問1
を小数で表しなさい。
答えを見る答えを閉じる
()
目次 / 整数の性質 / 数学A
—— 分数の小数表示を余りで読み解き、整数の道具で方程式を解く ——
この分野の最終章です。前半では、分数を小数に直したときに「割り切れて終わるか、同じ並びをくり返すか」が分母の素因数で決まること、くり返しの長さが第5章の「累乗の余りの周期」そのものであることを見ます。循環小数を分数に戻す方法と、素因数分解を使って無理数であることを示す方法もあわせて学びます。後半では、整数だけを答えにもつ方程式を、「積の形にする」「不等式で範囲を絞る」「余りで調べる」という3つの道具で解きます。第1章から第5章までに学んだことを総動員する章です。
数と式 第3章で、有理数(分数で表せる数)を小数で表すと、有限小数か循環小数(同じ並びが終わりなくくり返す小数)になることを学びました。循環小数は、くり返す部分の最初と最後の数字の上に点をつけて
と書くのでした。この章の前半では、その先を考えます。どんな分数が有限小数になるのか。循環小数になるなら、くり返しの長さはいくつか。答えはどちらも、この分野で学んできた素因数分解と余りの言葉で書けます。
後半では、整数だけを答えにもつ方程式を扱います。第3章の一次不定方程式より形が複雑な方程式でも、整数ならではの道具を使えば、答えの候補を有限個に絞り込めます。
これまでと同じく、とくに断らないかぎり文字は整数を表します。
既約分数 ()について、
有限小数は、 のように分母が の分数です。 なので、約分しても分母には と しか残りません。逆に分母が なら、分母・分子に か を掛けて足りないほうを補えば、分母を の累乗にそろえられます。たとえば
です。一方 は、分母の をどうしても の約数にできないので、有限小数にはなりません。この事実は、第4章 厳密定義 定理4( 進法で有限小数になる条件)で とした場合にあたります。
公式1 で「既約分数」とことわっているのは、 のように約分すると になって分母の が消える場合があるからです。判定は必ず約分してから行います。
m を、 cm, cm, mm,……と 分の ずつ細かくなる目盛りしかない巻尺で測ることを考えてください。 m は mm で、目盛りにぴったり乗ります。 m は、どれだけ細かい目盛りを用意しても、いつも目盛りと目盛りの間に落ちてしまいます。目盛りの細かさは 等分のくり返し、つまり 等分と 等分の組み合わせでしか作れないからです。
既約分数が有限小数になるのは、分母の素因数が と だけのときで、そのほかの素因数が1つでもあれば循環小数になるということです。
(1) 次の分数のうち、有限小数で表されるものをすべて求めなさい。
(2) を小数で表しなさい。
【解答】
(1) それぞれ既約分数にして、分母を素因数分解します。
よって、有限小数で表されるものは です。
(2) なので、分母・分子に を掛けて分母を にそろえます。
の指数が なので、小数第 位で終わっています。
循環小数でくり返される部分を循環節といい、その数字の個数を循環節の長さといいます。 を筆算で割ってみましょう。各段では「余りに を掛けて で割る」ことをくり返します。
商を上から並べた が小数の各位の数字です。 段目で余りが最初の に戻ったので、そこから先は同じ計算のくり返しになり
です。余りは から までの 通りしかないので、どこかで必ず同じ余りに戻ります。
余りの並び をよく見ると、 段目の余りは を で割った余りになっています。各段で「 を掛けて で割った余りをとる」のですから、第5章 公式2 のとおりです。つまり、余りが に戻るのは となるときで、その最小の が循環節の長さです。第5章の最後に予告した「」が、ここで循環節の長さとして現れました。
既約分数 について、
を満たす最小の自然数 である。 は 以下である。
分子が でなくても、 と が互いに素なら結論は同じです。 の割り算では、 段目の余りが を で割った余りになり、これが最初の に戻る条件 は、 と が互いに素なので両辺を で割って と同じになります(第5章 公式4 のあとの段落)。
もう1つ大事な性質があります。 を公式2 の最小の自然数とすると、 となる自然数 は、 の倍数に限られます。()と割ると
で、 だと より小さい で となってしまい、 の最小性に反するからです。たとえば と分かれば、 の循環節の長さは の約数 ,,, のどれかで、それより長いことも、 や になることもありません。
分母に や が混じるときは、先に を掛けて、分母から と を追い出します。すると整数部分と、 を分母とする分数に分かれ、後者は小数第 位から循環します。これを で割って元に戻すと、循環の始まりが けたずれるのです(例題2(3))。
