問1
曲線 上の点 における接線の方程式を求めなさい。
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(傾き 、)
目次 / 微分積分 / 数学II
—— 微分係数を「傾き」として使い、曲線に触れる直線を式で表す ——
第2章で、導関数を使えばどの点の微分係数もすぐに求まるようになりました。微分係数は「接線の傾き」でしたね。この章では、その傾きを使って接線や法線の方程式を立てます。さらに「接点がわからない接線」や「2つの曲線が接する条件」も、接点を文字でおく方法で解けるようにします。
第1章で、微分係数 は「曲線 上の点 における接線の傾き」だと学びました。直線は「通る1点」と「傾き」がわかれば1本に決まります。接線の場合、通る点は接点 、傾きは 。材料はもうそろっています。
曲線 上の点 における接線の方程式は
夜、カーブの続く道を走る車を思い浮かべてください。ハンドルを切っている最中でも、ヘッドライトの光はその瞬間に車が向いている方向へ、まっすぐ伸びていきます。道(曲線)がどんなに曲がっていても、ある地点で車が向いている方向は1つ。その方向に引いたまっすぐな光の筋が、接線のイメージです。
接線は「接点 を通り、傾き の直線」なので、 と書けるということです。
次の曲線上の、与えられた 座標の点における接線の方程式を求めなさい。
【解答】
(1) とおくと 、 より 。接線は
(2) とおくと 、 より 。接線は
※ 求める順番は「① 接点の 座標 → ② 傾き → ③ 公式に代入」。この3段階を毎回同じ順でこなすと、計算ミスが減ります。
接点で接線と垂直に交わる直線を考えることもあります。これを法線といいます。
曲線 上の点 における法線(接点を通り、接線に垂直な直線)の方程式は、 のとき
「法線」という言葉は、理科の光の反射でも登場します。鏡に当たった光の入射角・反射角は、鏡の面に垂直に立てた線(法線)を基準に測りますよね。曲がった鏡でも同じで、光が当たった点で鏡に接する面を考え、それに垂直な線を基準にします。曲線の法線は、まさにその「基準の線」です。
法線は接点を通り、傾きが (接線の傾きとの積が )の直線だということです。
曲線 上の点 における法線の方程式を求めなさい。
【解答】
より、点 における接線の傾きは 。法線の傾きは なので
※ うっかり「」や「」にしがちです。「逆数にして、符号を反対にする」の2つを両方やることを確認しましょう。
ここまでは接点が最初からわかっていました。けれども、「傾きが の接線を求めなさい」「曲線の外の点から引いた接線を求めなさい」のように、接点が隠れている問題もあります。こういうときの決まり手が、接点を文字でおく方法です。
接点がわからないときは、接点を とおいて、接線を
と を含む式で書き、問題の条件から を決める。
刑事ドラマで、まだ正体のわからない犯人をひとまず「X」と呼んで捜査を進める場面があります。名前がないままでは話が進みませんが、「X は現場に左利きの跡を残した」「X は午後9時にここにいた」と条件を積み重ねていくと、やがて X が誰なのかが絞り込まれます。接点に という仮の名前を付けるのも同じ発想です。
接点がわからない接線は、接点を とおいて接線の式を書き、条件から の方程式を立てて解けばよいということです。
曲線 の接線のうち、傾きが であるものを求めなさい。
【解答】
とおくと 。接点の 座標を とすると、傾きの条件から
よって です。
点 から曲線 に引いた接線の方程式を求めなさい。
【解答】
点 は曲線上にありません( のとき )。そこで接点を とおきます。 より接線は
これが点 を通るので、, を代入して
のとき 、 のとき です。
(検算:どちらも で になります。)
※ 「点 における接線」と勘違いして としてはいけません。公式1が使えるのは、その点が曲線上の接点のときだけです。
最後に、2つの曲線が1点で触れ合う「接する」状態を式で表します。
2つの曲線 , が の点で接する(共有点をもち、その点で共通の接線をもつ)条件は
陸上のリレーで、バトンパスがうまくいく瞬間を思い浮かべてください。前の走者と次の走者は、同じ場所にいるだけでは足りません。スピードもそろっていないと、ぶつかったり離れてしまったりします。「位置がそろう」が 、「速さ(傾き)がそろう」が 。2つがそろったとき、2つの曲線はきれいに接します。
2つの曲線が接するとは、同じ点を通り()、その点での傾きも等しい()ことだということです。
2つの放物線 と が接するように、定数 の値を定めなさい。また、そのときの接点の座標を求めなさい。
【解答】
, とおくと、,。 の点で接するとすると
(別の見方: を整理した が重解をもつ条件、つまり判別式 からも が得られます。放物線どうしなら判別式でも解けますが、3次関数が相手になると判別式は使えません。「接点を とおく」方法なら、どちらでも同じように解けます。)
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
曲線 上の点 における接線の方程式を求めなさい。
(傾き 、)
問2
