |
次のア〜ウは、箱ひげ図の 5 つの値の候補です。
| 最小値 | 第1四分位数 | 中央値 | 第3四分位数 | 最大値 | |
|---|---|---|---|---|---|
| ア | 4 | 12 | 24 | 33 | 47 |
| イ | 4 | 20 | 24 | 33 | 47 |
| ウ | 4 | 12 | 30 | 36 | 47 |
この度数分布表と矛盾しないものを、ア〜ウのうちからすべて求めなさい。
ア
小さい順に並べた値を とします。 なので、,中央値 , です。
累積度数は上から なので、各値の入る階級は次のとおりです。
よって、 は 10 以上 20 未満、中央値は 20 以上 30 未満( も も 30 未満なので、その平均も 30 未満)、 は 30 以上 40 未満、最大値は 40 以上 50 未満です。
答えは です。
問12 ★★
変量 のデータの第1四分位数が 、中央値が 、第3四分位数が 、範囲が である。変量 を で定めるとき、 のデータの第1四分位数・中央値・第3四分位数・四分位範囲・範囲を求めなさい。
第1四分位数 、中央値 、第3四分位数 、四分位範囲 、範囲
をかけると大小が逆転するので、 の小さいほうの値が の大きいほうの値に移ります。そのため、 の第1四分位数は の第3四分位数から、 の第3四分位数は の第1四分位数から求めます。
中央値は です。
四分位範囲は で、 の四分位範囲 の 倍です。範囲も です。
問13 ★★
7 個のデータ がある。
(1) この 7 個のデータの四分位数 (2) このデータに値 を 1 個加えた 8 個のデータの四分位数
上の (1)、(2) をそれぞれ求めなさい。
(1) ,, (2) ,,
(1) なので中央値は 4 番目の です。下位のデータ から 、上位のデータ から です。
(2) 小さい順に並べると です。 なので、下位のデータ 、上位のデータ に分かれます。
値を 1 個加えただけで、奇数個から偶数個に変わり、分け方が変わるので、3 つの四分位数がすべて動きました。四分位範囲は から に小さくなっています。
問14 ★★
A 組と B 組(どちらも 9 人)の国語のテスト(100 点満点)の得点について、箱ひげ図から次の値が読み取れた。
| 最小値 | 第1四分位数 | 中央値 | 第3四分位数 | 最大値 | |
|---|---|---|---|---|---|
| A 組 | 35 | 48 | 60 | 70 | 88 |
| B 組 | 42 | 55 | 58 | 64 | 95 |
(ア) 範囲は A 組と B 組で等しい。 (イ) 四分位範囲は B 組のほうが大きい。 (ウ) A 組には 60 点以上の生徒が 5 人以上いる。 (エ) B 組には 64 点以上の生徒が 3 人以上いる。
(ア)〜(エ) のうち、この表から必ず正しいといえるものをすべて求めなさい。
(ア)、(ウ)
(ア) 範囲は A 組が 点、B 組が 点で等しいので、正しいです。
(イ) 四分位範囲は A 組が 点、B 組が 点で、A 組のほうが大きいので、誤りです。
(ウ) 9 人の中央値は 5 番目の値なので、A 組の 5 番目の生徒は 60 点です。5 番目から 9 番目の 5 人が 60 点以上なので、正しいです。
(エ) 9 人の は 7 番目と 8 番目の値の平均です。B 組では 8 番目と 9 番目の 2 人は 64 点以上といえますが、たとえば 7 番目が 63 点、8 番目が 65 点のときは、64 点以上は 2 人しかいません。必ず正しいとはいえません。
答えは です。
問15 ★★
6 個のデータ の範囲が 、四分位範囲が である。 の値を求めなさい。
なら、最大値 、最小値 で範囲は になり、条件に合いません。
のとき 範囲は より です。データは で、下位のデータ から 、上位のデータ から 。四分位範囲は で、条件を満たします。
のとき 範囲は より です。データは で、,。四分位範囲は となり、条件に合いません。
よって です。
問16 ★★