山手線のような環状線を思い浮かべてください。 で割った余りは を除くと から の つしかなく、これを環状線の駅とみなすと、割り算の1段は「隣の駅へ進む」ことにあたります。どの駅から次にどの駅へ進むかは決まっているので、出発した駅に戻ってきたら、あとは同じ順路を回り続けるしかありません。循環節の長さは、環状線を1周するのにかかる駅の数です。 の環状線はちょうど 駅すべてを通りますが、 の場合は 駅のうち半分の 駅だけを通る小さな環状線になります。
分数を小数に直すときの余りは の累乗の余りとして決まっていくので、循環節の長さは「 が分母を法として と合同になる最小の 」だということです。
(1) の小数第 位の数字を求めなさい。
(2) の循環節の長さを、合同式を用いて求めなさい。
(3) を循環小数の記号を用いて表しなさい。
【解答】
(1) で、循環節の長さは です。 なので、小数第 位の数字は、循環節 の 番目の数字と同じで です。
(2) を法として の累乗を調べます。 より です。また で、 なので
です。循環節の長さ は の約数で、,, はどれも と合同でないので、 です。実際、 です。
(別解)合同式を使わずに、 を筆算で割り進めると、余りは と進み、 段目で に戻ります。よって循環節の長さは です。
(3) なので、 を掛けて分母の を追い出します。
を筆算で割ると、余りは と進んで 段で戻り、 です。よって
です。 なので小数第 位から循環し、循環節の長さは と同じ になっています。
小数第 位から循環し、循環節が けたの数 (先頭に があってもよい)である循環小数は
と表せる。循環が途中から始まる小数は、 の累乗を掛けて、循環する部分だけを小数部分に残してから使う。
数と式 第3章では、 とおいて とする方法を学びました。公式3 はこの計算を一般化したものです。 なら なので、 となります。
最後の式から、 が分かります。循環節の長さが であることと、 が分母で割り切れることは、表と裏の関係にあります。
同じ柄が cm ごとにくり返される包装紙を 枚用意し、片方をちょうど cm ずらして重ねると、柄はぴったり重なります。ずらした分の端だけが、重ならずにはみ出します。 と も、小数点を けたずらした 枚の包装紙で、引き算すると重なった尻尾は全部消え、はみ出した整数部分 だけが残るのです。
循環小数は、循環節の長さだけ 倍を重ねて引けば尻尾が消えるので、「循環節の数 ÷ を並べた数」で分数に直せるということです。
次の循環小数を既約分数で表しなさい。
(1) (2)
【解答】
(1) 循環節は で けたなので、公式3 より
です。, なので、 で約分して です。
(2) とおきます。循環が小数第 位から始まるので、 は小数第 位から循環します。この小数部分に公式3 を使うと
よって です。
(別解) と の小数部分が一致するので、辺ごとに引いて 、 です。
分母の に が1つ含まれるので、公式2 のとおり小数第 位から循環しています。
数と式 第3章・第6章では、 や が無理数(分数で表せない数)であることを、偶奇や の倍数に注目して示しました。素因数分解を使うと、これらをまとめて扱えます。
自然数 が平方数(ある整数の 乗)でなければ、 は無理数である。
言いかえると、 が有理数なら は整数である。 などについても同じことが成り立つ。
が有理数だとして、(, は互いに素な自然数)とおきます。両辺を 乗して分母をはらうと
です。もし なら、 の素因数 を1つとると、 は を割り切ります。素数 が積 を割り切れば、 は を割り切ります(第1章 厳密定義 定理5)。すると は と の公約数になり、互いに素であることに反します。よって で、 は平方数です。
素因数分解で見ると、平方数とはすべての素因数の指数が偶数の数です。 の素因数分解は、 の素因数分解の指数をすべて 倍したものだからです。 は の指数が奇数なので平方数でなく、 は無理数です。
洗濯物から靴下を取り出して、同じ柄どうしでペアを作る場面を考えます。平方数は、どの柄の靴下もちょうどペアになって余りが出ない洗濯物です。 では、 の柄が 足ぶん片方だけ残ります。 は「ペアを 組ずつ外に出す」操作なので、片方だけの靴下が つでもあれば、根号はどうしても外れません。
が有理数になるのは、 の素因数の指数がすべて偶数( が平方数)のときだけで、それ以外の は無理数だということです。
(1) 次の数のうち、有理数であるものをすべて求めなさい。
(2) が無理数であることを示しなさい。
【解答】
(1) それぞれ根号の中を整理します。
よって有理数であるものは です。
(2) が有理数であると仮定し、(, は互いに素な自然数)とおきます。両辺を 乗して分母をはらうと
です。左辺は偶数なので は偶数で、 も偶数です( が奇数なら も奇数)。( は自然数)とおくと 、すなわち で、同じ理由で も偶数です。, がともに偶数となり、互いに素であることに反します。