曲線 上の点 における接線の傾きを求めなさい。
より
問3
曲線 上の点 における接線の方程式を求めなさい。
傾きは なので
問4
点 を通り、傾きが の直線の方程式を求めなさい。
より
問5
曲線 上の点 における法線の方程式を求めなさい。
接線の傾きは なので法線の傾きは 。 より
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
曲線 上の 座標が である点における接線の方程式を求めなさい。
とおくと 。 より 。
問2 ★
曲線 上の 座標が である点における接線の方程式を求めなさい。
とおくと 。 より 。
問3 ★
曲線 上の点 における接線の方程式を求めなさい。
より、 での傾きは 。
問4 ★
曲線 上の 座標が である点における接線の方程式を求めなさい。
とおくと 。 より 。
問5 ★
曲線 上の 座標が である点における法線の方程式を求めなさい。
とおくと 。 より接線の傾きは なので、法線の傾きは 。
問6 ★
曲線 上の点 における法線の方程式を求めなさい。
より接線の傾きは 、法線の傾きは 。
問7 ★
曲線 の接線のうち、傾きが であるものの方程式を求めなさい。
接点の 座標を とすると、 より ,。接点の 座標は なので
問8 ★
曲線 の接線のうち、 軸に平行なもの(傾きが のもの)をすべて求めなさい。
なので、傾きが になるのは のときです。
傾き の接線は横一直線なので、式は「 接点の 座標」になります。第4章では、この点が山の頂上や谷の底になることを学びます。
問9 ★★
点 から曲線 に引いた接線の方程式をすべて求めなさい。
接点を とおくと、接線は 、つまり 。これが点 を通るので
のとき 、 のとき 。
問10 ★★
曲線 の接線のうち、傾きが であるものをすべて求めなさい。
接点の 座標を とすると より 。
問11 ★★
点 から曲線 に引いた接線の方程式を求めなさい。
接点を とおきます。 より接線は
これが点 を通るので ,。実数の解は だけです( で、 は実数解をもちません)。
のとき傾きは なので
問12 ★★
曲線 上の点 における接線を求めなさい。また、この接線と曲線の共有点のうち、点 以外のものの座標を求めなさい。
接線 ,共有点
より傾きは 。 より接線は 。
共有点の 座標は 、つまり の解です。 で接しているので、左辺は で割り切れます。
よって (重解)以外の解は 、。
接線でも、曲線と別の場所でもう一度交わることがあります(小話「接線は曲線を横切ってもいい」)。
問13 ★★
放物線 が、点 で直線 に接するように、定数 の値を定めなさい。
とおくと 。 で直線と接するので、傾きの条件と通る点の条件から
よって ,。
(検算: を整理すると で、 の重解になります。)
問14 ★★
直線 が放物線 に接するように、定数 の値を定めなさい。また、そのときの接点の座標を求めなさい。
,接点
の点で接するとします。傾きが等しいので ,。この点で 座標も等しいので
(別解: が重解をもつ条件 からも求まります。)
問15 ★★
曲線 の接線のうち、傾きが最も小さいものの方程式を求めなさい。
点 における接線の傾きは です。 なので
で、等号は のとき。傾きの最小値は で、接点は です。
問16 ★★
曲線 上の点 における接線と法線、および 軸で囲まれた三角形の面積を求めなさい。
より、 での接線の傾きは 、法線の傾きは 。
軸との交点は、接線が ,法線が 。三角形の底辺は ,高さは接点の 座標 なので
問17 ★★★
点 を通り、曲線 に接する直線の方程式をすべて求めなさい。
点 は曲線上にあります()。けれども「点 における接線」ではなく「点 を通る接線」なので、ほかの点で接して を通る直線も含まれます。そこで接点を とおきます。
より接線は
これが点 を通るので
( が解になるのは当然なので、 で割って因数分解します。)
直線 は、点 で曲線に接し、そのまま点 で曲線と交わっています。
問18 ★★★
2つの放物線 と の両方に接する直線(共通接線)の方程式をすべて求めなさい。
上の点 における接線は …①
上の点 における接線は、 より
…②
①と②が同じ直線になるので、傾きと 切片を比べて
1つめから 。2つめに代入して ,, より 。
(検算: のとき で、②は 。 のとき で、②は 。)
問19 ★★★
曲線 と放物線 が、 の点で接するように、定数 の値を定めなさい。また、その点における共通の接線の方程式を求めなさい。
,接線
, とおくと ,。 で接する条件は
よって ,。接点は ,傾きは なので、共通の接線は
(検算: と は、どちらも で 、傾き です。)
問20 ★★★
放物線 上の2点 ,()における接線が互いに垂直であるとき、2本の接線の交点の 座標を求めなさい。
より、P,Q における接線はそれぞれ
交点の 座標は より 。 なので両辺を で割って 。このとき
2本の接線が垂直なので、傾きの積が :,つまり 。よって交点の 座標は
P,Q をどこに選んでも、垂直に交わる2本の接線の交点は、いつも直線 の上に乗ります。この直線は放物線 の準線と呼ばれ、数学Cの2次曲線で再び登場します。