8 個のデータ を記録するとき、最大値の を誤って と書いてしまった。誤ったデータでは、正しいデータと比べて、範囲・四分位範囲・平均値がそれぞれいくつ大きくなるかを求めなさい。
範囲 、四分位範囲 (変わらない)、平均値
範囲 正しいデータは 、誤ったデータは で、 大きくなります。
四分位範囲 なので、 は下位のデータ の中央値 、 は上位のデータの 2 番目と 3 番目の平均です。上位のデータは正しいと 、誤ると ですが、どちらも です。四分位範囲はどちらも で、大きくなった量は です。
平均値 合計が 増えるので、平均値は 大きくなります。
1 つの値の書きまちがいで、範囲と平均値は動きますが、四分位範囲は動きません。
問17 ★★★
を実数とする。8 個のデータ について
(1) 四分位範囲が となる の値すべて (2) 四分位範囲が最小となる の値の範囲と、そのときの四分位範囲
上の (1)、(2) をそれぞれ求めなさい。
(1) (2) 、四分位範囲
なので、小さい順に とすると、, です。 の位置で場合分けします。
について
について
よって、四分位範囲 は次のとおりです。
(1) より ( を満たす)、 より ( を満たす)。ほかの範囲では一定の値 ,, なので になりません。答えは です。
(2) は で から まで減り、 は で から まで増えます。最小値は で、それをとるのは のときです。 が真ん中の 4 個の範囲に入ると、 も も動かなくなります。
問18 ★★★
7 個の整数からなるデータがある。最小値は 、第1四分位数は 、中央値は 、第3四分位数は 、最大値は 、平均値は で、最頻値はただ 1 つで である。このデータの 7 個の値を小さい順に求めなさい。
小さい順に とします。 なので、中央値は 、下位のデータは 、上位のデータは で、, です。よって
平均値が なので合計は で、 です。, の整数で和が になる組は
よって、データは です。
問19 ★★★
を自然数とする。9 個のデータ において、 が外れ値となるような の値の範囲を求めなさい。
小さい順に とすると、 なので , です。
まず、どんな でも成り立つことを調べます。 値を 1 個加えても、「小さいほうから 2 番目・3 番目」の値が大きくなることはないので、, で です。同じように、「大きいほうから 2 番目・3 番目」が小さくなることはないので、, で です。よって四分位範囲は 以上で、外れ値の基準は
したがって、 が外れ値になるのは か のときに限られます。
のとき が最小値で、 から ,。四分位範囲は で、小さい側の基準は です。自然数 は 以下にならないので、外れ値にはなりません。
のとき が最大値で、 から ,。四分位範囲は で、大きい側の基準は です。 を満たす自然数は です。
以上より、 です。
問20 ★★★
大きさ のデータについて、最小値は 、第1四分位数は 、中央値は 、第3四分位数は 、最大値は である。このデータの平均値を求めなさい。
小さい順に とします。 なので、下位のデータは 、上位のデータは で
です。これを使うと、8 個の合計は 5 つの値だけで表せます。
よって、平均値は です。
大きさ では、真ん中の 6 個が 2 個ずつ組になって ,, に使われるので、箱ひげ図だけから平均値が決まります。大きさ なら、 と がどの四分位数にも使われないので、平均値は 1 つに決まりません。(たとえば はこの条件を満たすデータの一例です。)
箱ひげ図を考え出したのは、アメリカの統計学者ジョン・テューキー(1915〜2000)です。テューキーは 1970 年代に、難しい計算をする前に、まずデータを「眺めて」特徴をつかむための方法をいくつも提案し、1977 年の著書『探索的データ解析』にまとめました。コンピューターがまだ身近ではなかった時代です。箱ひげ図は、並べかえと数えることさえできれば、紙と鉛筆だけでかけるように工夫されていました。