よって は無理数です。(証明終)
素因数で見ると、 の指数 が の倍数でないので、 は整数にも有理数にもならない、ということです。
ここからは、整数を答えにもつ方程式(第3章 小話で紹介したディオファントス方程式)の解き方を学びます。一次不定方程式と違って、決まった手順は1つではありません。代わりに、次の3つの道具を状況に応じて使い分けます。
の形の方程式は
と変形できる。右辺が でない整数 なら、 と は「掛けて になる整数の組」なので、 の約数(負の約数も含む)の組をすべて調べればよい。
左辺を展開すると になるので、元の式の両辺に を足したものと一致します。 の係数が でないときは、先に両辺に係数を掛けてそろえます(実践問題で扱います)。 も、 と積の形にできます。
整数の積が決まった数になる組は、有限個しかありません。これが決め手です。 個のかけらに溝が入った板チョコを思い浮かべてください。溝に沿って長方形のままならべ替えられる形は ,,, と、その縦横を入れかえたものだけです。「掛けて 」という条件は、形の候補を数えられる個数に絞ってくれます。
を含む方程式は「(整数) × (整数) = 定数」の形に変形すれば、定数の約数の組を調べるだけで解がすべて見つかるということです。
(1) を満たす整数 , の組をすべて求めなさい。
(2) を満たす自然数 , の組をすべて求めなさい。
【解答】
(1) なので、方程式は
と変形できます。, は掛けて になる整数なので
の 通りです。よって
です。負の約数の組を忘れないことが大切です。
(2) 両辺に を掛けると 、すなわち です。両辺に を足すと
となります。, は自然数なので で、 です。同じく なので、, はどちらも正の整数です。 の正の約数の組を調べて
よって です。
文字について対称な方程式では、 のように大小関係を仮定してよい(最後に並べかえた組も答えに加える)。
(,, は自然数)のように、文字を入れかえても変わらない式を対称な式といいます。このときは と並べておけば、 なので
となり、 が分かります。いちばん小さい の候補が ,, に絞られたわけです。
3人で1個のスイカを切り分けると、いちばん大きく取った人の分は、必ず全体の 以上になります。全員が 未満だと、合わせても 個にならないからです。 は「いちばん大きく取った人の分」にあたり、それが 以上だという事実が です。大小を決めてから一番端の人に注目すると、範囲が見えてきます。
対称な方程式では大小の順を決めてから、いちばん端の文字について不等式を作ると、候補が有限個に絞れるということです。
, を満たす自然数 ,, の組をすべて求めなさい。
【解答】
上で見たとおり です。また だと となり、自然数では成り立たないので、 または です。
のとき です。 より で 、また より です。
のとき です。 より で、 と合わせて 、このとき です。
以上より
です。 のときの は、例題5(2) と同じように と積の形にして解くこともできます。
整数の方程式の両辺を、適当な数 で割った余りで比べる。
には、平方数の余りが限られる ,,, などがよく使われる。
第5章で見たように、平方数を で割った余りは か 、 で割った余りは ,, のどれかです(第5章 実践問題 j01)。「 を で割ると 余る」ことは決して起こりません。第5章 実践問題 j14 では、 で割った余りから に解がないことを示しました。
USB の差し込み口を思い浮かべてください。Type-C の口に Type-A のプラグは、形が合わないので、電気が流れるかどうかを試すまでもなく挿さりません。余りは、数の大きさを忘れて「形」だけを見る道具です。左辺と右辺の形が合わなければ、どんな大きな数を持ち出しても等式は成り立ちません。
方程式の両辺をある数で割った余りが合わなければ解はなく、合う場合も解の形が絞られるということです。
(1) を満たす整数 , は存在しないことを示しなさい。
(2) を満たす整数 , は存在しないことを示しなさい。
【解答】
(1) を法として考えます。左辺は です。 に対して なので、左辺を で割った余りは ,, のどれかです。一方、右辺の を で割った余りは です。両辺の余りが一致することはないので、整数解は存在しません。(証明終)
(別解)合同式を使わずに書くと、 から、 を で割った余りが になります。 に分けると を で割った余りは ,, なので、これは起こりません。
(2) と積の形にします。 と の差は で偶数なので、2数は偶奇が一致します。
よって整数解は存在しません。(証明終)
同じ理由で、 で割って 余る数は、どれも「2つの平方数の差」になりません。逆に奇数 は と、必ず平方数の差で書けます。