接線は英語で tangent line(タンジェント・ライン)といいます。語源はラテン語の tangere(タンゲレ)、「触れる」という動詞です。曲線にそっと触れるだけの直線、というわけですね。「接線」という漢字も、「接する(触れる)線」とそのまま同じ発想になっています。
豆知識
三角関数の (タンジェント)も、実は同じ言葉から来ています。半径 の円を描き、点 で円に接する縦の直線を引きます。原点から角 の方向に伸ばした線がこの接線とぶつかる点の高さが、ちょうど になるのです。「接線の上で測る長さ」だから tangent。三角比を習ったときの と、この章の接線は、名前の上ではずっと親戚だったのです。
円の接線を思い浮かべると、「接線は曲線と1点だけで触れて、決して横切らない直線」と考えたくなります。ところが、微分で定める接線はそうとは限りません。
たとえば曲線 の点 における接線 は、左のほうで点 を通り、曲線をもう一度横切っています(実践問題 問12)。さらに、同じ曲線の原点における接線は ( 軸)で、こちらは接点そのものの上で曲線を「下から上へ」突き抜けていきます。
では「接する」とは何なのか。式で見ると、 のように、接点の が**2回くり返す解(重解)**になっています。多項式の関数では、「接する」とは「共有点の方程式が重解をもつ」ことだと言いかえられます。この章の厳密定義ページでは、このことを証明しています。
豆知識
2次関数のグラフでは、判別式 で「接する」を判定しましたね。あれも「重解をもつ」の言いかえでした。微分を使うと、3次や4次の関数でも同じ考え方で「接する」を扱えるようになります。
陸上競技のハンマー投げでは、選手がぐるぐると体を回転させて、最後に手を離します。このとき、ハンマーはどちらへ飛んでいくでしょうか。回転の中心から外向き(円の半径の方向)ではありません。手を離した瞬間にハンマーが進んでいた向き、つまり円の接線の方向へまっすぐ飛び出していきます。
ハンマーは、ワイヤーで内側へ引っぱられている間だけ円を描いています。引っぱる力がなくなった瞬間、それまでの「進む向き」をそのまま保って直進する——これは物理でいう慣性の法則です。選手は、ハンマーが扇形の競技エリアの方向を向く「ちょうどいい瞬間」に手を離さなければなりません。
雨の日に傘をくるくる回すと、しずくが傘のふちから接線の方向へ飛んでいくのも同じしくみです。曲がりながら動くものの「その瞬間の向き」を表すのが接線、というわけです。
※ここは発展ページです。高校の範囲では、公式1の形で接線を求められれば十分です。「そもそも接線とは何か」「接するとなぜ重解になるのか」が気になる人のために、きちんとした定義と証明を紹介します。
関数 が で微分可能であるとき、点 を通り傾きが である直線
を、曲線 の点 における接線という。
高校数学では、接線を「割線(曲線上の2点を結ぶ直線)の、2点を近づけたときの行き先」として導入しました。上の定義はその行き先を式で書いたものです。「1点だけで触れる直線」という定義ではない点に注意してください。小話で見たように、接線が曲線をもう一度横切ることは普通に起こります。
なお、 が で微分可能でないときは、この定義では接線が決まりません。たとえば の原点(第1章の厳密定義で扱った「とがった点」)では、どんな直線も接線にはなりません。
が で微分可能であるとする。点 を通る傾き の直線を とするとき、
が成り立つのは のときに限る。
証明 のとき
である。 のとき、右辺の分数は微分係数の定義より に近づくので、左辺は に近づく。これが になるのは のとき、かつそのときに限る。(証明終)
は「曲線と直線のずれ」です。どの直線でも、 でずれそのものは に近づきます(どれも点 を通るので)。けれども、ずれが よりも速く に近づくのは、傾き の直線ただ1本。接線とは、接点のごく近くで曲線に最もぴったり寄りそう直線なのです。この見方は、数学IIIの「近似式」(第13章)で として使います。
を多項式の関数、 を1次式とし、 とおく。このとき、直線 が曲線 の点 における接線であるための必要十分条件は、 が で割り切れることである。
証明 直線 が点 における接線であることは、定義1より「 かつ 」、すなわち「 かつ 」と同値である( に注意)。
のとき、因数定理より ( は多項式)と書ける。このとき
である(多項式は代入で極限が求まる)。よって
であり、右辺は再び因数定理より「 が で割り切れる」、すなわち「 が で割り切れる」と同値である。(証明終)
実践問題 問12・問17 で、接点の 座標が や のように2乗の因数として現れたのは、この定理のためです。2次関数で判別式 が「接する」条件になるのも、定理2の特別な場合にあたります。ただし、この定理は多項式の関数についての話です。数学IIIで学ぶ三角関数や指数関数には「重解」という考え方がそのままは使えないので、接線は定義1(微分係数)に戻って扱います。
この章の学習が終わったら
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