テューキーは、言葉づくりの名人でもありました。コンピューターの情報の単位「ビット(bit)」は、binary digit(2 進数の桁)を縮めて彼が名付けたものです。情報理論を切り開いたシャノンは、1948 年の有名な論文の中で、この言葉をテューキーの命名として紹介しています。また、「ソフトウェア」という言葉を初めて印刷物で使ったのもテューキーだといわれています(1958 年の論文。※諸説あり)。
豆知識
外れ値の基準の「1.5 倍」には、深い理論があるわけではないようです。教え子が伝える話によると、なぜ 1.5 なのかと聞かれたテューキーは「1 では小さすぎ、2 では大きすぎるから」と答えたそうです(※諸説あり)。それでも、第8章で学ぶ正規分布という左右対称の山形の分布なら、この基準で外れ値とされるのは全体のおよそ 0.7% だけです。ほどよい線引きだったといえそうです。
気象庁の 1 か月予報や 3 か月予報では、「気温は平年並みか高い見込み」のような言い方をします。この「平年並み」には、はっきりした決め方があります。
もとにするのは、過去 30 年分のデータです。たとえば、ある地域の 8 月の平均気温を 30 年分集めて小さい順に並べ、低いほうから 10 年分を「低い」、真ん中の 10 年分を「平年並」、高いほうの 10 年分を「高い」とします。四分位数がデータを 4 等分するのに対して、こちらは 3 等分なので、三分位と呼ばれます。予報では、「低い 20%、平年並 30%、高い 50%」のように、3 つの階級それぞれになる確率が発表されます。
もとにする 30 年は 10 年ごとに入れかわり、2021 年からは 1991〜2020 年のデータが使われています。暑い夏が続くと、「平年並み」の中身そのものが少しずつ暑いほうへずれていく、というわけです。
豆知識
母子健康手帳にある、赤ちゃんの身長や体重のグラフ(乳幼児身体発育曲線)にも、同じ考え方が使われています。グラフに描かれた帯は、同じ月齢の子どもの値を小さい順に並べたときの、下から 3% の位置から 97% の位置まで、つまり全体の 94% の子どもが入る範囲です。データを 100 等分する位置をパーセンタイルといい、第1四分位数は 25 パーセンタイル、中央値は 50 パーセンタイルにあたります。
株価のチャートでよく見る「ローソク足」は、箱ひげ図によく似た形をしています。1 日の値動きを、太い胴体と上下にのびる細い線で表す図で、細い線は「ひげ」と呼ばれます。胴体は朝いちばんの値段(始値)と最後の値段(終値)の間を、ひげはその日のいちばん高い値段(高値)と安い値段(安値)までを表します。
見た目は似ていても、中身は違います。箱ひげ図の箱が「データの真ん中の半分」を表すのに対して、ローソク足の胴体は「朝から夕方までに値段がどちらへどれだけ動いたか」を表しています。値上がりした日と値下がりした日で、胴体の色を塗り分けるのもそのためです。
ローソク足のふるさとは、江戸時代の大坂・堂島の米市場だといわれます。1730 年に幕府が公認した堂島の米会所では、米そのものではなく帳簿の上で米を売り買いする取引が行われていて、世界で最初の組織的な先物取引の市場とも呼ばれています。ローソク足を考え出したのは出羽国(今の山形県)酒田の米商人・本間宗久だという話が広く知られていますが、はっきりした記録は残っていません(※諸説あり)。
豆知識
箱ひげ図は英語で box-and-whisker plot といいます。whisker は、ネコなどの動物の口もとに生えている「ひげ」のことです。日本語でも英語でも、あの細い線はひげに見えるようです。
※ここは発展ページです。高校の範囲では「中央値で 2 つに分け、それぞれの半分の中央値をとる」という求め方が分かれば十分ですが、「四分位数は何番目の値になるの?」「変換すると四分位数はどう動くの?」が気になる人のために、少し厳密な見方を紹介します。記号は第1章の厳密定義ページにそろえ、小さい順に並べかえた値を と書きます。
大きさ のデータについて、 を範囲という。
を正の整数として、 のときは を下位のデータ、 を上位のデータとする。 のときは を下位のデータ、 を上位のデータとする(中央の はどちらにも入れない)。