この分野では、約数と倍数(第1章)から出発し、互除法(第2章)、一次不定方程式(第3章)、 進法(第4章)、余りと合同式(第5章)と進んできました。この章で見たように、分数の小数表示には素因数分解と の累乗の余りが、無理数の証明には素因数分解の一意性が、整数の方程式には約数・不等式・余りが、それぞれ顔を出します。
整数の問題は、見た目が似ていても使う道具が違うことがよくあります。迷ったら「積の形にできないか」「大小を決めて絞れないか」「何かで割った余りを見られないか」の順に試してみてください。厳密定義のページでは、循環節の長さの性質と、 を満たす整数の組(ピタゴラス数)をすべて求める方法を扱います。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
を小数で表しなさい。
()
問2
,,, のうち、有限小数で表されるものをすべて求めなさい。
,(,。 と は素因数 を含む)
問3
を既約分数で表しなさい。
( を で約分)
問4
を循環小数の記号を用いて表し、循環節の長さを求めなさい。
,長さ ( より )
問5
を満たす自然数 , の組の個数を求めなさい。
組()
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
を小数で表しなさい。また、小数第何位で終わるかを求めなさい。
,小数第 位
なので有限小数になります。分母を にそろえるため、分母・分子に を掛けます。
の指数 と の指数 の大きいほうが なので、小数第 位で終わります(公式1)。
問2 ★
の小数第 位の数字を求めなさい。
を筆算で割ると、余りは と進み、 段目で最初の に戻ります。立つ商を並べると
で、循環節は 、長さは です。 なので、小数第 位は循環節の 番目の数字と同じで です。
ですが、 の循環節 を 倍した は、 の数字の並びを回転させたものになっています(小話1)。
問3 ★
を既約分数で表しなさい。
とおくと、 は小数第 位から循環します。公式3 より
よって です。
分母 に が1つだけ含まれるので、小数第 位から循環するという公式2 の結論とも合っています。
問4 ★
進法で表された循環小数 を、 進法の既約分数で表しなさい。
とおきます。 進法では、 倍すると小数点が けた右へずれるので
です。よって 、 です。
公式3 の「」が、 進法では「」に変わります。 です。
(確かめ) と、 進法の小数第 ,,,…位が になっています(第4章 公式4 の方法で を 倍し続けると が出てきます)。
問5 ★
が無理数であることを示しなさい。
(互いに素)とすると から , がともに偶数となり矛盾(解説参照)
が有理数であると仮定し、(, は互いに素な自然数)とおきます。両辺を 乗して分母をはらうと
です。左辺は偶数なので は偶数で、 も偶数です。 とおくと 、すなわち です。右辺は偶数なので は偶数で、 は奇数だから が偶数、したがって も偶数です。
, がともに偶数となり、互いに素であることに反します。よって は無理数です。(証明終)
公式4 を使えば、「 は平方数ではない()」の一言で済みます。上の証明は、公式4 の理由を について具体的にたどったものです。
問6 ★
を満たす整数 , の組をすべて求めなさい。
, は掛けて になる整数です。 は素数なので、その組は
の 通りだけです。それぞれ , に直して
です。整数の範囲なので、負の約数どうしの組も忘れずに数えます。
問7 ★
を満たす自然数 , の組をすべて求めなさい。
両辺に を足すと、左辺は に変形できます。
, は自然数なので , で、積が なので、どちらも正の整数です。よって
となり、 です。
公式5 で , とした場合で、右辺は です。
問8 ★
を満たす自然数 , の組をすべて求めなさい。
と積の形にします。, は自然数なので で、積が正なので も正です。また です。 の正の約数の組で、大きいほうを にすると
です。
よって です。
は奇数なので、どの組も2数がともに奇数で偶奇がそろい、, が整数になります(例題7(2) の注意)。
問9 ★★
が有限小数で表されるような、 を満たす整数 の個数を求めなさい。
個
です。 を約分したとき、分母に素因数 が残らなければ有限小数になり、残れば循環小数になります(公式1)。
分母の がすべて約分で消えるのは、 が の倍数のときに限ります。 が の倍数でなければ、 に含まれる は 個以下なので、分母に が少なくとも つ残ります。
よって、求める個数は の範囲にある の倍数の個数です。 なので、 個です。
( を含めると は整数になるので、範囲から除いてあります。)
問10 ★★
の循環節の長さを求めなさい。
を法として の累乗を調べます。
したがって です。
循環節の長さ は となる最小の自然数で、 なので は の約数()です(公式2 のあとの段落)。ところが が ,,, のどれかなら、 は の約数なので となるはずです。実際には なので、 です。
(別解) を筆算で割り進めると、余りは と進み、 段目で初めて に戻ります。 です。
余りが から までをすべて通っているので、 の循環節の長さは、とりうる最大の になっています。
問11 ★★
を小数で表したとき、小数第 位から第 位までの数字の和を求めなさい。
で、循環節 の数字の和は
です。 なので、第 位から第 位までに循環節がちょうど 回現れ、残りの第 位から第 位は循環節の最初の 個 です。よって
です。
問12 ★★
, は 以上 以下の異なる整数とする。 が整数となるような の組の個数を求めなさい。
組
公式3 より , なので
です。これが整数になるのは、 が の倍数のときです。 で なので、 に限ります( は のときだけで、除かれます)。
となる組は の 組で、いずれも を満たします( だと が偶数になるため)。
たとえば です。
問13 ★★
が無理数であることを用いて、 が無理数であることを示しなさい。
有理数 に等しいとすると が有理数となり矛盾(解説参照)
が有理数であると仮定し、( は有理数)とおきます。両辺を 乗すると
です。右辺は有理数の足し算・掛け算・割り算で作られるので有理数です。すると が有理数になり、 が無理数であることに矛盾します。
よって は無理数です。(証明終)
が無理数であることは、 が平方数でない()ことから公式4 で分かります。「無理数どうしの和は無理数」とは限らない()ので、このように2乗して、無理数であると分かっている数に帰着させます。
問14 ★★
を満たす自然数 , の組の個数を求めなさい。
組
両辺に を掛けると 、すなわち です。両辺に を足して
となります。 より 、同じく なので、, はどちらも正の整数です。
したがって、組の個数は「掛けて になる正の整数の順序つきの組」の個数、つまり の正の約数の個数に等しくなります( を決めれば が1つに決まるため)。 なので、正の約数は 個です(第1章 公式4)。
よって 組です。具体的には です。
問15 ★★
, を満たす自然数 ,, の組をすべて求めなさい。
より なので
です( で両辺を割りました)。 の自然数で となるのは、 です。
よって です。(確かめ) です。
ここでは、いちばん大きい で右辺を上から押さえました。公式6 の「端の文字に注目する」を、大きいほうの端で使った例です。
問16 ★★
を満たす自然数 , の組をすべて求めなさい。
範囲を絞る なので 、すなわち で、 です。
偶奇で絞る は偶数で は奇数なので、 は奇数です。よって は奇数で、 です。
よって です。
範囲を絞る(公式6)と余りで調べる(公式7)を組み合わせると、調べる が 個から 個に減りました。
問17 ★★★
を満たす自然数 , の組をすべて求めなさい。
のとき より です。
のとき は の倍数なので、 です。一方 より なので、 は偶数でなければなりません。( は自然数)とおくと
と積の形になります。右辺の2つの因数は の約数なので、どちらも の累乗です。しかもその差は です。小さいほうの は 以上です。これが 以上の の累乗なら、大きいほうも 以上の の累乗で、2数とも の倍数なので差も の倍数になり、差が になりません。したがって小さいほうは 、大きいほうは です。よって
で、、したがって , より です。
以上より です。(確かめ), です。
(別解) が偶数であることは、合同式を使わずに示すこともできます。 が奇数なら で、 を で割った余りは なので の累乗も で割って 余り、 は で割ると 余ります。これは を で割った余り と合いません。
問18 ★★★
以上の整数 で、 が小数第 位から循環し、循環節の長さが となるものをすべて求めなさい。
が小数第 位から循環するので、 は も も素因数にもちません(公式2。 に や が含まれると、有限小数になるか、循環が第 位以降から始まります)。
このとき循環節の長さが であることは、「 であり、 ではない」、つまり
ことと同じです。 の 以上の約数は で、このうち の約数である , を除くと です。
(確かめ),, で、いずれも循環節の長さは です。除いた , は長さ です。
公式3 で見た「循環節の長さ ⇔ ( 個)で割り切れる」という関係を、逆向きに使った問題です。
問19 ★★★
が有理数となる自然数 をすべて求めなさい。
は自然数なので、公式4 より が有理数になるのは、 が平方数のときに限ります。( は自然数)とおくと
です。 は正なので も正で、 です。 の正の約数の組で大きいほうを にすると
です。
よって です。(確かめ), です。
「有理数」という条件が、公式4 によって「平方数」という整数の条件に置きかわり、さらに平方数の差を積の形(公式5)にして解けました。