下位のデータの中央値を第1四分位数 、データ全体の中央値を第2四分位数 、上位のデータの中央値を第3四分位数 といい、 を四分位範囲という。
実は、四分位数の決め方は 1 通りではありません。表計算ソフトの関数(QUARTILE.INC など)には、値と値の間を比例配分して求めるものがあり、高校の定義とは違う値が出ることがあります。たとえば の第1四分位数は、定義1では ですが、QUARTILE.INC 関数では になります。どの定義でも「データを 4 等分する位置」を表そうとしている点は同じで、データが多くなるほど違いは小さくなります。
を整数とする。データの大きさ を で割った余りによって、第1四分位数と第3四分位数は次のようになる。
証明 のとき、下位のデータは の 個で、その中央値は 番目と 番目の平均である。上位のデータは で、その 番目は 、 番目は である。
のとき、下位のデータは 、上位のデータは で、どちらも 個である。上位のデータの 番目は である。
のとき、下位のデータは の 個で、その中央値は 番目の値である。上位のデータは で、その 番目は である。
のとき、中央値 を除き、下位のデータは 、上位のデータは で、それぞれの 番目をとればよい。(証明終)
たとえば なら、, です。解説の例題5 (3) で「7 番目と 8 番目の平均」と考えたのは、この表の の行にあたります。
, を定数とし、 とする。 の四分位数を ,,、範囲を とする。
(1) のとき、 の四分位数は ,, である。
(2) のとき、 の四分位数は小さい順に ,, である。
(3) の範囲は 、四分位範囲は である。
証明 (1) なら大小が保たれるので であり、 の下位のデータ・上位のデータは、 の下位のデータ・上位のデータをそれぞれ で移したものになる。第1章の定理2(変換で中央値は に移る)を、全体・下位のデータ・上位のデータのそれぞれに使えばよい。
(2) なら大小が逆転するので である。番号の対応 によって、 の下位のデータの番号 は の番号 、すなわち の上位のデータの番号に移る( でも でも成り立つ)。よって の下位のデータは の上位のデータを で移したもので、第1章の定理2から、その中央値は である。 の上位のデータについても同様に となり、全体の中央値は である。
(3) (1)、(2) より、 のとき の四分位範囲は 、 のとき で、いずれも に等しい。範囲も、最大値と最小値が入れかわるかどうかの違いだけで、同じく である。(証明終)
平均値や中央値は変換で と動きましたが、範囲や四分位範囲のような「散らばりの大きさ」は に関係なく 倍になるだけです。散らばりは「値どうしの差」で測る量なので、全体を平行移動しても変わらない、ということです。
とする。データの最大値 だけを、それより大きい値にとりかえても、,, と四分位範囲は変わらない。一方、範囲と平均値は、増やした分に応じていくらでも大きくなる。
証明 とりかえた値は最大のままなので、ほかの の並び順は変わらない。よって、,, が を使っていないことを示せばよい。
と は、どの でも だけで決まる。 は定理1の表で、最も後ろの番号が ,,, である(,,, の順)。これが 以下になる条件は、順に ,,, で、 でいえば ,,, である。これらをあわせると のすべての が含まれるので、 も を使わない。
最大値を だけ大きくすると、範囲は 、平均値は だけ大きくなり、 はいくらでも大きくとれる。(証明終)
では となり、最大値を使ってしまいます。データが少なすぎると、四分位数でも端の値の影響を受けることがあるのです。
大学の統計学では、「データのうち何割の値をでたらめに書きかえられたら、その量をいくらでも大きく動かせるか」を崩壊点と呼んで、外れ値への強さを測ります。平均値や範囲は、たった 1 つの値で動かせてしまいます。中央値はおよそ半分、四分位範囲はおよそ 4 分の 1 の値を書きかえないと、いくらでも動かすことはできません。
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