問20 ★★★
自然数 に対し、 を満たす自然数 , の組の個数を とする。
(1) を素数とするとき、 を求めなさい。
(2) となる最小の を求めなさい。
(1) (2)
まず一般に考えます。両辺に を掛けて整理すると 、両辺に を足して
です。 より 、同じく なので、, は正の整数です。 を の正の約数から選べば が1つに決まるので
となります(実践問題 j14 は の場合で、 の約数は 個でした)。
(1) の正の約数は の 個なので、 です。解は です。
(2) と素因数分解すると、 なので、第1章 公式4 より
です。これが になるのは、 を 以上の奇数の積に分ける方法を考えて
のどちらかです。前者の最小は です。後者では、指数の大きいほうに小さい素数を当てるのが最小で、 です( より小さい)。
よって、最小の は です。(確かめ) の正の約数は 個です。
という6けたの数に、 から までを順に掛けてみます。
どの答えも、 という数字の並びを、輪のように回して読み始めの位置をずらしただけです。 を円周上に書いておけば、 倍から 倍までの答えは「どこから読み始めるか」の違いにすぎません。こうした数は巡回数と呼ばれます。そして を掛けると、今度は と、 が6つ並びます。
種明かしは本文の図にあります。 は の循環節で、 の割り算の余りは と、 から までをすべて通ってひと回りします。 を割るのは、この輪の「 の駅」から出発することと同じなので、同じ順路を途中から回ることになり、循環節は になります。 から までも同じで、出発する駅が違うだけです。 のほうは、本文の公式3 で見た を言いかえたものです。
同じことは、循環節の長さが分母より だけ小さい分数なら、いつでも起こります。 の循環節は けたなので、 という(先頭の も含めた) けたの数も、 倍から 倍まで数字の輪を回すだけの巡回数です。
豆知識
を前半と後半に分けて足すと、 になります。 けたずつ3つに分けると です。 の循環節 でも 、 の循環節でも です。分母が素数で循環節のけた数が偶数なら、半分に分けて足すと が並ぶことが知られていて、19世紀のフランスの数学者の名をとってミディの定理と呼ばれます(※発表年には諸説あります)。
素数 (, 以外)を分母とする の循環節の長さは、本文の公式2 より 以下です。厳密定義のページで示すように、実は長さはいつも の約数になります。では、ちょうど最大の になるのはどんな素数でしょうか。 までに限ると
の 個です。 の循環節は けたにもなります。一方 は けた、 は けた、 は けたと、最大には遠く及ばない素数もあります。
分数を小数に直したときの循環節の長さに、早くから強い関心を寄せた数学者の1人がガウスです。 年の著書『整数論研究』(ラテン語で Disquisitiones Arithmeticae)では、分母が素数の分数を小数に直す問題が取り上げられ、そのための表も付けられています(※表の範囲や作成の経緯については、ここでは立ち入りません)。ガウスは、手計算で膨大な数の循環小数を調べたと伝えられています(※具体的な範囲には諸説あります)。
循環節が最大になる素数はどれくらいあるのか。 年、ドイツの数学者エミール・アルティンは、「そのような素数は無限に存在し、しかも全体の素数のうち約 %を占める」という趣旨の予想を立てました。 万までの素数で数えてみると、割合は約 %で、確かにその近くにあります。ところが、「無限に存在する」という部分でさえ、今も証明されていません。 年には、ある未解決の大予想(一般化されたリーマン予想)が正しいと仮定すればアルティンの予想も正しい、ということまでは示されています(※割合の %は、 を底とする場合の予想値を概数にしたものです)。
小学生でも計算できる の小数が、現代数学の最前線につながっているのです。
豆知識
の循環節が最大になることを、合同式では「 は を法とする原始根である」と言います。 の累乗の余りが から までをすべて通る、ということで、本文の図のように余りが円周上の全部の駅を回ることにあたります。
インドの数学者ラマヌジャンが病気で療養していたころ、イギリスの数学者ハーディが見舞いに訪れました。ハーディは「乗ってきたタクシーの番号は で、つまらない数だったよ。悪い前触れでなければいいが」と話しかけます。するとラマヌジャンはすぐに答えました。「いいえ、とても面白い数です。2通りの方法で2つの立方数の和として表せる数の中で、いちばん小さい数ですから」(※会話の細部は伝える資料によって少しずつ違います)。
、 で、確かにどちらも です。この逸話から、 はタクシー数(ハーディ・ラマヌジャン数)と呼ばれるようになりました。実はこの性質自体は、 世紀のフランスの数学者フレニクルもすでに知っていたとされます。
の自然数解は、本文の道具で探すことができます。
と積の形にできるので(公式5)、 は の約数に限られます。さらに から の範囲も絞れます(公式6)。 なら、 の候補は で、 から 、 から が見つかります。ラマヌジャンが一瞬で答えられたのは、こうした数の性質を友人のように知りつくしていたからでしょう。
豆知識
「3通りの方法で2つの立方数の和として表せる最小の数」は です。
4通り、5通り、6通りの最小の数も、計算機を使って見つけられています。
※ここは発展ページです。本文では、循環節の長さが「 となる最小の 」であることを、筆算の余りの動きから説明しました。ここでは小数展開を割り算の手順として定義しなおし、循環がどこから始まり、長さがいくつになるかを証明します。後半では、累乗根が有理数になる条件と、 を満たす自然数の組(ピタゴラス数)をすべて求める定理を扱います。
このページでは、とくに断らないかぎり文字は整数を表します。第1章の厳密定義で導入した整除の記号 と素因数の個数 、第1章 定理5(素数・互いに素な数と積)、第2章 定理1(除法の定理)、第5章の合同式の性質(定理2・定理3)とフェルマーの小定理(定理5)を使います。
, を を満たす互いに素な自然数とする。 とし、 に対して、除法の定理により
を満たす整数 , を順に定める。 を の小数第 位の数字、 を第 段の余りという。
, とする。 を満たすすべての について が成り立つとき、 は小数第 位から周期 で循環するという。 でそうなるとき純循環するという。
と が互いに素なとき、 を満たす最小の自然数 を、 を法とする の位数といい、 で表す。
なので となり、 は確かに けたの数字です。この手順は本文の筆算そのものです。
位数が存在することを確かめておきます。 と が互いに素なら、 を で割った余りは から のどれかです( にはならない)。 個の数に 通りの余りなので、()となる組があります。 と は互いに素なので、第5章 定理3 より両辺を で割って です。よって位数は存在し、 以下です。
定義1 の記号で、次が成り立つ。
(1) すべての について である。
(2) すべての について である。すなわち、 の小数展開は である。
(3) , について、 が小数第 位から周期 で循環することと、 であることは同値である。
証明 (1) では である。 なら、 である。 から順にたどれば、すべての で成り立つ。
(2) 定義の式を で割ると である。これを 回くり返すと
で、最後の項は 以上 未満である。 としてこの項は に近づくので、(2) が成り立つ。
(3) 第 段の計算は だけで決まる(, は を で割った商と余り)。よって なら、そこから先の余りと数字はすべて 段ずつくり返し、 で となる。
逆に で なら、(2) より
なので である。(証明終)
(3) の後半で (2) を使ったのは、「数字の並びが同じなら値も同じ」を確かめるためです。数と式 第3章の小話で見た のように、一般の小数では値が同じでも数字の並びが違うことがありますが、ここでは数字の並びから値へ向かう方向しか使っていません。
を と互いに素な自然数とし、 とする。
(1) 自然数 について、 であることと、 であることは同値である。
(2) が素数ならば、 である。
証明 (1) なら として である。逆に とし、()とすると、 である。 なら の最小性に反するので 、すなわち である。
(2) は素数で の倍数でないから、フェルマーの小定理(第5章 定理5(1))より である。(1) より である。(証明終)
(2) は、合成数 に対しても、 を第5章で紹介したオイラー関数 に置きかえれば成り立ちます(オイラーの定理から同じように導けます)。たとえば で、 の循環節の長さ は の約数です。
, を を満たす互いに素な自然数とする。
(1) が純循環するための必要十分条件は、 と が互いに素であることである。
(2) と が互いに素なとき、 が小数第 位から周期 で循環するための必要十分条件は、 である。とくに、最小の周期(循環節の長さ)は である。
証明 定理1(3) で とすると、周期 で純循環することは と同値である。定理1(1) より、これは
と同値である(, はともに 以上 以下なので、合同なら等しい)。
(1) と が互いに素なら、 で が成り立つので純循環する。逆に、ある で が成り立つとすると で、 と は互いに素だから第1章 定理5(2) より である。 と に共通の素因数 があれば、 かつ から となり矛盾する。よって と は互いに素である。
(2) と は互いに素なので、第5章 定理3 より は と同値であり、定理2(1) より と同値である。(証明終)
(1) の証明から、純循環する分数では 、つまり の形に書けることが分かります。これが本文 公式3 の裏返しです。
, を を満たす互いに素な自然数とし、( は と互いに素)、 とする。 のとき、 は小数第 位から周期 で循環する。さらに ならば、小数第 位からは(どんな周期でも)循環しない。
証明 である。分子 は と互いに素である( の素因数は , でなく、 も割り切らない)。 を で割った余りを とすると、 と も互いに素で、 だから である。
一方、定理1(1) より なので、 は の小数部分、すなわち に等しい。定理1(2) より、 の小数第 位以降の数字は の小数展開の数字と一致する。定理3 より は周期 で純循環するので、前半が示された。
後半を背理法で示す。 で、小数第 位から周期 で循環すると仮定すると、定理1(3)()より で、定理1(1) より
である。 と は互いに素なので となり、とくに と はこの右辺を割り切る。 は でも でも割り切れないので、第1章 定理5(2) より ,、すなわち , である。これは に反する。(証明終)
小数第 位から循環しないなら、それより前の位からも循環しません(第 位から循環すれば、第 位からも同じ周期で循環するからです)。本文 例題2(3) の は ,, の場合で、小数第 位から周期 で循環していました。 のときは となり、小数第 位で終わる有限小数です(第4章 定理4 と本文 公式1)。
を 以上の整数とする。有理数 について が整数ならば、 は整数である。
とくに、自然数 について が有理数であることと、 のすべての素因数 について が の倍数であることは同値である。
証明 ( は自然数、 と は互いに素)とし、 とすると である。 と仮定し、 の素因数 をとると で、第1章 定理5(1) をくり返し使えば となり、 と が互いに素であることに反する。よって で、 は整数である。
後半について、 が有理数なら前半より自然数 で、 から は の倍数である。逆に、すべての が の倍数なら、 とおくと で、 は整数である。(証明終)
前半は、数と式 第12章 定理3(有理数の解の候補)を方程式 に使った場合とも見られます。最高次の係数が なので、有理数の解があれば分母は 、つまり整数です。
を満たす自然数の組 をピタゴラス数といいます。 の各数を 倍した もピタゴラス数なので、 と が互いに素なものを調べれば十分です。
自然数 ,, が を満たし、 と が互いに素で、 が偶数であるとする。このとき、次の条件を満たす自然数 , がただ1組存在する。
逆に、この条件を満たす , から作った は、 と が互いに素なピタゴラス数である。
また、 で と が互いに素なら、 と のうちちょうど一方が偶数である。
証明 まず最後の主張を示す。, は互いに素なので、ともに偶数ではない。ともに奇数なら、 を で割った余りは だが、平方数 を で割った余りは か なので矛盾する(数と式 第6章 実践問題 j19)。
以下、 が偶数、 が奇数とする。 は奇数なので も奇数である。
( と は互いに素)素数 が と を割り切れば、 から となり、 と が互いに素であることに反する。
(積の形) で、 はともに偶数、 である。,()とおくと
である。, の公約数は と の公約数なので、 と は互いに素である。
(, は平方数)素数 が を割り切るとき、 は を割り切らないので は偶数である。 のどの素因数の指数も偶数なので、 は平方数である(定理5 の後半で とした場合)。同様に も平方数である。,()とおくと
である。, の公約数は , の公約数なので、 と は互いに素である。 は奇数なので は奇数である。, は , から決まるので、ただ1組である。
(逆) である。素数 が と をともに割り切るとする。 が奇数なので , の偶奇は異なり、 は奇数だから である。 より または で、たとえば なら から となり、 と が互いに素であることに反する( の場合も同様)。よって と は互いに素である。(証明終)
から 、 から 、 から 、 から が得られます。同じ公式は、三角比と三角関数 第10章の小話で、単位円上の点を傾き の直線で求める方法からも導かれていました。図形から見つけた公式が、ここでは約数と平方数の議論だけで「これ以外にない」と確かめられたことになります。
この証明には、この分野の道具がほとんど顔をそろえています。余りによる分類(第5章)で偶奇を決め、積の形(本文 公式5)に変形し、互いに素であること(第1章・第2章)と素因数の指数(第1章)から平方数であることを導きました。整数の性質の分野はここで終わりです。ここで身につけた「割り切れるか」「何が余るか」「素因数は何か」という見方は、数列の漸化式や、数検の整数問題でもくり返し使われます。
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